本日は『黒の日』という事で、それ関連の書体をば。めずらしいロンバルディック・キャピタル Lombardic Capitals である。この書体は中世、ブラックレターと組み合わせ、ページや段落の冒頭にイニシャル(ドロップキャップ)として使われる事が多く、当時はこれだけで文を書く事はあまりなかった模様。カリグラフィーの書体ではあるが、ペンで普通の文字のように書く事はできず、レタリングで描かれるのが普通(ビルドアップレターと呼ばれる)。だがこの Orbe はちょっと工夫すれば書けそうではある。現代ではちょっと使いにくく、あまりデジタル化はされていないので、結構めずらしい。これは中でも出来が良く、2009年に TDC ほかいくつかのコンテストで賞を獲っている。1ウェイト。
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珍しいタイプのスクリプトディスプレイ。ノーマルではカリグラフィーペンで書いたようなローマンなのだが、大文字のオルタネートにロンバルティック・キャピタルを持っている。ロンバルティック・キャピタル(Lombardic Capitals)というのは、サンプルイメージにある「MAJUSCULE」の M, J, S, U, E のスタイルの書体のことで、装飾写本の時代には段落頭にドロップキャップとして使っていたものである。周囲や文字内部にゴテゴテの装飾が施されるのが普通で、文字部分のみでシンプルに使われるようになるのはだいぶ時代が下ってから。ゴシック(ブラックレター)と組み合わせて使われる事が多かった。ちなみに「ロンバルディアの」という名前がついてはいるが、イタリアのロンバルディア地方とは特に関係ないらしい。なのになぜこういう名前が付いているかは不明。
書体そのものより、サンプルイメージがカッコ良かったので紹介する(笑)。Big Caslonのようにコントラストの強いディスプレイローマン。ヘアラインがあるので小さく使うには不向きで、タイトル組に適している。AやHのバーに中折れがあるオルタネートがある。こういう処理は英国やアイルランド方面でよく見るが、名前はなぜかイタリア語。小文字 f にまつわるリガチャーが豊富。全体的にアップライトは良いが、イタリックはちょいイマイチな気がする。ラグジュアリー感はあるので、高級女性誌などに。