日本の街なかにある英文のサイン(標識)を正しく見やすいものにしよう、というガイドブック。この本でいう「デザイン」は本来の意味の「設計」に近く、とにかくまずヘンな英語をやめよう(笑)というのにたくさんのページを割いている。まずそこからかよ! というのはなんだか嘆かわしくなるが、とにかくネイティブの人にとって「?」という英語がかなり氾濫している状態はちょっと悲しい。ちゃんとした翻訳者をアサインできない仕事がどれほど多いかという事でもあるだろう。かくいう筆者も、地元のとある中古車販売店のサイトを作る時に困った事がある。そこは米軍関係者を主に相手にしており、そういった方面の手続きを素早くできる事を強みとしていたが、その事をその店では「ミリタリーサービス」と呼んでいた。サイトは全部英文だったが、それをそのまま Military Service(=兵役につく事)と表記したら多分かなりの誤解を生むだろうと思い、何度か元請けに確認をお願いした記憶がある(結局どうなったかは忘れたし、そのサイトももうない)。
話が逸れた。えー、あとはもちろん書体選びや文字組みなどについて述べられている。もう20年近くドイツに住み、世界中を飛び回っているタイプデザイナーが言う事なのだから、これほど確かな情報もないだろう。派手さはなく地味な事ではあるが、こういった「基礎」はちゃんと身につけておいて損はない。欧文書体を「飾り」として使うだけではなく、ネイティブの人が見てちゃんと「伝わる」ようにしたいデザイナーは必携。