ディスプレイばかり続いたので、スタンダードなものを紹介したいと思う。でもCaslonやHelveticaではありきたり過ぎるので、次のスタンダードになりうるようなもの、題して『Next Standard』特集開始~(どんどんどんパフパフ)。第一弾は小林章氏のClifford。1998年にU&lc Type Design Competitionで最優秀賞を受賞し、Linotypeに招致されるきっかけになった書体である。長文を組んでも読みやすい、本文用書体として設計されている。アップライトとイタリック、スモールキャップスとオールドスタイル数字を含んでおり、本文に太字をほとんど使用しない欧文では必要十分である。また、通常の「ウェイト」という概念ではなく、本文サイズ(9pt)で使用しやすいNine、少しウェイトを軽くし、見出しサイズ(18pt)で映えるEighteen、カウンターを広めにとり少しウェイトを太くした、キャプションなどのサイズ(6pt)で読みやすいSixという3種類を揃えている。このようにサイズによってデザインを微妙に変えるのは活版印刷では通常の処置だったが、拡大縮小が簡単な写植の時代に入ってから消えてしまった概念であり、それを復活させたものである。