筆者が毎年、というか毎日眺めている書体。というのも、ANDO GALLERYが毎年発行している葛西薫氏デザインのカレンダーに使用されている書体がコレなんである(多分)。筆者は毎年これの罫線なしを購入し、デスクの横の壁にかけてある。一度罫線アリを買ってみたが、違和感があってやめた。欧文書体好きは分かると思うが、欧米の表組みは罫線が最小限に抑えられている。縦線はまずないどころか、ヘッダーとフッター以外は横線を省いたものさえある。対して日本人は、すべてのマスにタテヨコびっちり線を入れるのが常だ。これについて、「日本人はつくづく小さい枠に収まるのが好きな国民である」という記述を何かで読んでからというもの、自分は収まってなるものかと、極力罫線を使わず表組みするようにしている(笑)。ははん。ちなみにURW++版、Elsner+Flake版もある。
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ちょいーとイタリックにクセがあるが、十分本文組にも使えそうなスラブセリフ。同じデザイナーが作ったOsnovaというサンセリフとプロポーションはほぼ同じらしい。ウェイトは6種。名前はスペイン語で「旗」を意味するらしい。説明には「Banderaはウクライナの自由闘争のシンボルであった」とあったので何のことやらと調べたら、Stepan Banderaという解放運動の指導者がいたらしい。ややこしい解説すなよ…。執筆時点、80%オフセール中。
※追記:なんかウクライナとロシア、大変みたいだ。和平を願う。
ファミリーもないし、本文用として紹介するのはどうかなとも思うぐらいクセがあるけど、個人的な好みで。アップライトなイタリック(?)で、和文で言う宋朝体みたいな使い方ができるんじゃなかろうか。このSternは、デジタルと同時に活字としても販売されたそうである。デザイナーはJim Rimmer。カナダでは有名なグラフィックデザイナーのようで、バンクーバーのMonotype社でタイプディレクターを務めた事もある人だという。彼を題材に“Making Faces”というドキュメンタリー映画も制作されたとか。トレイラーがYouTubeにある。ちなみにCanada Typeは私好みのフォントをたくさん作っていて、お気に入りのファウンダリーである。
ほんの少し前まで、なぜか欧文ではほとんど見なかった(日本でいう)丸ゴシック。近年になってだいぶ増えてきたが、そこに新たな仲間が加わった。本文に使うにはちょっとクセがありすぎるような気もするが、x-ハイトは高くカウンターも広めで、とてもやわらかく明るい印象がある。アップライトとイタリック、各6つのウェイトがあり、ほかステンシルスタイルのものがファミリーにある。デザイナーはお名前からすると日本人の模様。ニューヨーク在住らしい。サイトはこちら 。
元々Paradoxという名で新聞用として開発されたローマンをCorantoとしてリニューアル後、さらに字種を拡張して2011年、Coranto 2として再リリース。字幅が狭めで、ブラケットが大きくヌメっとした感じが特徴。現在は購読してないので今も使用してるかどうかは不明だが、以前はプロダクトデザイン誌の「I.D.」の本文に使用されていた。これに切り替わった当初は違和感があったが、見慣れると特徴的でありながら読みやすく、とても気に入ってしまった。アップライトとイタリックが2ウェイトずつしかないが、新聞用らしく、長い見出しに便利な字幅の狭いHeadlineというファミリーがある。普通のローマンに飽きた方に。
(※追記:I.D.って2010年に廃刊になったらしい。知らなかった。今はネットのみ)
こちらも今年になって発表された新しいサンセリフ。ジオメトリックなニュアンスもある現代的なヒューマニスト。k の形が個人的にはあまり好みではないけど、x-ハイトも大きく、読みやすい書体ではなかろーか。アップライトとイタリックそれぞれ9ウェイトずつ、計18ファミリー。この記事の執筆時点では90%オフセール中でたったの$19。こういう初売りセールは一度終わってしまうと再開される事はあんまりないのでお早めに。
このブログでは初登場のスラブセリフ。一応カテゴリー作っといてよかった…。ちょっと解説が長すぎて全部読んでないが(笑)、なんか生まれた息子のために絵本をめちゃめちゃ読んだらしく、こういう児童書のための書体を作りたいと思ったらしい。そのため黒々したものが多いスラブセリフには珍しくライトウェイトで、本文組にも違和感なく使用できるものができあがった。可読性もすこぶる良好。アップライトとイタリックそれぞれ8ウェイトずつと、同じ構成でコンデンスとエクステンドがあって、計48種のファミリーを持つ。名前はスペイン語で「小さなヤギ」という意味だそうだ。余談だが英語で子供を表す kid という単語は、元々は「仔ヤギ」の意味がある。多分ぴょんぴょん飛び跳ねる様が同じように見えたからだろう。なんでこんな事を知ってるかというと、アイリッシュの有名な曲に「Kid on the Mountain」というのがあって、疑問に思って調べたから(笑)。
今年になって発表された新しいサンセリフ。なんと160ものファミリーがある。とうたっているけど、なんかスモールキャップスを別書体としてカウントしてるような…まぁいいや。イマドキっぽく、フラットデザインに似合いそうな、要するに(いい意味で)特徴の薄い書体である。DINにインスパイアされたとあり、各文字の字幅に余り差がない。gに2階建て(メガネg)と1階建ての2種のグリフを持っている。大文字Qのテールがボウルから離れてるのがカワイイ。今なら全ファミリーパック$800の所を75%オフの$200。デモ版としてLightウェイト4種が無料でダウンロードできる。ちなみに「ロイド」と発音するらしい。
Web屋さんにはお馴染みの、Windows付属のローマン。最近はMacにも入ってる模様。元々はコンピュータの画面上での可読性を優先に、Microsoftがマシュー・カーター氏に依頼して作ったもので、そのためx-ハイトが高く、小さなサイズでもセリフが潰れないようになっている。反面、アセンダーやディセンダーが小さくなっており、やや優雅さに欠けるきらいがあるが、可読性は抜群。これが登場するまで、12px程度で読めるローマンは皆無だったように思う。その意味で画期的でもあった。デフォルトの数字にオールドスタイルを採用しているのが大きな特徴。Web本文に使用すると、知らないクライアントから「数字が崩れてる」とクレームが来たものだ(笑)。1996年の登場から14年後の2010年、ファミリーや字種を拡張してGeorgia Proとして再登場。印刷方面にも利用しやすくなっている。サンセリフのVerdanaも同時にPro版が公開され、特設サイトが公開されている。
(勝手に)Next Standards第二弾。ややシステマチックながらヒューマニストっぽいニュアンスも残すサンセリフ。何と言ってもファミリー展開がスゴい。イタリックはもちろんあるが、ウェイトがExtra LightからUltraまで9つ、加えて字幅がレギュラー、Condensed、Extra Condensed、Compressedと4種類。計72種ものファミリーを持つ。まぁUniversならこれに更にExtendedまであったりして珍しくはないと思うが、こっちは全ファミリーを揃えても$169しかしないのでかなりおトクだ。しかも800以上のグリフを持っているので、東ヨーロッパ方面にも対応可。にしてもなんで「動詞」って名前なんだろね。