本日はドイツの詩人ゲーテ Johann Wolfgang von Goethe の誕生日(1749)ということでこちら。遊びの少ないかっちりした太めのフラクトゥール。元はドイツの Wilhelm Wöllmer という人が1910 (1905?) 年に制作したもので、それをデジタル復刻したもの。普通に比べてアセンダーやディセンダーが結構短いだろうか。小文字の k が伝統的な形をしており、ツウはこの辺を喜んでしまうが、馴れてないと読めないかもしれない。大文字はどれも厳しいかな…? まぁ馴れてください(笑)。1ウェイトのみ。
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本日『黒の日』ということでブラックレターをば。カリグラフィーではなく活字になってからのもので、多分19世紀辺りの割と新しめのスタイルのゴシック。このファウンダリーは古い書体のリバイバルを主に行っており、これもそうらしいのだが、出処は不明だそうだ。s がデフォルトで長い s になっているが、# のところに短い s も割り当てられているので使い分けが可能になっている。オルタネートじゃないのは製作年が古いせいだろう。最近 YouTube のロゴが一瞬この類に変更され、「ダサい」「パンク少年みたい」とか散々な言われようだった(笑)。日本での認識はそうかもだが、中世にはこれで聖書などを書いており、現在でもニューヨーク・タイムズなどの新聞の題字に使われたりしている。
本日は数学で我々を苦しめた微積分の考案者、ゴットフリート・ライプニッツ Gottfried Wilhelm Leibniz の誕生日(1646ユリウス暦)。ということで彼の名を持つ書体を紹介。スタンダードでクラシカルなフラクトゥール。元は18世紀中頃に作られた書体だそうだが、それを鋳造した Genzsch & Heyse というファウンダリーの設立年は1920年代という事でよくは判らない(笑)。まぁいいや。フラクトゥールは現代人の我々の目には読みづらいが、ドイツでは20世紀初頭までこれが標準で、書籍も普通にこれで組まれてるものが多い。s がデフォルトで「長いs」なのがちゃんとそれらしくてよろしい。”sk” などの文字並びは普通はぶつからないが、長いsだとぶつかるのでちゃんとリガチャーもある。1ウェイトのみ。
抑制が効いていながらも優雅な活字イタリック。カリグラフィー風味が強く一見手書きのようだが、活字ベースのようでコネクションは取れていない。アセンダーとキャップハイトが大きくx-ハイトの1.2倍はあって、それが優雅な雰囲気を醸し出している。p や v のふにょっとした字形が特徴的。Hans Hoyer という人のデザインした活字のリバイバルのようだが、検索しても同名のホルンメーカーしかヒットせず、この人のことはよくは判らない(笑)。1ウェイト。大人のクリスマスの演出にどうぞ。
フレンチ風味のある活字スクリプト。1927年に Albert Auspurg という人がハンブルクにある Trennert というファウンダリーのためにデザインした書体だそうな。大文字は結構デコラティブで、小文字は縦のステムがテーパードになっているのが特徴的。各文字は一見コネクションがありそうだが、実は繋がってない。名前は、パリのシャイヨ宮が現在建っている場所にかつてあったトロカデロ宮殿からとったものと思われる。制作は古い活字書体のリバイバルを得意とする RMU。筆者お気に入りのファウンダリーのひとつである。1ウェイト。
ちなみに最下部にある Ars longa, vita brevis とはヒポクラテスが言ったとされる言葉で、ラテン語で「芸術は長く人生は短い」という意味。日本の格言でいうところの「少年老い易く学成り難し」と同義とされる。
本日は真珠記念日だそうな。ミキモトの創業者が1893年、真珠の養殖に初めて成功したとか。というワケでパールの名の入ったこちらを。古い書体のリバイバルに定評のある RMU による、18世紀バロック調のデコラティブなディスプレイ。全体的には植物的オーナメンタルな書体だが、所々に丸が入ってるのがパールっぽい…のかな? そう思って名付けたのだろう。使用の際はページ全体をこれで組むのはちと読みづらくてシンドいので、要所のみに留めた方がいいだろう。1ウェイト。
アメリカ大統領選挙がなんかとんでもない事になってるんで、渦中の人物にちなんだ書体を。Trump といえば Trump Mediaeval だろうと思った方は残念。そんな当たり前を紹介してもおもしろくないのでこちらを。古い活字書体のリバイバルを得意とする RMU の書体である。説明書きがなーんにもないのでオリジナルが何かは知らないが、まぁ見ての通りのブラックレターである。名前の通りドイツ風で、s は長い s で、ck, ch, tz のリガチャーがあり、heavy ウェイトの方には長い s のリガチャーもある。あと数学記号はなく、それらのグリフには代わりに黄道十二星座のアイコンイラストが入っている。こういう書体に数学記号をムリに付ける必要はないので、いいオマケだと思う。ただいま5%オフセール中。世界が平和になればいいなぁ…。
明日10月1日は色々な日が制定されているが、その内のひとつが『香水の日』だったのでこの書体を紹介。20世紀前半によくあった、いまだ分類名を考えあぐねるタイプのスクリプトである。仮に活字スクリプトとでも呼ぶ…いや、ダサい(笑)。まぁいいや。とにかく紹介を進める。1933年に Bauer から発表された Trafton という書体にインスパイアされたとある。以前に紹介した Cronet や Duktus と同タイプの書体である。キャップハイトが大変大きく、小文字の存在を抑えることでエレガントに仕上がっている。女性向けで、化粧品や美容、ファッションなどの分野に重宝するだろう。オルタネートはないが、f をベースに fv、fx、fz などという変わったリガチャーがちょっとある。1ウェイト。
今日から7月、夏本番間近という事で涼し気な書体を紹介。ジオメトリックをベースにしながら、所々幾何学のルールから外れたストロークを持ったサンセリフ。19世紀から20世紀前半にかけてにドイツにあった、Schelter & Giesecke というファウンダリーの書体をリバイバルしたものだそうである。Kabel と似た雰囲気を持った、ドイツらしい書体である。x-ハイトは小さく、字幅も狭めでエレガント。Regular のウェイトは通常で言う Light に近く、軽く涼し気である。2ウェイトでイタリックもなくファミリーが少ないが、キリル文字をサポートしている。ただいま20%オフセール中。
カッパープレート風味があるブラックレター。見ての通りステムが塗りつぶされておらずシェーディング処理されており、ブラックレター特有の重たさが軽減されている。社交用のカッパープレートにこういうタイプが多いので、その辺の用途にうまくすれば使えるかなという感じ。酒のラベルなどにもいいだろう。元は Rudolf Koch が1919年頃に制作したものらしい。この RMU というフォントレベールはこういった古い書体のリバイバルを得意としており、他にも多数名作を復刻している。筆者お気に入りのレーベル。ただ活字タイプのロゴがちょっと…(笑)。