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Gill Sans Nova

Gill Sans Nova

ヒューマニストサンセリフの代表格。大文字は古典的なプロポーションでサンセリフながら大変堂々しており美しい。小文字はカリグラフィーの要素も多分に含み、x-ハイトが小さく優雅で柔らかさがある。全体的に可読性も良く、長文でもまったく問題ない。1928年に活字で制作されたものが1989年にデジタル化され、それをさらに2015年にファミリーや字種を拡張して名前に Nova が付いた。個別購入できる他、Adobe Fonts でも配信されている。

さてこの Gill Sans、というか作者のエリック・ギル Eric Gill だが、大変優秀なタイプデザイナーではあったが、実子や使用人に対し性的虐待を日常的に繰り返していたことが明るみになっており、これを理由に彼の書体そのものをボイコットする人もいる。筆者はというと、書体に関しては全然気にしていないというのが本音である(笑)。これからも躊躇なく使用するだろうが、「どうしてもその書体でなければならない」というケースもあんまりないので、何が何でも使うわけでもない。まあ適宜対応する、というぐらいである。本ブログの読者も個々の判断でお使いいただければと思うし、自身と反対の意見を攻撃することもなきように願いたい。考え方は人それぞれなのだから。

ちなみにギルの出身国である英国の高級ステーショナリーブランドのスマイソン Smythson のサイトは見出しに Gill Sans が使用されている。あと2022年に行われたエリザベス女王の国葬の式次第の公式文書がダウンロード可能なのだが、これはギルの書体の Perpetua で組まれていた。なんか本国でもあんま気にしてないのでは、という気がする。でなきゃ Nova に拡張しなかったろうしね。

Category(s)
Design Date
1928, 2015
Designer(s)
Publisher

Gill Facia

Gill Facia

なんかエリック・ギルに関するニュースがちょっと流れてきたのでこちら。ギルのあまり知られていないディスプレイローマン。元は英国の WHSmith というチェーン書店のためにギルがデザインしたロゴ?を基に作った書体らしい。カリグラフィーで使うブロードエッジのペンで書いたようなコントラストが付いた、クラシカルなタイプである。ギルにしては全体的に骨格がちょっと無骨で硬い感じがするのだが、元のデザインがそうだったのかどうかは不明。Regular と Titling の2種。

Category(s)
Design Date
1996
Publisher

Gaultier

Gaultier

本日いろんな日が制定されてるがどれもパッとしないのでガン無視して(笑)こちら。クラシックなヒューマニストサンセリフ。Garamond や Granjon、Eric Gill らの書体にインスパイアされたとあり、その通り大変クラシックなオールドスタイルのグリフをしている。特にイタリックは傾きも強くカリグラフィーのニュアンスも強くてスワッシュオルタネートまである。ただ全体的にあまりブレがなくモノライン気味でかっちりしており、またやや広めの字間のせいだろうか、ただのリバイバルではなく現代的なニュアンスもちゃんとあるなという感じはする。大変筆者好みの書体。10ウェイトとバリエーションも豊富。ただいま69%オフセール中。買っておいて損はない。

Category(s)
Design Date
2020
Designer(s)
Publisher

Perpetua

Perpetua

本日は英国のタイプデザイナー、Eric Gill の誕生日。私生活ではかなりアバンギャルド(笑)な人だったようだが(詳しくは語らない)、タイポグラフィの世界では大きな功績を残している。彼の書体は大変有名なので特に紹介もしなかったが、ま、せっかくなので。恐らく一番有名なのは Gill Sans だろうが、ローマンの方ではこの書体が最もポピュラーかなと思う。ややコントラストの強いトランジショナルローマン。Gill は碑文彫刻を得意としてたので、大文字にはローマンキャピタルの影響が強く見られる。全体的にクラシックで大変エレガントな書体である。
ちなみに筆者はこの書体をかなり強く覚えている。なぜかと言うと、日本タイポグラフィ協会が発行している機関誌『typographics ti:』の第231号(2003年発行)に掲載されていた印刷史家 Beatrice Warde の This is a Printing Office という詩が、この書体で組まれていたからである。制作者は嘉瑞工房の高岡昌生さん。当然活版印刷であった。大変美しいと思った筆者は、これを定規で1行1行一生懸命測ってまったくマネしてデジタルフォントで制作し、ハガキサイズに縮小してフレームに入れてトイレのタンクの上に飾っていたが、2~3年前のある日タンクの蓋を開けた際に水没させてしまった(笑)。もう10年以上も前に作ったのでデータがもうない。当時は Bitstream のコピー書体だったんで Titling がなかった。ちゃんとしたのを買ってまた作ろうかな。

Category(s)
Design Date
1928–35
Designer(s)
Publisher

Bunyan Pro

Bunyan Pro

Eric Gill の絶筆(?)となった書体だそうである。Gill らしい碑文風味のあるオールドスタイルローマンだが、Gill の代表的なローマン、Perpetua と比べるとコントラストが弱く、x-ハイトが大きくてややコンデンス気味。つまりより本文向きになっているだろうか。イタリックはカリグラフィー風味が抑えられており、f にディセンダーがない。3ウェイトしかないが、Pro 版らしく字種は豊富。ちなみに制作された当時は通常の手組みの活字版と Linotype 版があったようで、Linotype 版は Pilgrim という名前だったそうな。

Category(s)
Design Date
2016
Publisher

Joanna Sans Nova

Joanna Sans Nova

英国のタイプデザイナー、Eric Gill (1882–1940) がデザインした書体のサンセリフ版。元は Joanna というローマン書体だが、それのサンセリフ版である。Gill らしい碑文のプロポーションを持ったヒューマニスト。オリジナルよりx-ハイトが大きくなり、可読性が良くなった。リニューアルにあたり字種が大幅に増え、中央ヨーロッパは元よりギリシャ文字やキリル文字もサポートするようになった。もちろん元の Joanna も Joanna Nova としてリニューアルしている。8ウェイト。ただいま全ファミリーパックで $99 セール中。

Category(s)
Design Date
2015
Publisher
Paul Shaw (編) / The MIT Press / 2015年
The Eternal Letter – Two Millennia of the Classical Roman Capital

ローマンキャピタルについて書かれた本。20人を超える方々からの寄稿を集めたもので、例のトラヤヌスの碑文の解説は元より、そこから派生して Eric Gill や Hermann Zapf らのこれに近い書体を紹介・解説している他、John Stevens を始めとするローマンキャピタルを得意とするカリグラファーらの作品の紹介などなど。立野竜一さんとの共作、Stevens Titling も紹介されている。図版がかなり多くデザインも美しく盛りだくさんの内容で、かなりおススメの本である。そんなに厚い本ではないが、全部アート紙でずっしりと重い。これが2000年の重みか、なんてな事を思う。なぜかマサチューセッツ工科大出版局から出版されている。

Picadilly

Picadilly

英国産ぽいサンセリフ(作者はポーランド在住の模様)。Eric Gill や Edward Johnston のデザインの影響が見て取れる。具体的には、大文字に碑文の影響が強く、各字幅に結構差がある所や、M の中央がベースラインに着かない、R のレッグが放物線状、i や j のドットがダイヤ型をしているなどなど。ステムが重なる所に鋭い切れ込みが入っているのが大きな特徴。このため書籍の本文とかは向かないが、プロポーション的にはまぁまぁスタンダードな書体である。ウェイトは10種と豊富だが、Bold より上はあんまり差を感じない(笑)。名前は c が1コ足りないが、恐らくロンドンのピカデリー・サーカスから。ただいま80%オフセール中。

Category(s)
Design Date
2013
Designer(s)
Publisher

Rowton Sans FY

Rowton Sans FY

碑文系のプロポーションを持つサンセリフ。このテでは大変有名なGill Sansの影響があるなぁと思ったら、解説文にちゃんと作者であるEric Gillの本にルーツがあるとある。Gill Sansよりはx-ハイトが若干小さいかな。イタリックはこちらの方がちょっとコリっとした印象があり、手書き感が弱い。現在6ウェイトだが、今後Extra BoldとBlackを加える予定だそうだ。ただいま50%オフセール中。ちなみにGill Sansは、みんなが街中でよく見てる書体である。実はファミマのロゴはGill Sansがベース。
※訂正:Corinthianがベースだそうです。知ったかぶりで恥かいた(笑)。

Category(s)
Design Date
2014
Publisher

ITC Golden Cockerel

ITC Golden Cockerel

ゴールデンウィーク真っ只中という事でGoldenな書体を(笑)。20世紀初頭に活躍し、PerpetuaやGill Sansなど数多くの名作を残した英国のタイプデザイナー、Eric Gillのデザイン。中でもこれはマイナーな方である(笑)。少々ヴィクトリア趣味の強い書体で使用するシチュエーションを選ぶとは思うが、まぁおもしろいんじゃなかろうか。あまりいいサンプル画像がなく、詳細は販売サイトなどで確認して欲しい。

Category(s)
Design Date
1929
Designer(s)
Publisher
ITC
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