本日はフランス出身のアメリカのデザイナー、レイモンド・ローウィ Raymond Loewy の誕生日(1893)。『口紅から機関車まで』というキャッチフレーズで表現されるほど様々な分野のデザインを行っており、中でも有名なのはタバコのラッキーストライクだが、調べたら不二家の LOOK チョコレートのパッケージもデザインしていたようである。というワケでそのものズバリの書体は見つからなかった(多分オリジナルのレタリング)が、LOOK のロゴに似ている書体を紹介。長文にも耐えうる可読性の良いジオメトリックスラブセリフ。普通はジオメトリックだとクセが強くであまり長文には向かないが、これはサンプルを見る限り、普通のセリフ体と比べても遜色のない、読みやすい書体である。ギリシャ文字とキリル文字もサポート。ファミリーも豊富で、字幅の広い Extends と細い Condensed があり、それぞれイタリックがあって9ウェイトずつで合計54書体とビッグファミリーである。レギュラー幅の Bold がロゴに近いかな。字間はべったりくっつけるとなお良い(笑)。
Tag: #large family
可読性の良いジオメトリックサンセリフ。なんだかサンセリフを紹介する時同じようなものばっかりなので気がひけるのだが(笑)、まぁ本文用書体はそういうもんなので見逃して欲しい。これでもちょっとずつ違いはあるんですよ当たり前だけど…。さ、そんな事はさておき。最近の書体としてx-ハイトが小さめで、a と g に2階建てを採用しており、より本文用として意識された設計になっている。レギュラーバージョンの他に Alt というバージョンがあり、こちらはストロークの端の形がほんのちょっぴり違う。例えばレギュラーの A の両足はベースラインで水平に裁ち落とされているが、Alt の A は右足がストローク方向に角度が付いている。この微妙な違いが一体どう視覚に影響するかはよく解らないが(笑)、ともあれそうなっている。ウェイトは10もあって豊富。
名前の通り、スクリーン環境での利用に最適化されたサンセリフ。PCやモバイル端末での文字の見え方を徹底的に研究し作り上げたようで、こちらにその開発過程のレポートが公開されている。見れば判るがメチャメチャ長い(笑)。それだけ本気で気合を入れて作ったというのが窺える。長文を組んでみないことには判らないが、グリフを見る限りは確かにスッキリして見やすいかなという印象はある。キリル文字はもちろん、多数のアクセント記号と、インターフェイスでよく用いられるアイコン類も含め、グリフ数は1000近い。素晴らしいフォントなので、できれば Google フォントかなんかで無償公開を…とかWeb開発者としては思うが(笑)、まぁ買ってあげるべきだよね。イタリックもあって9ウェイト。モノスペース版もあり、こちらは2ウェイト。ただいまなんと75%オフセール中なので、Web屋さんはぜひ。あ、日本語じゃないや…。
可読性の良い本文用ローマン。コンデンス気味でx-ハイトがかなり大きく、長文を狭いスペースに詰め込む、新聞や雑誌等で実力を発揮するタイプだろう。そういう意味で Times Roman と似ている。コントラストはやや強め。これもラフな紙に印刷されて太ることが想定されてる、のかもしれない。イタリックはカリグラフィー風味が強くクラシック。名前はフランス語で「銀」または「お金」の意味なので、経済誌(紙)などに似合うだろう。7ウェイトパックで$35と破格の値段なのも魅力。
なんともちょっと分類しづらいディスプレイ。手書きのようなそうでないようなオーガニックな雰囲気があり、ステムも歪んでて安定しておらず、カーブも唐突に折れ曲がったりしている。先端もややフレア気味。「ちょっと碑文風味も加味している」というようなニュアンスの説明もある。変わってはいるが可読性は良好で、割と長文にも耐えうるだろう。字種がかなり多く、キリル文字やギリシャ文字の他、アルメニア文字やアラビア文字までサポートしており、その数は2,000を超える。ウェイトも8つと豊富。
大変質の良い本格派ジオメトリックサンセリフ。x-ハイトが大きく角が落とされて丸くなっているせいか、クールさを保ちながらもやや柔らかめな印象で可読性も良好。オルタネートが少しだけあり、2階建ての a と g、テールが折れ曲がった t がある。イタリックはオブリークタイプ。キリル文字もサポートし、7ウェイトもあってファミリーも豊富。作者は2015年に独立したとの事で、まだ活動し始めてさほど経っていないせいか筆者は知らなかったが、他にも多数クオリティの高い書体を発表している。注目の作家のひとりだろう。
作者のサイト ⇒ connary.com
本日はジョジョ第一部からの古参ファンにはお馴染みの「愛してその人を得ることは最上である。愛してその人を失うことはその次によい (To love and win is the best thing. To love and lose, the next best)」の言葉で有名な英国の作家ウィリアム・M・サッカレー William Makepeace Thackeray の誕生日(1811)。といって関連するものは何も見当たらないので(笑)、まぁ小説家だったという事なので「小説」という名の書体を紹介。コントラストの弱めな黒みの強いしっかりしたオールドスタイルローマン。「オールド」とは言うもののだいぶモダンな雰囲気で、また筆の感じもそこかしこにあるなかなか不思議な書体である。イタリックが非常に独特で、カリグラフィックな雰囲気はあるもののほとんど傾いておらず、アップライトに比べだいぶコンデンス。全体的に可読性は良好で、これが現代の本文用書体か、という感じはする。6ウェイト。他にも Novel の名を冠した書体が多数あり、Sans, Sans Condensed, Display(サンセリフ), Sans Rounded, Sans Hair, Mono, Office がある。
ルネッサンス期のローマンを元にしたミクスドファミリー。15世紀イタリアの画家ピエロ・デラ・フランチェスカ Piero della Francesca(1412-92)が、トスカーナの人口約1700人ほどの小さな町モンテルキ(Monterchi)に残したフレスコ画をブランディング(=観光資源化?)するにあたり開発された書体との事。基本のフレアセリフとモノラインサンセリフ、ローマンの3種があり、フレアセリフには本文用の Text バージョンもある。全部同じローマンキャピタルとヒューマニストの骨格で、セリフの形にだけバリエーションを持たせている。見ての通り大変美しいローマンキャピタルで、遊び心満載なリガチャーも豊富。ウェイトも各6種(Sans だけ7種)もあり、イタリックも当然ある。ただいま85%オフで3,500円ほどと大変お得になっているので、ぜひこの機会に購入しておいて損はない。
ややコンデンスで角ばった印象のあるサンセリフ。19世紀のサンセリフとカリグラフィー風味をミックスした、と説明にはある。水平なストロークは先がやや細くなっていて、カウンターは全体的に広め、C や S などは巻き込みがまったくなくオープンである。カーブも丸みが弱く、やや長方形に近い。イタリックは傾きが弱く、またちょっとセリフっぽいものが付いているのが特徴的。視認性がよく字幅が狭いため幅も取らないので、サインなどによく向いていると思う。字種も多くウェイトも8つと豊富。
本日はアンネ・フランク Annelies Marie Frank の誕生日(1929)。生誕90年の本日、Liebe Kitty(親愛なるキティへ)という本がドイツで出版された。アンネは日記帳の事を「キティ」と呼んでいたそうで、中身はよくは判らないが(笑)、まあ関連本らしい。デザインを担当したのが Erik Spiekermann さんだそうで、本文に使用した書体がこの Guyot らしい。16世紀フランスのパンチカッター、François Guyot の書体から起こしたものだそうだ。ややコントラストが強めで字幅が狭いオランダ風味の本文用書体で、オプティカルになっており、Text、Headline、Press の3つのタイプがある。Press はさらに1、2、3に分かれており、想定してるのか不明だが、名前の通り新聞等のあまり品質の良くない紙への印刷に適してるのかもしれない。詳しく見比べてみて欲しい。2018年にTDCで受賞している。