今日現在 MyFonts のベストセラー第1位の書体。かなりジオメトリック寄りなサンセリフだが、コロコロしすぎず読みやすくなっている。字種やファミリーも豊富で、キリル文字もサポートしている。a が結構特徴的。実は Adobe の Typekit でも配布されており、しかもほぼ全ファミリーが同期して使えるので、Creative Cloud に加入していれば購入の必要はない。そこの CC なあなた、あなたはすでにこの人気書体を持っている。さぁ、すぐに Helvetica を捨てよう(いや捨てんでも…)。ちなみにベストセラー2位は Helvetica なのだけど(笑)。
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20世紀初期のアメリカンテイストを持つ本文用ローマン。同時期の代表的な書体・Century の影響が大きいのが見て取れるが、見出し用の Display はセリフが鋭く、細いステムはヘアラインと化しており、かなりモダンローマン寄り。イタリックは手書き風味がよく残っており、全体的に「古き好き」という感じがする書体である。発表当時は TDC を始めあちこちからいろいろ受賞した模様。現在でも MyFonts のトップセール26位にランクインしているという人気の書体。Text は4ウェイト、Display は6ウェイト。
ジオメトリックサンセリフ。洗練されたモダンな雰囲気、は特になく(笑)、字幅が広めでコロコロと可愛らしい書体。リガチャーが豊富で小文字だけでなく大文字にもあり、珍しい組み合わせのものが多数ある。字種はかなり豊富で、キリル文字もサポート。a は1階建てと2階建てのグリフあり。イタリックはオブリークタイプとなっている。8ウェイト。
Monotype タイプディレクターの小林章さん制作のモダンローマン。小林さんは制作当時のデジタル版 Didot や Bodoni が、活字とは違いあまりに直線的に処理されてしまっている事が哀しいと述懐しており、この書体は拡大すると判るが、セリフがちょっとしなっていたりステムに微妙な膨らみがあったりして、その辺りが解消されている。最初はヘアラインが繊細なものをデザインされたが、後に本文用に適した Text と、いわゆる袋文字的な Open を制作されている。この書体によく似合うフレームの Border も別にあったが、現在は Text のグリフの中に収まっている。
余談だが、11月に Monotype が日本でイベントを行うとのこと。小林さんを始め、豪華ゲストが登壇する模様。詳細は Type& にて。
※どうでもいいけどサンプルイメージ、Acanthus のスペルが…
すっきりして読みやすいヒューマニストサンセリフ。サンプルイメージでは文字通りマッチョでコロコロしているが、太いウェイトがそうなだけで、レギュラーウェイトはいたって普通。字間が広めで風通しがよく明るい感じがする。イタリックは、小文字が特にぬよんとしており、手書き風味が若干強い。本文用に設計されているだけあって、字種はかなり豊富。キリル文字もサポートしている。ウェイトも9つと大家族。ただいま90%オフという大出血サービス(昭和な表現)セール中。いろんな用途に重宝すると思うので、この機会にドウゾ。嵐のマッチョマ~ン♪
最近購入した A Guy’s Guide to Shoes という靴の本の本文がこの書体で美しかったので紹介する。Goudy らしいちょっと変わったオールドスタイルローマン。元はカリフォルニア大学バークレー校(UCB)のためにデザインされた California Old Style という書体だそうで、それを1983年にリファインしたものらしい。欧米ではこのように大学で書体を制作することがあるようで、最近では Matthew Carter さんがデザインしたイェール大学の Yale がある。Yale は残念ながらイェール大学関係者しか使えないようだが、この Berkeley は一般販売されている。大きく使って品が良く、小さく使って読みやすい。この書体の存在はもちろん知っていたが、こんなにいいものだとは思わなかった。長く残る書体というのはやはりそれなりの良さがあるなぁと思った次第。ちなみにアメリカ最高の巨匠と言われる Goudy が書体制作を始めたのは、40歳を過ぎてからだそうである。人間いくつになってからでも挑戦できるね。
今日から10月だというのにまだ33度を維持しております沖縄よりお送りいたします。あんまり暑いので涼し気な書体を紹介。
すっきりした印象のヒューマニストサンセリフ。小文字が大きいのはイマドキだが、開口部も大きめで、何というかウェイトとは関係なく組んだ文に重さを感じさせない書体である。r やn のバーの出方や、y のディセンダーなどが特徴的。本文用に設計されており字種が大変豊富。視認性が非常に良く、コンデンス体があればサインとかにも良さそう。7ウェイト。
みなさま秋の大型連休シルバーウィーク、いかがお過ごしでしょうか。筆者はというとまぁぼーんやり…うるさい聞くんじゃないよ! シルハラ(シルバーウィークハラスメント)ですよ! とまぁそんな話はさておき、気まぐれにブログを更新する。
ステムに太細の差があるサンセリフ。一応ステムの端が微妙に広がっているが、フレアセリフと呼ぶにはあまりに微妙過ぎる書体である。カウンターは広めだが字間が狭く、その辺りがちょっと今っぽくなく古臭い。まぁ組む時に広げればいいのだけれど、字間ひとつでこんなに雰囲気が変わるものかとちょっと驚く。イタリックはちゃんとイタリックしているが、字幅がアップライトとあまり変わりない。細いウェイトが結構エレガント。7ウェイト。
オランダ風味のあるローマン。オランダ風味って何よ、っていうと、筆者自身が思う特徴として、コントラストが強めでトランジショナルに近く、各字幅にあまり差がなく一定でカウンターも大きめ、という感じである。この書体は加えてステムに抑揚があり、よくよく見るとセリフに近づくにつれややステムが広がっている。あとボウルにちょっと尖った部分があるのも特徴的。1947年に発表された結構古い書体で、当初はもちろん活字であり、De Roos という名前だった。実は筆者の名刺を嘉瑞工房さんで刷っていただいた際、欧文の小さいヤツにはこれを選択した。セリフが楔を打ちこんだようにギッとなっており、結構気に入っている。このデジタル版は3ウェイトあり、インラインタイプの Initials もある。
9月12日、タイプデザイン界の巨匠、Adrian Frutiger アドリアン・フルティガー氏が亡くなられた。享年87。6月に Hermann Zapf ヘルマン・ツァップ氏が亡くなられてから3ヶ月、今年は2大巨頭が相次いで亡くなられるという忘れられない年となった。
フルティガー氏は数多くの書体をデザインされたが、もっとも有名なのはこの Univers だろう。この書体は皆さんご存知の通り、初めてナンバーシステムが導入された(*)書体である。55というのをレギュラー・アップライトとし、10の位をウェイト、1の位の奇数が字幅、偶数をそのイタリックとしてシステム的に体系化してファミリー展開を行った。2010年に改定されたこの Univers Next では数字が3桁になり、100の位がウェイト、10の位が字幅、1の位の0がアップライト、1がイタリックとなっている。ファミリーも71と増えており、他、セリフの付いたモノスペース版の Typewriter とアラビア文字バージョンも作られている。フルティガー氏は亡くなられたが、氏の書体は今も世界中で使われており、その内のいくつかはまた改定されてファミリーを増やすかもしれない。氏が生み出したその宇宙(Univers)はまだまだ限りなく広がり続けていくだろう。今頃はツァップ氏と何を語り合っておられるだろうか。それを想像すると何となく微笑ましく感じさえする。ご冥福をお祈りいたします。
*ナンバーシステムはこれが初ではないという指摘をいただいたので訂正します。