コントラストの弱い本文用正統派オールドスタイルローマン。一見普通なのだが、拡大してみると細部にまで手を抜かずどこかしら手が入っており、単純な線がどこにもない。ボウルは繋がってない所が多い。イタリックはだいぶルネッサンス期っぽくなっており、d などは古いスクリプトの形をしている。字種は豊富で、ヨーロッパ各国をフォローしている他、オーナメント類も少々入っている。2ウェイトしかないが、とにかくとてもデザイン的に安心する書体である。Typekit に入っているので、Adobe CC な人は購入の必要なし。名前は「カササギ」という小鳥の事で、そのグリフが入っている。
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本日は赤穂浪士討ち入りの日として有名だが、世界的には『南極の日』らしい。1911年、人類が初めて南極大陸に上陸した日だとか。それまでは微妙に「あるよね」ぐらいの認識で、なので「発見」がいつなのか曖昧になっているが、上陸はもうこの日でハッキリしているようだ。それまではサンプルの地図のように南極大陸の存在が認識されていなかった(その前は南北アメリカ大陸も知らなかったしね)。これは1531年にフランスの Oronce Finé(ラテン名 Oronteus Finaeus)という人が発行した世界地図で、この書体はその地図にある文字を元に起こしたものだそうである。印刷のかすれもそのまま再現されており、アウトラインは整理されていない。多分この地図にはなかったと思うが、数字はライニングとオールドスタイル、あとスモールキャップスも追加されている。あんまり使い道もないとは思うが、まぁたまにはこんなんもいかが。
本日は紅茶の日。という事で、英国で午後に紅茶を飲む習慣である「アフタヌーンティー」をそのまま店名にしている某店(バレバレ)のロゴ、に近い書体を紹介。近いというか多分これじゃないかと思う。20世紀前半に活躍したアメリカのタイプデザイナー、Morris Fuller Benton がデザインしたベネチアン書体のオープンフェイスタイプである。クラシックで優雅な雰囲気があり、英国の貴族趣味を表現するのにもってこいだろう。Linotype はこのオープンフェイスしか書体にしてないみたいだが、当然ノーマルタイプもあり、それは URW++ と Lanston Type Company (LTC) が書体化している。筆者は LTC の方が好みかな。スワッシュイタリックが優雅である。
今どき珍しい、ウェイトファミリーのないクラシックなローマン。18世紀にベルギーのルーヴェンという街で、Martin van Overbeke という人が印刷した本の書体を参考にしたとある。x-ハイトが大きくややコンデンス気味で(特に a が潰れてる)ビジネスライクだと紹介されてるが、A の腰が高かったり N や M の肩が張り出してたりと、クラシックで品が良い感じが筆者好みである。イタリックとスモールキャップスはあるが、前述した通りウェイトはレギュラーのみ。まぁ当時はそんなもんだったのでいいかなとも思う。その代わり字種は豊富で、ヨーロッパ全域はカバーしている。ただいま50%オフセール中。
ヌメっとしたクラシカルなローマン。ストロークのコントラストが弱くてセリフもやや太く、x-ハイトも小さめと、e のバーが斜めじゃないというだけでほとんど雰囲気的にはヴェネチアン。イタリックはカリグラフィー風味が強く、大文字にはスワッシュがついている。可読性はなかなか良いのではないだろうか。ファミリー展開は弱いが、字種はプロ仕様。全体的に非常に筆者好みの書体。フォーマルな用途にもいいのでは。
まだまだ暑いが暦の上では秋。秋茄子は嫁に食わすな、という事で、スペイン語でナスの名を持つこの書体を紹介。フレンチ風味のあるかわいらしいローマン。拡大すれば判るが直線部分はなく、どこも僅かに沿っていてオーガニックな雰囲気を醸し出している。イタリックは手書き風味がふんだんに出ており、ほぼスクリプト。オルタネートも豊富にある。全体的に非常にエレガントで、結婚式とか華やかな雰囲気を演出するのに持って来い。Std、Pro 版ともに4ウェイト。ここのファウンダリーのウェイト名の付け方は独特で、スペイン語で「白」から「黒」までをグラデーションで表現している。
名前が目を引いたので紹介。新しい Garamond って事のようである。シルエットやエレメントは Garamond のようだが、コントラストがかなり強くなっており、トランジショナルに近い。x-ハイトも大きく、アセンダーやディセンダーは小さくなっていて、イタリックの字幅もかなり大きい。優雅さがちょーっとなくなってるかなという感じ。まぁそれが Nova という事なのだろう。字幅はレギュラーとコンデンスの2種あり、それぞれ4ウェイトずつ。バーゲンはしてないが、元々がファミリーパックで $29.99 と格安。
※ITC Garamond のコピーのようです。なはは(汗)。
Eric Gill の絶筆(?)となった書体だそうである。Gill らしい碑文風味のあるオールドスタイルローマンだが、Gill の代表的なローマン、Perpetua と比べるとコントラストが弱く、x-ハイトが大きくてややコンデンス気味。つまりより本文向きになっているだろうか。イタリックはカリグラフィー風味が抑えられており、f にディセンダーがない。3ウェイトしかないが、Pro 版らしく字種は豊富。ちなみに制作された当時は通常の手組みの活字版と Linotype 版があったようで、Linotype 版は Pilgrim という名前だったそうな。
ディスプレイ組みが充実しているオールドスタイルローマン。ややコンデンスでカウンターが大きくディセンダーが小さいという、新聞用の特徴を備えた普通のローマンのようだが、アップライトの大文字は多くのリガチャーを持っており、クラシカルなディスプレイ組みが楽しめる。小文字のリガチャーもかなり多めで、ちょっと変わったオーナメント類も持っている。Q のテールが非常に独特で特徴的。20世紀前半のアメリカのタイプデザイナー、William Addison Dwiggins の書体にインスパイアされたとある。6ウェイト。
知らない書体だったが(笑)、セールのお知らせが来たので紹介。正統派オールドローマン。15~6世紀の Nicolas Jenson や Francesco Griffo の書体を参考にしたとあり、なるほどと思わせるクラシックなローマンである。2000年に Titling という見出し用の大文字のみのファミリーを加えた際、他のファミリーにも手を入れ字種を拡張して Pro 版としたそうな。こういうのでビシッと組んだ招待状とかもフォーマルな結婚式には非常によろしいかと思う。ただいま全ファミリーパック $245 のところを $79 セール中。今日より3日間のみなので急いで! ま、Monotype サブスクリプションに組み込まれてますけどもね。
そういえば、初めて見る形の M が入っている。この字形見たことない。誰か知ってますかね。単に M のオルタネートとしてグリフに入ってるってだけかな。にしてもオーナメントとしても見たことない。なんだこりゃ?
※追記:数学記号で P の筆記体であり、ヴァイエルシュトラスの楕円函数というものに使用するものらしく、本来 U+2118 に入れるらしい。ほおお…。