正統派スコッチローマン。スコッチなのかローマンなのかよく解らないが、1760年頃にスコットランドのプリンター、Alexander Wilson という人がデザインしたローマンをデジタル化したもの。「新しい Baskerville」として位置づけしてるようだが、さほどトランジショナルな感じはせず、どちらかと言えば Caslon のようなオールドスタイル、それも何の奇もてらわない、当たり前を当たり前にした堂々としたローマンである。かなり昔に気に入っていたのを突然思い出したので紹介する。単独購入が可能だが、Monotype サブスクリプションにも入ってる。
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スタンダードな正統派ローマン。ベルギーはアントワープにある、プランタン=モレトゥス博物館に眠っていた Robert Granjon(16世紀のパンチカッター)の校正刷りから起こした書体だそうで、その「プランタン」の名が付けられた。ややエクステンド気味でアセンダーやディセンダーは短く、結構ずんぐりしたシルエットである。イタリックは古い書体によく見られるように、カリグラフィック風味が強くエレガント。ベルギー、ね。ワッフルおいしいし、ピエール・マルコリーニとか素晴らしいショコラティエもあるし、ビールはものすごい種類があることが有名だ。フランボワーズ、桃、カシス、オレンジ等々いろいろフルーツを漬け込んだ(あるいはシロップを足した)ものがあり、中でもクリーク(さくらんぼ)を漬け込んだヤツは筆者お気に入り。負けるなベルギー。
Garamond のオリジナルをなるべく忠実に再現した Garamond。16世紀当時の印刷状態から再現されており、そのためフチがラフになっている。とはいえまったくそのまんまという訳でもなく、一応書体として整えられている。字種も拡張され、汎ヨーロッパはカバーしている模様。また c や m などにターミナルレターがオルタネートで付属しており、イタリックにはスワッシュつきの大文字もあり。小さいとラフな感じもそんなに目立たず、案外本文いけるんじゃないかなーと思う。版元の Archive Type は、名の通りこういったコンセプトの書体を得意としているらしく、他にも多数発表している。
本年最後の投稿。という事で「第九」の名を持つ書体を紹介(笑)。Nimbus という名で、ローマン以外にもサンセリフやモノスペースの書体が展開されているのだが、これは Roman No 9 という書体で、普通の Roman よりウェイトが若干軽く、またファミリー展開が豊富になっている。Time Roman に近い印象の、古いタイプのスタンダードなトランジショナルローマン。イタリックの小文字がアップライトより若干ウェイトが軽めになっていたりするのが、なんか通好み。コンデンスタイプもあり。それでは皆様、良いお年をば。よ~ろ~こ~び~の~うた~♪
ほんの少しだけ手書きのニュアンスが残る、クラシックなオールドスタイルローマン。拡大してよ~く見ると判るが、ステムの中心部がくびれており、伸びやかな印象がある。セリフは太めで、こちらも真っ直ぐではなく弧を描いている。イタリックもだいぶカリグラフィ寄り。このテのデザインは活版印刷初期の頃によく見られたが、プロポーションは現代的で、なんだか古いようで新しい不思議な感じのする書体。非常に筆者好みである。出た当初はあちこちで賞を受賞した模様。5ウェイト。
やや古めかしいタイプのトランジショナルローマン。よくよく見ないと判らないが、微妙な曲線が多用されていてほんのりデコラティブ。元々お伽話を組むためにデザインしたとかで、そういう雰囲気に似合うデザインとなっている。q のディセンダーセリフが特徴的。オーナメントにはツタの絡まったイニシャルの他、魔法使いや小人などのイラストアイコンが多数ある。2ウェイト。ただいま30%オフセール中。
本日J-Waveが007特集で、それ関連の重た~い音楽ばっかり流れてるので、それに似合う(と個人的に思う)書体を紹介。有名定番本文用書体・Caslon のディスプレイ特化版。コントラストが強く、雰囲気的にはモダンローマンに近い。どっしりとしていながらラグジュアリー感もあり、真っ黒で使うとタキシードでキメた英国紳士のような雰囲気がある(強引か?)。Mac にも標準搭載されてるが Medium ウェイトしかなく、こちらの版では3ウェイトあり、イタリックまである。…実を言うと筆者は007を一本も観たことがない(笑)。わははは。
スタンダードな本文用トランジショナルローマン。元は活字で古い書体だが、x-ハイトが大きくアセンダー・ディセンダー共に小さい、という最近の書体に多い特徴を持っている。長い文章を読みやすくするための工夫だろう。イタリックはなんかギリっとした堅く鋭い雰囲気がある。確か当時、ダンテ全集を出版する際に作られたとかなんとかいうのをどこかで読んだ気がするが、ちょっとソースが探せない。間違ってたらスンマセン。6ウェイト。2013年には Dante eText というパソコンのディスプレイでの表示に最適化されたバージョンも発表された。こちらは2ウェイト。
20世紀初期のアメリカンテイストを持つ本文用ローマン。同時期の代表的な書体・Century の影響が大きいのが見て取れるが、見出し用の Display はセリフが鋭く、細いステムはヘアラインと化しており、かなりモダンローマン寄り。イタリックは手書き風味がよく残っており、全体的に「古き好き」という感じがする書体である。発表当時は TDC を始めあちこちからいろいろ受賞した模様。現在でも MyFonts のトップセール26位にランクインしているという人気の書体。Text は4ウェイト、Display は6ウェイト。
最近購入した A Guy’s Guide to Shoes という靴の本の本文がこの書体で美しかったので紹介する。Goudy らしいちょっと変わったオールドスタイルローマン。元はカリフォルニア大学バークレー校(UCB)のためにデザインされた California Old Style という書体だそうで、それを1983年にリファインしたものらしい。欧米ではこのように大学で書体を制作することがあるようで、最近では Matthew Carter さんがデザインしたイェール大学の Yale がある。Yale は残念ながらイェール大学関係者しか使えないようだが、この Berkeley は一般販売されている。大きく使って品が良く、小さく使って読みやすい。この書体の存在はもちろん知っていたが、こんなにいいものだとは思わなかった。長く残る書体というのはやはりそれなりの良さがあるなぁと思った次第。ちなみにアメリカ最高の巨匠と言われる Goudy が書体制作を始めたのは、40歳を過ぎてからだそうである。人間いくつになってからでも挑戦できるね。