お気に入りのCanada Typeの書体を紹介。やや刺々しくてコンデンスなローマン。どっちかというとディスプレイに近く、あまり長い文章には不向き。エフェメラのボディコピーなら耐えられるかなという感じ。’30年代後半のドイツの活字が元になっているそうな。元の活字の作者は不明だが、そう言われればKoch Antiquaによく似てはいる。この書体の売上の20%はタイポグラフィを学ぶ学生のための奨学金に寄付するそうな。
※元の書体のデザイナーはElizabeth Friedlanderという人で、この書体はNeufville Digitalからも出ているとの情報を得た。ありがとうございました。
Category: Serif
Mantiniaと似たような、クラシカルなディスプレイローマン。ややステムの抑揚が強くクセが強いが、Mantiniaにはない小文字があり、かつリガチャーやオルタネートが非常に豊富。ただ、これらの使い方を知っている人は少ないように思う。中世の古い文献を紹介してるような書籍なら使用例を見ることができると思うので、興味のある方は調べてみて欲しい。あと販売サイトでは、通常の量を遥かに超える50ほどの作例も見ることができる。名前はスペイン語(あるいはポルトガル語)で「エメラルド」の意。決してフェニックス一輝の愛した少女のことではない。
ゴールデン第2弾(笑)。こちらはウィリアム・モリスのケルムスコット・プレスで使用された書体をデジタル化したものである。モリスやケルムスコットについては、死ぬほどうるさい人達がいると思うので詳しくはそちらに譲るが(笑)、簡単に説明すると、モリスは19世紀の英国人で、詩人で、デザイナーで、プロダクトプロデューサーで、社会主義の運動家で、まぁとにかくなんでも来いのスーパーマン。「近代デザインの祖」と呼ばれ、このヒトを知らないデザイナーはモグリだ(勝手に決めるな)。一般にはアーカンサス柄の壁紙で大変有名だが、我々書体ヲタクたちには印刷業の方で名を馳せている。自ら書体を設計、出版した『チョーサー著作集』は世界3大美書のひとつに数えられているほど。フォントメーカーのモリサワは、このケルムスコットの出版物を全種コレクションしている。うろ覚えだが、確かカリグラフィーをやってはエドワード・ジョンストンに影響を与えたり、叙事詩ベオウルフを現代語訳してはトールキンに影響を与えたりと、それぞれを別々に知ったのだが、私の趣味嗜好はなんだかこの人に集約している気がする。アイリッシュはどうだったんかな…。
銅板系ローマン。一時期ウチの事務所のロゴに使用していた書体である。銅板系(カッパープレート)というと優雅なスクリプトを思い浮かべるだろうが、Copperplate Gothic や Escorial などに代表されるように、サンセリフやローマンなども色々ある。見分け方は…うーん。まぁどことなく「銅板系かな」という雰囲気がある(笑)。こういう書体はフォーマルなもの、例えばパーティの招待状や名刺などに小さく使うのがオシャレとされており、看板などに使うのはあまり品がないのではないかと思う。この Aviano はスタイルに多数のバリエーションを持っている。シチュエーションに合わせて使い分けてもおもしろいだろう。
名前の通り、英国内の古い碑文にインスパイアされたローマン。格調高く非常に美しい。もう何の説明も必要ない。ただただ見て欲しい。qのオルタネートに大文字の形を持っているのが特徴。イタリックにはEric Gillの影響が見て取れる。テーラーのショーウィンドウなんかに小さくこれで店名を書いてあれば、なんかもうそれだけで入店をはばかられるねよね(はばかっちゃイケナイけど)。3ウェイト。
これも碑文系と言えば碑文系かな。というワケで、かなり私好みの書体。x-ハイトが大きめな小文字が揃っており、イタリックやウェイトの充実もあって、十分本文用として耐えうる設計になっている。ボウルの所々が欠いてあるため風通しが良くなっており、そのお陰で名の通り涼やかで上品な雰囲気がある。葉山に避暑に来るご令嬢のようだ(行ったことないけど)。これからの季節、初夏にかけてよくマッチする書体じゃなかろーか。
※2016年、Cyan Neue という拡張された新バージョンが登場している。
これもTypodarium本日の書体(笑)。一応言い訳をすると発表当初からキレイな書体だなーと目をつけてはいた。かなり細身のディスプレイローマン。大変エレガントで上品な書体である。大きく使うと古い映画のタイトルのようだ。サンプルではオーナメントがあるように見えるが、実はない(笑)。作者がロシア人のため、ラテン文字のみならずキリル文字も入っている。両方共リガチャーが豊富で、キリル文字のはあまり目にする機会がないと思うので参考になるだろう。ウェイトやイタリックなどのファミリーはないが、サンセリフ版がある。
筆者の大好きな書体のひとつ。Hermann Zapfさんの奥さん、Gudrun Zapf von Hesseさんデザインの古い書体を、小林章さんが改刻しファミリーを増やして2009年に新しくDiotima Classicとして発表したもの(新しいのにクラシックとはこれいかに)。元々は(Classicでいう)Lightウェイトしかなかったが、3ウェイト増やして4ウェイト8種となった。カウンターが広めでステムに程よい抑揚があり、どことなく女性らしさを感じる優しい書体である。小林さん著『フォントのふしぎ』pp.82–3に看板での使用例を紹介してるが、これがホントに良い。手元に同書がある方はぜひご確認を。同じGudrunさんデザインのAriadneやSmaragdとよくマッチするので、合わせて使ってみてはいかが。実はこれだいぶ前に買ったんだけど、ファイルがどっか行ってしまった…とほほ。
デコラティブなオーナメントが付いたオールキャップス。書体そのものの字形はちょっとイマイチな気がするが、サンプルイメージにあるようなオーナメントが付いている。オーナメント付きのHeadline(小文字グリフにはオーナメントなしが割り当てられてる)、オーナメントなしのNoSwashes、それに重ねて使うオーナメントのみのSwashesがある。文字本体とオーナメントの色を変えて使いたい時は後者を使うといいだろう。サイトへ行って作例を見てもらえれば解るが、うまく使えばかなりキレイ。筆者のお気に入りの書体。
碑文系(?)書体連続第3弾。これまでにもこの系統はいくつか紹介しているが、基本的に好きなんだな。Georgiaでお馴染みのMatthew Carterさんによるローマンキャピタル。他のものに比べプロポーションもずんぐりしてセリフは刺々しいが、この書体のいい所は何と言っても字種の豊富さ。リガチャーやライズドキャピタルがたくさんあり、組んでいるだけで楽しくなってくる。作例の白眉は英国Penguin BooksのGreat Ideasシリーズ第1弾の2・Meditationの表紙かな。実はこの書体を気に入るあまり、一時期ケータイのメールアドレスをmantiniaにしていた。スパムが多くなったので泣く泣く手放したが…ちきしょー。
※ちょいちょいRaised Capitalという用語を使っているが、正しかったか不安になってきた…誰か教えて。