クラシカルなヴェネチアン。20世紀前半に活躍したアメリカのタイプデザイナー、Frederic W. Goudy が自身のプライベートプレス、Village Press のためにデザインした書体だそうな。ヴェネチアンはx-ハイトが小さいものが多く、やや可読性に難があったりするが、この書体はカウンターも広めで小さく使っても読みやすいだろう。ただし1ウェイトのみでイタリックもないというのがちょっと悲しい。その分非常に安いので気軽に使えるだろう。ジョブプリント(端物印刷)が主なプライベートプレス用の書体らしく上品で、招待状などに使うと綺麗だと思う。
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20世紀前半風のクラシカルなディスプレイ。基本的にサンセリフだがタテヨコのコントラストが大きく、またコンデンスなのでちょっとエレガントな雰囲気がある。当時の映画とか店の看板などにこういうのが多かった気がする。R のレッグが伸びて隣の文字を持ち上げたグリフが6つほど。小文字はなくスモールキャップス。1ウェイト。
デコラティブなヴィクトリア朝ディスプレイ。植物的なニュアンスのオーナメンタルな書体で、19世紀英国のクラシカルな雰囲気がよく出ている。細いラインのオーナメントも全部この書体のファミリーにある。使いこなすのは結構難しいとは思うが、この辺の雰囲気がお好きな方にぜひオススメ。
フレンチ風味のある活字スクリプト。1927年に Albert Auspurg という人がハンブルクにある Trennert というファウンダリーのためにデザインした書体だそうな。大文字は結構デコラティブで、小文字は縦のステムがテーパードになっているのが特徴的。各文字は一見コネクションがありそうだが、実は繋がってない。名前は、パリのシャイヨ宮が現在建っている場所にかつてあったトロカデロ宮殿からとったものと思われる。制作は古い活字書体のリバイバルを得意とする RMU。筆者お気に入りのファウンダリーのひとつである。1ウェイト。
ちなみに最下部にある Ars longa, vita brevis とはヒポクラテスが言ったとされる言葉で、ラテン語で「芸術は長く人生は短い」という意味。日本の格言でいうところの「少年老い易く学成り難し」と同義とされる。
しゃくれた a が特徴的なオールドスタイルローマン。a の他にも、セリフのない c やティアドロップのない y のディセンダーなど、ちょっと変わった字形が多い。イタリックは手書きのカリグラフィー風味が多分にあり、傾きも強い。オーナメントもブロードペンでデザインされており、やや大きめ。骨格は正統派で字種も大変豊富だが、どっちかというとディスプレイ向きかなと思う。名前はポルトガル語でトランプゲームの「ソリティア」の事らしい。4ウェイト。
バレンタインも終わったという事で通常運転に戻る。美しい Garamond 風味の正統派オールドスタイルローマン。腰高でカウンターを絞り、優雅な雰囲気を持った堂々としたローマンである。レギュラーの他、腰を落としカウンターを広めにした Garamond、やや手書き風味の Infant、字形の大小が混ざった Unicase、イタリック風味を持ちながら傾きがない Upright とバリエーションがあり、レギュラーと Garamond、Infant にはイタリックも用意されている。キリル文字もサポートしており、さらにそれぞれに5ウェイトずつとビッグファミリー。これだけあってなんと無料であり、Google Fonts で Web フォントとして利用できる他、ダウンロード・インストールして使うことも可。高級靴の Crockett & Jones のサイトで使用されており、非常に良い雰囲気を醸し出している。ちなみに名前は鵜飼いで有名な鵜(ウ)の事。
※後で気づいたけど本記事が1000件目です。パチパチパチ
本日は Black Friday。前日11月第4木曜日がアメリカでは Thanksgiving Day(感謝祭)で、その翌日の金曜はモノが売れに売れてどの店も黒字になることからこう名付けられた。去年辺りから日本でも便乗商法が目立ち、何の感謝もしてないのにそこだけ乗っかるというオトナの嫌らしさが鼻につくが、同じく何の関係もないヨーロッパでもかなり便乗してるようなので(笑)まぁどこも一緒よねと感じである。
ていうワケで発音はブラックなこの書体を紹介。ゲーム・アニメ界隈が喜びそうなデコラティブなブラックレター。19世紀のタイプデザイナー、Henry W. Troy という人のデザインした Trojan Text という書体がベースになっているとのこと。繊細で植物的なオーナメントでハデに装飾されており、ブラックレターではあるものの、カリグラフィーの手法ではとても書けそうにない。元の書体には小文字や数字もあるようだがこちらにはないので、イニシャルとしてぐらいしか使い道がない所が残念。ただいま30%オフセール中。
本日は日本的には「いい夫婦の日」として有名だが、ケネディ大統領が暗殺された日でもある(1963)。っつーわけで「大統領」の名を持つ書体を紹介。名にふさわしいエングレーブドローマンである。名人アドリアン・フルティガー Adrian Frutiger の手による。元はフランスの Deberny et Peignot という会社のためにデザインされた活字を、Linotype がデジタル化したものである。ほとんどコントラストがなくやや幅広。小文字はなくスモールキャップス。とまぁこのテの書体の特徴そのままで、これといって変わったところはない。ま、そんな感じである。ところでケネディ大統領、暗殺時の年齢は46歳だそうで。筆者と1コ違いというのが驚愕である…こんなおっさんでごめんなさい。
優雅なカッパープレートスクリプト。ディプロマというと証書・賞状などの意味なので格式ある感じなのかと思いきや、太いストロークの始点が自然な形をしており、全体的にもやや緊張感ゆるめでゆったりしたデザインである。スワッシュはご多分に漏れず多めに用意されているが、スワッシュライン自体には抑揚がなくモノラインなのがちょっと変わってるだろうか(Ornament というファミリーには抑揚のあるラインが用意されてはいる)。このテの書体にしては可読性が良く、使い勝手が良いだろう。
もう今さらながらしつこくハロウィン特集。このブログでも度々紹介している Lanston Type Company のハロウィンオーナメント。書体もクラシックでデコラティブなものが多いので、この辺の雰囲気は得意なのだろう。ま、よかったら使ってね。