本日は七夕。これに合わせネタを探していたが、Milky Wayというなんか微妙なフリーフォントが見つかった以外、ロクなものは見当たらず。まぁ日本や韓国、中国の風習なので欧文にはそれにまつわるフォントなんかないの当たり前よね。んで色々考えた結果、織姫=織物=テキスタイル=テキストゥーラ=ブラックレターと強引にこじつけてこの書体を紹介する。名前もまぁキラキラしてていいかな(笑)。装飾は少なく、割とスッキリしたブラックレター。非常に珍しいことに、スモールキャップスとオブリークがある。ブラックレターは慣れないと字が判別しづらく、一般にはかなり読みづらいが、これは読みやすい方だと思う。結構使えるんじゃなかろうか。投稿時点で30%オフセール中。
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本日はアメリカ独立記念日。いわゆるインデペンデンス・デイである。ウィル・スミスがトミー・リー・ジョーンズと宇宙人退治をした…あれ? どっちだっけ。まぁいいや。誰でも知ってる書体・Caslonはその汎用性からそりゃもお様々な文書に使われ、アメリカの独立宣言書もこれで組まれたとか組まれてないとか。そんなワケでCaslonを紹介したいと思う。Adobe製品をインストールすれば自動的に入ってくるAdobe Caslonが一番一般的だが、それを紹介してもおもしろくもなんともないので、18世紀当時の見本から印刷のかすれなどもそのままに再現したこの書体を紹介する。活字は、同じ書体でもサイズによって微妙にデザインが違っているのが普通で、このファミリーは12、30、42、96ptの4種類を見本に制作されている。96pt相当の ‘Poster’ を除いた3つについてはイタリックはあるが、当時はウェイトというものがなかったので、ボールド等はない。数字もオールドスタイルのみ。代わりと言っちゃなんだが、オーナメント類は揃っている。このかすれた書体を観ながら、歴史に思いを馳せるのもよろしいんじゃなかろうか。
本文用ローマン。ルネッサンス期の活字を参考にデザインしているとあるクラシックでエレガントな書体。なんか太さが不安定なステムで、活版印刷でのかすれを再現している…のかな。アップライトは注意しないと判らない程度に右に傾いている。イタリックはそれよりもさらにちょっとだけ右に傾いていて、大文字だけだと違いが分かりにくいほどだが、小文字にはちゃんと手書き感が出ている。ウェイトのバリエーションはないが、字種が大変豊富でオーナメント類もちょろっとある。非常に筆者好みの書体ではあるが、多分これを使うような仕事はない(涙)。
※なんとAdobe Typekitで使えることが判明。Creative Cloudをご利用の方は要チェケラ。
また碑文系書体の紹介。偏ってるなぁ…まぁいいや。見ての通り、古代ローマの碑文書体のプロポーションを持ったサンセリフ。なかなかありそうでなかった書体。クラシカルでありながら古すぎず、現代ではこの方が使い勝手がいいかもしんない。名前が同系統の代表書体・Trajan のパクリじゃね? とか思った人は勉強不足。そもそも Trajan もトラヤヌス帝の記念柱の碑文から取ったからそうなっているだけ。この碑文はタイポグラフィの教科書を開けばほぼ必ず出てくる。すべてのオールドスタイルローマン大文字の基本である。
どうでもいいけどサンプルイメージの WHITH って WITH の誤植では…。
Mantiniaと似たような、クラシカルなディスプレイローマン。ややステムの抑揚が強くクセが強いが、Mantiniaにはない小文字があり、かつリガチャーやオルタネートが非常に豊富。ただ、これらの使い方を知っている人は少ないように思う。中世の古い文献を紹介してるような書籍なら使用例を見ることができると思うので、興味のある方は調べてみて欲しい。あと販売サイトでは、通常の量を遥かに超える50ほどの作例も見ることができる。名前はスペイン語(あるいはポルトガル語)で「エメラルド」の意。決してフェニックス一輝の愛した少女のことではない。
ゴールデン第2弾(笑)。こちらはウィリアム・モリスのケルムスコット・プレスで使用された書体をデジタル化したものである。モリスやケルムスコットについては、死ぬほどうるさい人達がいると思うので詳しくはそちらに譲るが(笑)、簡単に説明すると、モリスは19世紀の英国人で、詩人で、デザイナーで、プロダクトプロデューサーで、社会主義の運動家で、まぁとにかくなんでも来いのスーパーマン。「近代デザインの祖」と呼ばれ、このヒトを知らないデザイナーはモグリだ(勝手に決めるな)。一般にはアーカンサス柄の壁紙で大変有名だが、我々書体ヲタクたちには印刷業の方で名を馳せている。自ら書体を設計、出版した『チョーサー著作集』は世界3大美書のひとつに数えられているほど。フォントメーカーのモリサワは、このケルムスコットの出版物を全種コレクションしている。うろ覚えだが、確かカリグラフィーをやってはエドワード・ジョンストンに影響を与えたり、叙事詩ベオウルフを現代語訳してはトールキンに影響を与えたりと、それぞれを別々に知ったのだが、私の趣味嗜好はなんだかこの人に集約している気がする。アイリッシュはどうだったんかな…。
ゴールデンウィーク真っ只中という事でGoldenな書体を(笑)。20世紀初頭に活躍し、PerpetuaやGill Sansなど数多くの名作を残した英国のタイプデザイナー、Eric Gillのデザイン。中でもこれはマイナーな方である(笑)。少々ヴィクトリア趣味の強い書体で使用するシチュエーションを選ぶとは思うが、まぁおもしろいんじゃなかろうか。あまりいいサンプル画像がなく、詳細は販売サイトなどで確認して欲しい。
銅板系ローマン。一時期ウチの事務所のロゴに使用していた書体である。銅板系(カッパープレート)というと優雅なスクリプトを思い浮かべるだろうが、Copperplate Gothic や Escorial などに代表されるように、サンセリフやローマンなども色々ある。見分け方は…うーん。まぁどことなく「銅板系かな」という雰囲気がある(笑)。こういう書体はフォーマルなもの、例えばパーティの招待状や名刺などに小さく使うのがオシャレとされており、看板などに使うのはあまり品がないのではないかと思う。この Aviano はスタイルに多数のバリエーションを持っている。シチュエーションに合わせて使い分けてもおもしろいだろう。
名前の通り、英国内の古い碑文にインスパイアされたローマン。格調高く非常に美しい。もう何の説明も必要ない。ただただ見て欲しい。qのオルタネートに大文字の形を持っているのが特徴。イタリックにはEric Gillの影響が見て取れる。テーラーのショーウィンドウなんかに小さくこれで店名を書いてあれば、なんかもうそれだけで入店をはばかられるねよね(はばかっちゃイケナイけど)。3ウェイト。
デコラティブなオーナメントが付いたオールキャップス。書体そのものの字形はちょっとイマイチな気がするが、サンプルイメージにあるようなオーナメントが付いている。オーナメント付きのHeadline(小文字グリフにはオーナメントなしが割り当てられてる)、オーナメントなしのNoSwashes、それに重ねて使うオーナメントのみのSwashesがある。文字本体とオーナメントの色を変えて使いたい時は後者を使うといいだろう。サイトへ行って作例を見てもらえれば解るが、うまく使えばかなりキレイ。筆者のお気に入りの書体。