お気に入りのCanada Typeの書体を紹介。やや刺々しくてコンデンスなローマン。どっちかというとディスプレイに近く、あまり長い文章には不向き。エフェメラのボディコピーなら耐えられるかなという感じ。’30年代後半のドイツの活字が元になっているそうな。元の活字の作者は不明だが、そう言われればKoch Antiquaによく似てはいる。この書体の売上の20%はタイポグラフィを学ぶ学生のための奨学金に寄付するそうな。
※元の書体のデザイナーはElizabeth Friedlanderという人で、この書体はNeufville Digitalからも出ているとの情報を得た。ありがとうございました。
Archive: May 2014
久々に書籍(雑誌?)を紹介。年2回発行されているタイポグラフィ専門誌の今月発売の第5号。小林章さん・嘉瑞工房全面協力の、相変わらずコア過ぎず柔らかすぎずのちょうどいい内容で(まだ全部読んでないが)、文字に興味のある人すべてにお薦めです。今号の内容は同誌のFacebookページをチェケラっちょして欲しい。
ちょっと懐かしい書体を紹介する。かつてEmigreというタイポグラフィ雑誌があった。元々ここはファウンダリーで、’80年代後半から’90年代にかけてエキセントリックなフォントを次々とリリースし、この雑誌は当時のデザイン業界のトップを走っていた。若いデザイナーは、みんなこぞってこの雑誌を読んだものである(正確には眺めてた・笑)。んで、Emigreと聞いて私が一番に思い浮かべる書体がこれである。多分Emigreを代表する書体と言っても過言ではなく、私と同年代のデザイナーはだいたい見たことあるだろう。数年前、アートディレクターの佐藤可士和氏が明治学院大学のCIに採用したので知っている方もいるはず。
実はこの書体、ネーミングの際に一悶着あった。作者が考えていた元々の名前はMansonで、これはアメリカの有名な凶悪犯チャールズ・マンソンからとったものだったが、これをEmigreは勝手に変更したらしい。被害者感情に配慮してのことだった。本人はただ宣伝しやすいようにということだったが受け入れられず、最終的にはこの変更を飲んだらしい(この辺の詳しい顛末は作者の著書を参照して欲しい)。しかしこの名前には未練があるようで、サンプルイメージには Ma[n]son と n を括弧書きして残している。
また碑文系書体の紹介。偏ってるなぁ…まぁいいや。見ての通り、古代ローマの碑文書体のプロポーションを持ったサンセリフ。なかなかありそうでなかった書体。クラシカルでありながら古すぎず、現代ではこの方が使い勝手がいいかもしんない。名前が同系統の代表書体・Trajan のパクリじゃね? とか思った人は勉強不足。そもそも Trajan もトラヤヌス帝の記念柱の碑文から取ったからそうなっているだけ。この碑文はタイポグラフィの教科書を開けばほぼ必ず出てくる。すべてのオールドスタイルローマン大文字の基本である。
どうでもいいけどサンプルイメージの WHITH って WITH の誤植では…。
Mantiniaと似たような、クラシカルなディスプレイローマン。ややステムの抑揚が強くクセが強いが、Mantiniaにはない小文字があり、かつリガチャーやオルタネートが非常に豊富。ただ、これらの使い方を知っている人は少ないように思う。中世の古い文献を紹介してるような書籍なら使用例を見ることができると思うので、興味のある方は調べてみて欲しい。あと販売サイトでは、通常の量を遥かに超える50ほどの作例も見ることができる。名前はスペイン語(あるいはポルトガル語)で「エメラルド」の意。決してフェニックス一輝の愛した少女のことではない。
本土の方はまだだろうが、沖縄は梅雨まっただ中。なので「雨の前に」なんていう名前の書体を紹介。大文字と小文字のサイズの差が大きく、大文字はカウンターを広めに取っているのが大きな特徴。リガチャーやスワッシュなども割と豊富。作者はスウェーデン人の模様。全体的に女性性が強く出ているように感じるが、北欧系の名前に疎いので、名前だけでは男性か女性かさっぱり判らん。
母の日第2弾。花のシルエットをフォント化したもの。…まぁそれだけ。こういったフォントはいくつかあるが、中でもこれはデキがいい。Uのグリフがカーネーションっぽく見えなくもないかな…。この We Love Nature シリーズはいくつかあって、この Stems のバージョン2、夏の花だけに特化した Summer Flowers、花の部分だけのシルエット Blooms とそれのアウトラインの Blooms Outline、葉っぱだけの Leaves、その秋の落ち葉バージョンの Autumn Leaves、木(?)のシルエットの Forest がある。あいをこめ~て~は~なたばを~♪
今週末は母の日。いつもおいしいご飯を作ってくれる(くれてた)あなたの私の母に感謝を込めて、台所用品のイラストフォントを紹介。これで肩たたき券でも作ってプレゼントすれば喜ばれるんじゃなかろうか(そうか?)。おかあさんありがとう。
久々の投稿。皆様GWはいかがお過ごしでしたでしょうか。俺は仕事だよ!(激おこ)
まぁそんな事はさておき、能書家が専用のペンを使って書いたのではない、普通の人の普通のペンによるガチな手書き感のあるスクリプトを紹介する。何年か前、とある高級車のCMで、チャールズ・イームズの言葉を手書きしてるようなアニメーションが流れていたが、使われていた書体が非常に優雅なカリグラフィー書体・Zapfino で、ものすごく違和感があったのをよく覚えている。ラストのイームズのシグニチャーともまったく合っていなかった。ああいう用途にはこの Quickpen のようなスクリプトを使ってもらいたいもんである。まったく激おこぷんぷん丸。
もうゴールデンネタが切れた(笑)ので別のものを。『5月の花』(May flower)という言葉がある通り、ヨーロッパでは5月は花の季節。ということで華々しい書体を紹介する。見ての通りのお花畑なイニシャル。長文の一番最初の1文字だけ大きくする Drop Caps という手法で使うのが一般的だろう。決してこれだけで単語や長文を組んだりしないように(そんなヤツいるか?)。文字の入っていないオーナメントだけのものもあり、お気に入りの書体の下に敷くのも良い。
ちなみに英国には March winds and April showers bring forth May flowers (3月の風と4月の雨が5月の花を咲かせる)という諺がある。その通り英国では3月は強い風が吹き、4月は雨ばかり。しかしその風が種を運び、水を得るからこそ花は咲く。つまりツラいことがあるからこそ花は咲くのだという教訓である。…説教臭い?