英国のカリグラファーであり、カリグラフィー・タイポグラフィの研究家でもあるスタン・ナイトの著書の邦訳版。「グーテンベルクからウィリアム・モリスへ」の副題通り、古いものから順を追ってモノクロながら図版を見ることができる。フスト、キャクストン、ニコラ・ジェンソン、アルダス・マヌティウス、ギャラモン、ファン・ダイク、キャズロンなどなど、書体史をかじったことがある人なら聞いたことのある、そうそうたるメンバーの作品を少数だが一覧できるこの本はかなりおトク。著者は10年以上前にこれのカリグラフィー版を出版しており、これはこの本の監修者である髙宮教授によって翻訳されている。原書が出た時、焦って買わずによかった…多分翻訳版が出ると踏んでたけどね。にしても高いなこの本(涙)。
Archive: June 2014
本文用ローマン。ルネッサンス期の活字を参考にデザインしているとあるクラシックでエレガントな書体。なんか太さが不安定なステムで、活版印刷でのかすれを再現している…のかな。アップライトは注意しないと判らない程度に右に傾いている。イタリックはそれよりもさらにちょっとだけ右に傾いていて、大文字だけだと違いが分かりにくいほどだが、小文字にはちゃんと手書き感が出ている。ウェイトのバリエーションはないが、字種が大変豊富でオーナメント類もちょろっとある。非常に筆者好みの書体ではあるが、多分これを使うような仕事はない(涙)。
※なんとAdobe Typekitで使えることが判明。Creative Cloudをご利用の方は要チェケラ。
なんの説明もいらないと思うが、サッカープレイヤーのシルエットフォント。グリフは60種。当地では色々と問題もあるようだが、始まっちまったもんはしょうがねぇ。オ~! バモニッポ~~~ン! ニ~ッポン! ニ~ッポン! バモニィッポ~~~ン!
「(俺の自転車の後ろに)乗りなよ」と言われてもとツッコみたくなるハンドライトディスプレイ。かなり細身のプロポーションで、街のラクガキのように線がゆるゆる。ベースラインさえ揃っていない。ストリートカルチャー発とうたってはいるが、カフェ好き女子や子供向けにいいんじゃなかろうか。スワッシュやリガチャーが豊富でオーナメントも揃っており、遊び心は満載。Essentialにはオルタネートが入っていない分、安くなっている。2ウェイト。サンセリフ版もあり。
回路図のような、変わったおもしろいオーナメントをファミリーに持つスラブセリフディスプレイ。珍しく、太いウェイトは持っていない。代わりに、スラブセリフにはこれまた珍しいスワッシュのオルタネートが付いている。ちょっと使いこなしが難しいと思うが、なかなかおもしろいんじゃなかろーか。余談だが、カウンターを塗りつぶすスタイルをどうもHole(穴)と呼ぶようだ。個人的には穴には見えないが…。サンセリフ版もあり。
19世紀にアメリカにあったブルース活字鋳造所の、「No.11」という活字のデジタル版。同時期のアメリカのプリンター、Theodore Low De Vinneの名を付けられている。見ての通りBodoniやDidotにインスパイアされたものらしく、そのまま高級女性ファッション誌のタイトルになりそうな書体である。De Vinne自身はこういうモダンローマンは好きじゃなかったらしく(笑)、本人はかのCenturyをLinn Boyd Bentonに依頼して作らせている。…しまった。この辺の書体史的なものに踏み込む気はなかったんだけど。こういうのは調べ出すと底なし沼かつ多数のツッコミが入るので(笑)。君子危うきに近寄らず…。
スワッシュが豊富なディスプレイローマン。これまで紹介したように、イタリックにスワッシュが多い書体はいくらでもあるが、アップライトに豊富な書体は珍しい。一応小文字もあるが、セリフにちょっとクセがあるので長文には不向き。やはり広告やパッケージ等の短文に向いているだろう。これも好みの書体で出た当時即買したものの、やはり仕事では一度も使ってない (TдT)。オルタネートはフォントファイルが分かれているので、ちょっと使い勝手が悪い。Pro版作ってくれないかなー。似たような書体に Odyssey があるが、こっちは小文字もないし字形そのものもあんまりかなという感じ。
「小麦」という名のオーガニック(?)なディスプレイ。見ての通りフチがチョークやクレヨンで書いてあるかのようにかすれており、それが柔らかさを醸し出している。カウンターも大きめで読みやすい書体。名前の通りパン屋さんやオーガニックカフェ、児童書などによさそう。よく似た書体にMacに付属のPapyrusがあるが、こちら海外ではComic Sansと同じくらいダサいものとして嫌われているようである。個人的には「なんでー?かわいいじゃん」と思うのだが…ダメ?
セリフやブラケットが大きく、なんかぬちょっとしたローマン。アセンダーやディセンダーは小さめで現代的かと思いきや、プロポーションはなんかクラシックで、とにかく目に引っかかる特徴があって大好きな書体。g は特にフォトジェニックというかなんというか。8ウェイトあり、数字にもライニングとオールドスタイル、タビュラーとプロポーショナルと一通り揃っているが、あんまり長文には向かないだろう。紹介文にもある通り、広告やパッケージ等で力を発揮すると思う。その際はぜひともスペルに g を含んで欲しい(笑)。
投稿時点でMyFontsのトップセラー2位のサンセリフ。かなりジオメトリック寄りではあるが、プロポーションはもちろんの事、角が面取りされて丸くなっているなど、可読性を良くするための調整がなされており、長文にも十分耐えうる。g に2階建て(メガネg)を採用しているのが特徴。これにも小文字 l にループ型があるな…。作者はドイツ在住のようなので、小林さんの影響だったりするんだろうか(笑)。TDC2 2011受賞作品。作者によれば、「自分の人生を変えた書体」だそうである。これをきっかけに有名になったとか。6ウェイト。