西洋における書物の歴史をざっとさらった本。2000年にB5版で少部数のみ刷られた豪華本の復刻版だそうである。まだ二章ほどしか読んでないが、かなり丁寧に調査された上で執筆された事が伺える内容である。羊皮紙(パーチメント)とヴェラムの違いについての考察や、花切れやマーブル紙について解説など、製本を少しでもかじったことがある人ならかなり楽しめるだろう(逆に言えば知らない人にはなんのこっちゃである)。著者は「ルリユール入門」という本の翻訳もされてるのだが、そうとは知らずに持ってた(笑)。
Archive: 2014
19世紀の英国の活字鋳造所・Stephenson Blakeの古い活字のデジタル版。割と有名な書体で、多分見たことがあるだろう。あちこちからデジタル版が出ているが、だいたいコンデンス体である。こちらは中でも少々珍しい普通の字幅のもの。また、だいたいシャドウが付いているが、こちらはファミリーにシャドウなしもある。実は8年前の年賀状(おおう8年前!)で使用したことがある。急に思い出したので紹介。アルジェリアと関係があるのかどうかはよく判らない。
つい先日発表のアナウンスのあったサンセリフ。名前で解る通り、モダンローマンの代表格であるBodoniからセリフを取っ払ったもの。なんかありそうでなかったね。4ウェイトしかないが、この他にヘアライン部分を若干太めにして小さなサイズでも可読性を保持したBodoni Sans Textと、逆にヘアラインを思いっきり細くし、大きなサイズでもキレイなヘアラインが出るようにしたBodoni Sans Displayがある。投稿時点では初売りセール中で30%オフ。
コンデンスなサンセリフとローマン(セリフ)、スラブセリフのファミリー。DINよりもさらに細いため可読性が悪いかと思いきや、意外とそうでもない気がする。3種のスタイルを含んではいるが、ローマンとスラブセリフの違いがちょっとよく判らない(笑)。スラブセリフの Q にはなぜか頭にもちょんちょこりんが付いてるが、これかなぁ…。イタリックはイタリックというよりはスランテッドで、字形に違いは見られない。ちなみに米軍基地の注意書き看板とかには、こういうコンデンスな書体で大文字だけでセンター組みにしてるのをよく見かける。長文だろうとお構いなしで、威圧感満載である(笑)。
英国のカリグラファーであり、カリグラフィー・タイポグラフィの研究家でもあるスタン・ナイトの著書の邦訳版。「グーテンベルクからウィリアム・モリスへ」の副題通り、古いものから順を追ってモノクロながら図版を見ることができる。フスト、キャクストン、ニコラ・ジェンソン、アルダス・マヌティウス、ギャラモン、ファン・ダイク、キャズロンなどなど、書体史をかじったことがある人なら聞いたことのある、そうそうたるメンバーの作品を少数だが一覧できるこの本はかなりおトク。著者は10年以上前にこれのカリグラフィー版を出版しており、これはこの本の監修者である髙宮教授によって翻訳されている。原書が出た時、焦って買わずによかった…多分翻訳版が出ると踏んでたけどね。にしても高いなこの本(涙)。
本文用ローマン。ルネッサンス期の活字を参考にデザインしているとあるクラシックでエレガントな書体。なんか太さが不安定なステムで、活版印刷でのかすれを再現している…のかな。アップライトは注意しないと判らない程度に右に傾いている。イタリックはそれよりもさらにちょっとだけ右に傾いていて、大文字だけだと違いが分かりにくいほどだが、小文字にはちゃんと手書き感が出ている。ウェイトのバリエーションはないが、字種が大変豊富でオーナメント類もちょろっとある。非常に筆者好みの書体ではあるが、多分これを使うような仕事はない(涙)。
※なんとAdobe Typekitで使えることが判明。Creative Cloudをご利用の方は要チェケラ。
なんの説明もいらないと思うが、サッカープレイヤーのシルエットフォント。グリフは60種。当地では色々と問題もあるようだが、始まっちまったもんはしょうがねぇ。オ~! バモニッポ~~~ン! ニ~ッポン! ニ~ッポン! バモニィッポ~~~ン!
「(俺の自転車の後ろに)乗りなよ」と言われてもとツッコみたくなるハンドライトディスプレイ。かなり細身のプロポーションで、街のラクガキのように線がゆるゆる。ベースラインさえ揃っていない。ストリートカルチャー発とうたってはいるが、カフェ好き女子や子供向けにいいんじゃなかろうか。スワッシュやリガチャーが豊富でオーナメントも揃っており、遊び心は満載。Essentialにはオルタネートが入っていない分、安くなっている。2ウェイト。サンセリフ版もあり。
回路図のような、変わったおもしろいオーナメントをファミリーに持つスラブセリフディスプレイ。珍しく、太いウェイトは持っていない。代わりに、スラブセリフにはこれまた珍しいスワッシュのオルタネートが付いている。ちょっと使いこなしが難しいと思うが、なかなかおもしろいんじゃなかろーか。余談だが、カウンターを塗りつぶすスタイルをどうもHole(穴)と呼ぶようだ。個人的には穴には見えないが…。サンセリフ版もあり。
19世紀にアメリカにあったブルース活字鋳造所の、「No.11」という活字のデジタル版。同時期のアメリカのプリンター、Theodore Low De Vinneの名を付けられている。見ての通りBodoniやDidotにインスパイアされたものらしく、そのまま高級女性ファッション誌のタイトルになりそうな書体である。De Vinne自身はこういうモダンローマンは好きじゃなかったらしく(笑)、本人はかのCenturyをLinn Boyd Bentonに依頼して作らせている。…しまった。この辺の書体史的なものに踏み込む気はなかったんだけど。こういうのは調べ出すと底なし沼かつ多数のツッコミが入るので(笑)。君子危うきに近寄らず…。