スワッシュが豊富なディスプレイローマン。これまで紹介したように、イタリックにスワッシュが多い書体はいくらでもあるが、アップライトに豊富な書体は珍しい。一応小文字もあるが、セリフにちょっとクセがあるので長文には不向き。やはり広告やパッケージ等の短文に向いているだろう。これも好みの書体で出た当時即買したものの、やはり仕事では一度も使ってない (TдT)。オルタネートはフォントファイルが分かれているので、ちょっと使い勝手が悪い。Pro版作ってくれないかなー。似たような書体に Odyssey があるが、こっちは小文字もないし字形そのものもあんまりかなという感じ。
Archive: 2014
「小麦」という名のオーガニック(?)なディスプレイ。見ての通りフチがチョークやクレヨンで書いてあるかのようにかすれており、それが柔らかさを醸し出している。カウンターも大きめで読みやすい書体。名前の通りパン屋さんやオーガニックカフェ、児童書などによさそう。よく似た書体にMacに付属のPapyrusがあるが、こちら海外ではComic Sansと同じくらいダサいものとして嫌われているようである。個人的には「なんでー?かわいいじゃん」と思うのだが…ダメ?
セリフやブラケットが大きく、なんかぬちょっとしたローマン。アセンダーやディセンダーは小さめで現代的かと思いきや、プロポーションはなんかクラシックで、とにかく目に引っかかる特徴があって大好きな書体。g は特にフォトジェニックというかなんというか。8ウェイトあり、数字にもライニングとオールドスタイル、タビュラーとプロポーショナルと一通り揃っているが、あんまり長文には向かないだろう。紹介文にもある通り、広告やパッケージ等で力を発揮すると思う。その際はぜひともスペルに g を含んで欲しい(笑)。
投稿時点でMyFontsのトップセラー2位のサンセリフ。かなりジオメトリック寄りではあるが、プロポーションはもちろんの事、角が面取りされて丸くなっているなど、可読性を良くするための調整がなされており、長文にも十分耐えうる。g に2階建て(メガネg)を採用しているのが特徴。これにも小文字 l にループ型があるな…。作者はドイツ在住のようなので、小林さんの影響だったりするんだろうか(笑)。TDC2 2011受賞作品。作者によれば、「自分の人生を変えた書体」だそうである。これをきっかけに有名になったとか。6ウェイト。
某ファストファッションの女性用肌着的な名を持つ(違うだろ)ディスプレイローマン。コンデンスで、セリフだけでなくステムの一部もヘアラインと化している繊細な書体で、名前の通り目にもさらさらとする涼やかさがある。x-ハイトはかなり大きめ。オルタネートもファミリーも持たないので若干物足りないが、そのまま組んでもキレイなので使いやすいだろう。i のドットが左から打ち込まれてるのがなんかカワイイ。
DINのようなややシステマチックなサンセリフ。字幅が狭く、ジオメトリックベースでありながら若干の手書き感を加えており、少し柔らかくなっている。名前の通り、進化途中なのかなーという感じ。イタリック+5ウェイトで10種なのだが、ステムの端にちょこっとセリフっぽいものを付けたオルタネートが同じく10種で計20種。にしても最近のフォント業界は南米がアツいようだ。この書体の作者はチリ在住で、先日紹介したスクリプトもアルゼンチン。「おっ」と思う書体の作者が南米というのは最近多くなっている。地球の裏側に注目だ。ブラジルの人、聞こえますか~?
投稿時点では80%オフ。お早めに。
またしてもTypodarium本日の書体(笑)。イタリア語で「最高に美しい女性」という名を持つ、「エレガント」とはこのコトだというようなカッパープレートスクリプト。線が繊細で非常に美しい。ご多分に漏れずスワッシュやリガチャーが豊富で、このブログではよくこのテのスクリプトを紹介しているが、このフォントは字種がなんと2000とケタ違い。Illustratorには自動でスワッシュやリガチャーを付けてくれる機能がありはするが、オート任せではこの書体は生きてこない。使いこなすにはカリグラフィーの知識が必須となるのは間違いないが、単純に字形を探すのが大変かもしんない(笑)。この作者は他にも美しいスクリプトを多数制作している(スクリプトだけじゃないが)。おいおい紹介していこうと思う。
色んな布にシルクスクリーン印刷したような「かすれ」を表現したディスプレイ。プリントTシャツでは定番のPhotoshop加工だが、その加工の手間を省ける便利な書体。かすれの種類は3種類あり、それぞれにウェイトが設けられているが、「ウェイト」とは言っても太さではなくかすれ具合の粗さでもって分けられている。まったくかすれのないソリッドなものもあり。アイコンやオーナメント類も揃っているが、小文字はない。名前はミネソタ州にある町からとったものらしい。元々全ファミリーで$49と安いが、投稿時点ではセール中でたったの$9。お早めに。
一応スクリプトに分類したけど、本来はイタリックな書体。アップライトがないので、スクリプトとしておいた。モダンローマンがベースになっており、セリフが極端に細く、ステムも一部はヘアラインと化している。見ての通りスワッシュが大変豊富で、オーナメントも揃っている。紹介文にもある通り、香水や化粧品のパッケージ、女性誌などで重宝するだろう。ファミリーには通常のものとスジが入ったインライン、それと細い線のみのモノラインがある。名前はスペイン語で「ヒーロー」の意。
英国のカリグラファー、Gaynor Goffeの筆致をフォント化したスクリプト。確か作業にあたったのは小林さん。名前は日本の陶芸家・濱田庄司からとったものだそうだ(詳しい説明はこちら)。このGoffeさん、驚くことに左利き。カリグラフィーをやっている方は解ると思うが、左利きにはかなりつらいものがある(と想像できる)。にも関わらず素晴らしい作品を世に送り出し続けている素晴らしいカリグラファーである。たまに彼女の作品を模写するが、mの右側のアーチが開くなど、このフォントにはその独特な書風がよく現れている。