パキッとして素直で読みやすいスラブセリフ。ステムの太さにほとんど差は見られず、あとはx-ハイトは大きめでアセンダーとディセンダーは低め、という最近の書体の特徴がある他は特にこれといったものは見られないが、その分可読性は良好。実は作者は他にもいくつかスラブセリフを作っているが、なんでこんなに似たようなモンばっかり作ってるんだろうか…フシギな人である。他は字によってはちょっと変わった字形をしてたりしてるのだが、一周回って素直が一番と思い直したのかもしれない。名前はNewだが原点回帰といった所か。8ウェイト。レギュラーウェイトのアップライトとイタリックはタダでダウンロードできる。
Archive: 2014
ホントは同じファウンダリーの別のフォントを紹介しようと思ったが、同社のサイトにしかなく、紹介しづらいのでこちらを紹介(笑)。紀元前の古いギリシャの粘土板などからヒントを得て制作された書体。素朴で不揃いな形がユニークでおもしろい。小文字はないが、当時は大文字・小文字という区別はない、というか、そもそも別々の書体だった。大文字は大文字だけ、小文字は小文字だけで使っていたもんである。彫って書くかペンで書くかの違いであり、それぞれで書きやすい書体を使っていたのだが、混ぜて使い出したのは15世紀、活版印刷ができてから。似たような書体にSophiaやMacにも入っているHerculanumなどがあるが、これらにも小文字はない。話は逸れたが、このParachuteというファウンダリーは知らなかった。経済の問題ばかりがクローズアップされるギリシャにこんな素晴らしいファウンダリーがあったとは驚き(笑)。サイトもカッコイイ。
手書き感が強く残るサンセリフ。Optimaのようにステムに抑揚があり、ローマンのようなクラシックな雰囲気を醸し出しているが、Optimaよりはややどっしりとした感がある。イタリックは特に手書き感があり、かなりカリグラフィーに近い形をしていて筆者好み。ウェイトも5つあってとても良い書体なのだが、惜しむらくはフォントファイルがPro化されてない事。数字にオールドスタイル、ライニング、タビュラーと3種あり、スモールキャップスや特殊記号類もあるが、それらがすべて別々のファイルに分けられてしまっている。OpenType Pro版が強く待たれる。
1920年代にオランダのタイプデザイナー、Jan van Krimpenが制作したLutetiaという古い活字のデジタル版。コントラストはやや強めでトランジショナルに近く、全体的にやや硬めでカチッとした印象を持つが、x-ハイトは低めで、eのバーが斜めになっているなど、プロポーションはクラシック。イタリックは手書き感が強く残っており、ちょっとしたスワッシュも付いたオルタネートもある。1ウェイトなのが残念だが、これに合う見出し書体を探すのもまた楽しいだろう。
ラフに塗りつぶされたディスプレイローマン。ガッサガサの紙に印刷したようなテクスチャを持つ。スワッシュが豊富にあるほか、葉っぱなどの飾りがついたものがあり、よりオーガニックな雰囲気を醸し出している。サンプルイメージのヤシの木やハイビスカスなどが入ったオーナメントもあり、南国感満載である。その辺のロゴなどにいいだろう。レギュラーとボールドの2ウェイトがあるほか、ステムに線の入ったEngravedもあり。小文字はなくスモールキャップス。名前は単に作者の友人から取ったらしい。
日常手書き風のポインテッドニブスクリプト。線にかすかに抑揚がある程度で、ほとんどボールペンで書いたような書体である。19世紀アメリカの女流詩人、Emily Dickinson という人の筆致から起こしたものらしい。本人は自分の書いたものはすべて燃やして欲しいと遺言したそうだが、妹のLaviniaはそうしなかったそうだ(ひどい)。まぁでもそのおかげで生前無名だった彼女は有名になり、一方でこんなステキなスクリプトが出来上がったのだから、人生何が起こるか分からない(死んだ後だけど)。かなり傾斜しているものの、繊細でかわいらしいスクリプトになっている。スワッシュよりもリガチャーが大変豊富。1ウェイトのみ。33%オフセール中。
スワッシュいっぱいのコンデンスなサンセリフ。サンセリフというよりはモノラインと呼んだ方がいいぐらいにステムの太さに差がなく、やや手書き感も残っている。見ての通りスワッシュが豊富だが、これらが付いてるのは大文字だけで小文字にはないので、色々遊びたければ大文字を多用するしかない。8ウェイトとウェイトは豊富だが、イタリックはなし。ポップな中にもちょっとした優雅さを演出したい時に。
かわいらしいディスプレイジオメトリック。サンプルイメージにあるように、非常に控えめなスワッシュがちょろっと付いている。付いていない字体もあるが、ステムの端がちょこっと曲がっていたり、全体的にやっぱりちょっと本文向きではないので、ディスプレイとして使うのがいいだろう。抑制が効いてハデすぎないが主張はちゃんとしている書体である。3ウェイト。イタリックはなし。ただいま70%オフセール中。
ウィリアム・モリス風のイニシャルと、それに合うローマン。最初にイニシャルから発表され、後になってローマンの方が追加されたという珍しい経緯を持つ。とは言えウェイトもイタリックもなく本文用書体としては厳しいものがあるが、骨格は堂々としていてなかなか良い。スモールキャップスはあるので、ディスプレイ用と割り切ってるのかもしれないが、できればファミリーを拡張してもらいたいもんである。イニシャルには4種類のスタイルあり。