なんかかっちょいい名前のモダンなサンセリフ。ネオグロテスク、ヒューマニスト、ジオメトリックのいろんな要素をちょっとずつ含んだようなスタイルで、あまり見ないタイプでカッコいい。xハイトはほんのり小さいが、カウンターが大きく可読性は大変良好で長文にも十分耐えうるだろう。a や g は2階建てで、1階建てのオルタネートはナシと潔い。オブリークタイプのイタリックもあって8ウェイトある他、バリアブルタイプもあり。
Category: Sans Serif
北欧レトロポップなジオメトリックサンセリフディスプレイ。作者らがスウェーデンのイェーテボリに旅行した際にインスパイアされたものとのこと。バウハウスと’70年代のテイストを取り入れたそうな。角に大きく R を取り、ジオメトリックでありながら冷たい感じがせず温かい雰囲気を醸し出している。変わったグリフが多く、ロゴなどに使うと目を引くだろう。 IT スタートアップのサービスに良さそうである。画像は太いが、かなり細い Thin から9ウェイトある。ただいま50%オフセール中。
ヒューマニストサンセリフの代表格。大文字は古典的なプロポーションでサンセリフながら大変堂々しており美しい。小文字はカリグラフィーの要素も多分に含み、x-ハイトが小さく優雅で柔らかさがある。全体的に可読性も良く、長文でもまったく問題ない。1928年に活字で制作されたものが1989年にデジタル化され、それをさらに2015年にファミリーや字種を拡張して名前に Nova が付いた。個別購入できる他、Adobe Fonts でも配信されている。
さてこの Gill Sans、というか作者のエリック・ギル Eric Gill だが、大変優秀なタイプデザイナーではあったが、実子や使用人に対し性的虐待を日常的に繰り返していたことが明るみになっており、これを理由に彼の書体そのものをボイコットする人もいる。筆者はというと、書体に関しては全然気にしていないというのが本音である(笑)。これからも躊躇なく使用するだろうが、「どうしてもその書体でなければならない」というケースもあんまりないので、何が何でも使うわけでもない。まあ適宜対応する、というぐらいである。本ブログの読者も個々の判断でお使いいただければと思うし、自身と反対の意見を攻撃することもなきように願いたい。考え方は人それぞれなのだから。
ちなみにギルの出身国である英国の高級ステーショナリーブランドのスマイソン Smythson のサイトは見出しに Gill Sans が使用されている。あと2022年に行われたエリザベス女王の国葬の式次第の公式文書がダウンロード可能なのだが、これはギルの書体の Perpetua で組まれていた。なんか本国でもあんま気にしてないのでは、という気がする。でなきゃ Nova に拡張しなかったろうしね。
フレアセリフの代表格。ドイツの巨匠ヘルマン・ツァップがイタリアの碑文をヒントに制作した書体で、堂々とした優美なプロポーションを持ち、通常はあるセリフを取り除いてはいるものの、ストロークの端がフレアスカートのように広がっており、セリフがあるような錯覚を起こさせる。1958年に発売され、1980年代にデジタル化されたものを、2003年に小林章氏がツァップ氏と共同で改刻して Optima Nova となった。大変エレガントな雰囲気があるので、高級なファッションやコスメ、ステーショナリーなどに最適だろう。レギュラーとコンデンスがあり、レギュラーはイタリックもあって7ウェイト、コンデンスはイタリックなしで5ウェイトある他、大文字のみの Titling があり、こちらはリガチャーが若干ある。
Minion 紹介しちゃったらこちらもせねばなるまい、ということで。2002~12年頃までは Apple アップルのロゴとなり、コーポレートフォントとしても採用されていた書体。これといった強い特徴がなく、とにかくクセがなく読みやすいスッキリとした本文用ヒューマニストサンセリフ。1992年に登場し、Minion と並んで Adobe のアプリに付属していた。つまりセリフは Minion、サンセリフはこちらをという意図だったと思う。日本でいえば Mac に搭載されたヒラギノ明朝とゴシックのような扱いで、とにかく何に使っても特に問題を起こさないよ、という優秀な書体である。こちらもバージョンアップを繰り返し、今では字幅が4種類5ウェイトずつで計40種となっている他、ヘブライ文字、アラビア文字、ベンガル文字、デーヴァナーガリー版もある。個別購入できる他、Adobe Fonts でも配信中。
ジオメトリックながらクラシカルな雰囲気を持つサンセリフ。Futura など20世紀初頭のジオメトリックをベースに、ルネッサンス期の書体の風味を持たせたとある。グリフを見てみるとなるほどなかなかクラシカルでスモールキャップスやオールドスタイル数字などがあり、しかも可読性も大変良好で長文にも耐えうるだろう。スワッシュを持ったオルタネートや多数のリガチャーもあり、ディスプレイやロゴ用途にも大変優秀。非常に使い勝手の良い書体だろう。イタリックもあって10ウェイトある他、バリアブルタイプもあり。ただいま65%オフセール中。
レトロ風味のあるヒューマニストサンセリフ。ルネッサンス期の書体に影響を受けたとあり、全体的な骨格や雰囲気はクラシック。ステムの中央部がくびれており、ストロークの端はフレア気味になっている。スモールキャップスやオールドスタイル数字などを持っている他、何に使うのかは不明だが、小文字は上付き・下付きのグリフがある。さらにそれらの m はなぜか左右のアーチが切れているが、これまた初めて見るグリフである。多少クセはあるが可読性は良好で、ある程度の長文にも耐えられるだろう。イタリックもあって5ウェイト。ただいま49%オフセール中。
あちこちブラックフライデー/サイバーマンデーセール中で、MyFonts もご多分に漏れず。その中から1点紹介。モダンでスッキリしてかわいらしいジオメトリックサンセリフ。全体的に変わったところはなく素直で大変スッキリしている。画像では R が頭でっかちに見えるが、これは太いからそうなっているだけで、細い方はそれほどでもなく通常のプロポーション。a と g にデフォルトで2階建てを採用しているのがエレガント(オルタネートで1階建てもある)。9ウェイト。パックでも元々3,000円もしないが、ただいま半額セール中。
コリっとしたポッキーみたいなサンセリフ。ジオメトリックではないがストレートのストロークがよく目立つサンセリフで、ウェイトも軽いのでなんともポッキーのような書体である。ところどころややクセのあるグリフだが全体的にはスッキリしていて読みやすく、ある程度の長文にも耐えられるが、やっぱりディスプレイ用かなと思う。ウェイトは3種類あるものの差がそれほどなく、一番重いウェイトでも普通の書体のレギュラー程度で全体的に軽めになっている。
本日はアメリカの天文学者でSF作家でもあったカール・セーガン Carl Edward Sagan の誕生日(1934)。同氏はパイオニアやボイジャーに地球外知的生命体へのメッセージを載せるよう提唱したりするなど、NASA の惑星探査にも多く関わったという事で、1975~92年の間使われていた NASA のロゴっぽい書体を紹介。やや横長の角丸長方形をベースにした、よくあるレトロSFっぽい書体だが、めずらしく小文字もあるどころかギリシャ文字やキリル文字もサポートされている。P や R のボウル側のステムが無いのが特徴だろうか。M と W には右および左に傾いたオルタネートがある。1ウェイトのみ。あー『コンタクト』また観たくなってきた…。