古くて有名だけどあんま使われてない(笑)定番書体。フランス生まれのトランジショナルローマンで、18世紀の版画家シャルル=ニコラ・コシャン Charles Nicolas Cochin の彫った文字を参考に1912年に制作された。最初は Nicolas Cochin という別の書体を作ったが、原典に寄せすぎたためかちょっとクセがあって使いづらかったようで、もうちょっと普通に調整したものが本作である。Nicolas Cochin に比べてxハイトが大きく、大文字と小文字のウェイトも揃っていて読みやすいだろうか。B の中央のバーがにゅよっとカーブしているのが特徴的。デジタル化にあたっては Matthew Carter 氏が関わった模様。2ウェイト。ちなみに LTC 版の Nicola Cochin は Adobe Fonts にて配信されている。
Category: Serif
新年明けましておめでとうございます。という訳で「明るい日の出」の名を持つ書体を紹介。変わったオルタネートを持つモダンローマンディスプレイ。よくあるエレガントなヤツかと思いきや、グリフは結構ボテッとして野暮ったくエレガントさに欠ける(笑)。一部の字には画像の B のように変わったオルタネートがあり、リガチャーも少々ある。という感じでこのテとしてはごく普通かなという感じ。本年もよろしくお願いします。1ウェイトのみ。
堂々としていてかつエレガントなローマンキャピタル系ディスプレイ。ウェイトは軽くグリフはややアレンジが強いが、雰囲気はローマンキャピタルそのもので美しい。結構古い書体のようでリガチャーやオルタネートがないばかりか、誰がいつデザインしたのかも不明である。まぁ Linotype なのでドイツ国内の誰かかなぁと思う。名前は同名の15世紀イタリアの建築家、セバスティアーノ・セルリオ Sebastiano Serlio から来てる…のかもしれないが不明である。小文字はなくスモールキャップス。1ウェイトのみ。
さて本年はこれにて最後の更新となる。2025年もぼーっと続けていくのでどうぞよろしくお願いします。皆さまよいお年を。
ゴージャス感のあるモダンローマンディスプレイ。フランスのゲランドにある中世に書かれた壁画の文字にインスパイアを受けて制作されたそうな。制作過程の詳細なレポートはこちらにあるが、それを見ると元の書体はアール・ヌーヴォーのようなかなりデコラティブなもので、そのニュアンスを残しながら装飾を削って洗練させてモダンローマンに仕上げている。途中で不採用になったグリフにも魅力的なものがあって、残ってればなーと思わなくもないが、まあこれが作者にとって正解なのだろう。イタリックもあって1ウェイト。
ちょっと変わったモダンローマン。一見すると普通のモダンローマンのようだが、一部ストロークが柔らかくカーブしており、おもしろい効果を生み出している。a の頭のセリフなども随分変わっていてユニークである。全体的にはややずんぐりしたプロポーションで、あまり気取りすぎていないカジュアルなモダンローマンとなっている。イタリックはなんか機械的に傾けただけのようで、ちょっと質が悪く残念。ちゃんと作ってほしいなと思う。1ウェイトのみだがアウトラインバージョンがあり。
繊細でクラシカルなフレアセリフディスプレイ。ライトウェイトのローマンキャピタル風味を持った書体で、非常に繊細かつ優雅で美しい。コントラストは弱めで、セリフは普通のセリフではなくほぼフレアセリフのようになっているのが特徴。リガチャーを多く持ち、個性的な文字組が楽しめるようになっている。デザイナーは6年の歳月をかけてこれを制作したそうで、これがデビュー作でもあるそうだ。末恐ろしい人が出てきたもんである。名前はヲタクにはお馴染み、キリスト教の最上位天使・熾天使(seraph)から。1ウェイトのみだがイタリックもあり。
本日はかのピカソ Pablo Picasso の誕生日(1881)なので、名前だけ同じなこの書体を紹介。鋭く大きなセリフが特徴的なモダンローマンディスプレイ。全体的にコンデンスなプロポーションのモダンローマンをベースに、やや変わったグリフをオルタネートに持った書体である。最近よく見るヤツかと思いきや、変形具合は大分おとなしい。リガチャーも少しある程度で、見た目ほど派手さはない。太めなのでゴージャス感はあるかも。ちなみに aglio とはイタリア語で「ニンニク」の事。なんでやねん(笑)。1ウェイト。
背が高くクラッシーなモダンローマンディスプレイ。ライトウェイト+コンデンスなモダンローマンで、コントラストが強く細いストロークがヘアラインと化している。100種以上のリガチャーがあり、接合がヘアラインスワッシュで繋ぐというちょっと変わった手法を取っている。アクセント記号付きの文字にもリガチャーが用意されており、英語以外でも使いやすくなっている。イタリックと2スタイル。
モダンだけどクラシカル、クラシカルだけどモダンなローマン。カウンターやxハイトが大きく骨格がゆったりした書体だが、セリフが鋭くコントラストが強めで印象はシャープ。a や f の頭や y のディセンダーの先など、通常はセリフが付かない部分にもセリフが付いているのが特徴でおもしろい。説明によると1850年頃にこのジャンルが現れたそうで、フランスでは Latine、ドイツでは Renaissance-Schriften または Etienne-Schriften、英国では Latin または Runic、アメリカでは Celtic などと各国で呼び名が違ったらしい。知らんかった…。イタリックもあって6ウェイトある他、バリアブルタイプもあり。
本格的な本文用オールドスタイルローマン。ヴァナキュラーな風味が薄いニュートラルな雰囲気で、どんなシチュエーションにも対応できる可読性の良い書体である。変わったところがないだけに、あまりに普通で、欧文で長文を組むことの少ない日本人にはあんまり魅力的には見えないと思う(笑)。まあでも Caslon に飽きたらこんなのも使ってみてはいかがだろうか。名前はかつてスペインのカタルーニャ地方にいたオーセタン人?の事らしい。6ウェイト。