結構ゴツゴツしたカッパープレートスクリプト。なめらかで優雅なストロークがウリのカッパープレートにあって、あちこちに角が立っているこいうタイプのスクリプトは珍しい。おかげでちょっとワイルドさが出ており、男性向きでもあるだろう。そのせいか質実剛健、オーナメントやリガチャーもない。オルタネートもわずかに H や f にあるのみ。その分面白みには欠けるが、あれこれ迷わなくて済む分ラクではある(笑)。
Archive: 2016
モダンローマンの超極太ディスプレイ。このテのウェイトの書体を Fat Face(デブ書体)といい、19世紀後半頃が最盛期だろう。近年はあまり作られなくなっているが、だからこそ今使うと結構目新しいんじゃないかと思う。Bodoni を元にデザインされたファットフェイスで、ソリッドなものとサンプルのようにステムに彫りが入った Luce というバージョンがある。小文字にはリガチャーが多く、また変わった幾何学的なオーナメントが多少。イタリックもあり。名前は Bodoni の妻である Margherita から取ったらしい。ただいま25%オフセール中。
遊びの少ない、能書家ではない普通の人がボールペンで手書きしたようなスクリプト。とは言えかなり丁寧に書かれていて読みやすく、ホントのラフな手書きとは違う。カリグラフィックなスワッシュなどはないがオルタネートは多く、どの文字も6パターンものバリエーションがある。ただし違いはかなり微妙(笑)。リガチャーも多め。手書き感は出したいけど可読性も確保したい、という場合に重宝するだろう。実はこの書体、2009年にアップライト版が出ており、そのイタリックバージョンである。デザインの元になったのは作者自身の手書き文字らしい。1ウェイトのみ。
x-ハイトが大きく読みやすい素直な本文用サンセリフ。目立った特徴はこれといってないのだが、それだけに目にうるさいこともなく、スラスラ読めるいい書体だと思う。まさに「白」の名がふさわしい。7ウェイト。デザイナーは日本人の Ryoichi Tsunekawa さん。名古屋在住なだけに「城」だったりしたらどうしよう(笑)。Tsunekawa さんは2010年に MyFonts にインタビューを受けている。その記事はこちら。ただいま50%オフセール中。
久々に紹介する本文用正統派ローマン。超楕円がベースになっているような字形をしており、そのためにややコンデンスでx-ハイトが大きく読みやすい。これと同様に超楕円ベースの書体である Hermann Zapf 氏の Melior にやや近いが、線が交わる部分ににゅっとしたカーブが付いているのが大きな違い。Condensed と Expanded があり、それぞれ6ウェイト、イタリックと合わせて36種と大ファミリーとなっている。ノーマルと Condensed の Regular および Italic は無料でダウンロードできるので、試してみるのもいいだろう。
ノーマルなサンセリフっぽいディスプレイサンセリフ。一見普通なのだが、M の斜めの線が微妙に弧を描いていたり、g の形が個性的だったりと、エレメントをよくよく見ると「んん?」という形をしており、やっぱり本文向きではないだろう。アップライトのみで、Light から Black まで4ウェイトあるが、やっぱりサンプルのように太い方が魅力的かなと思う。あまり見ないタイプだが、結構筆者好み。ただいま50%オフセール中。
久々の右の本格派登場といった感じのヒューマニストサンセリフ。たいへん明るく読みやすい書体で、とても今っぽいなぁという印象。ややコンデンス気味で、サインとかでの利用が考慮されている。ヒューマニストなので a や g は2階建てだが、それがいいアクセントになっていると思う。Q のテールの処理の仕方が筆者好み。字種も豊富でスモールキャップスとギリシャ文字をサポートしている。それにしてもなぜに潜水艦的な名前が付いているのだろう。作者が Marin という名なのが関係してるのかも(笑)。10ウェイトと大ファミリー。ただいま40%オフセール中。
Duc de Berry などをデザインした、ドイツのタイプデザイナーでありカリグラファーでもある Gottfried Pott 氏の最新作品集。タイポグラフィの本ではないが、買って嬉しいので紹介させてくれ(笑)。躍動感のあるダイナミックな作風で、モノトーンに近い色使いでどこか東洋的な雰囲気を持っているのが特徴。その魅力ある作品が70点ほど掲載されている。本文がドイツ語なので残念ながら詳細はよく判んないが、カリグラフィに興味あるならば買っておいて絶対損はない。表紙の手書き部分はエンボス加工されていて手触りよし(笑)。
サンセリフとスクリプトのハイブリッドディスプレイ。基本的にはサンセリフの体(てい)をしているがエレメントに丸筆のニュアンスがあり、双方のニュアンスがコンバインされたような字形をしている。小文字にはターミナルレターがある他、イタリックの大文字にはスワッシュ付きのオルタネートも用意されていて、スクリプトのように扱える。元は1ウェイトの書体だったが、Pro 版になりウェイトが5つに増えた。字種も増え、ギリシャ文字やキリル文字もサポートしている。ただいま30%オフセール中。そういえばハイドロキシアパタイトとかいう成分が入った歯磨きがあったよな…芸能人は歯が命!
Garamond のオリジナルをなるべく忠実に再現した Garamond。16世紀当時の印刷状態から再現されており、そのためフチがラフになっている。とはいえまったくそのまんまという訳でもなく、一応書体として整えられている。字種も拡張され、汎ヨーロッパはカバーしている模様。また c や m などにターミナルレターがオルタネートで付属しており、イタリックにはスワッシュつきの大文字もあり。小さいとラフな感じもそんなに目立たず、案外本文いけるんじゃないかなーと思う。版元の Archive Type は、名の通りこういったコンセプトの書体を得意としているらしく、他にも多数発表している。