本日アメリカの独立記念日。というワケでトム・クルーズ主演の映画『Born on the Fourth July(邦題:7月4日に生まれて)』のポスターに使用されていた書体を紹介(実際の画像はググってください)。古くからある非常に有名なステンシルディスプレイ。なぜこのように所々欠けているかというと、これを型紙に彫り、その型紙を壁や箱などに当てて上からスプレーもしくはローラーでペンキを塗れば、一瞬で文字が印刷できる、という風にしてあるからである。この欠けた部分を繋いでしまうと、細い部分はちぎれてしまったり、D や O などはまんま中が落ちてしまうのでこうなっている。ステンシルは手っ取り早く印をつけたい現場、例えば船舶関係(コンテナとか)や軍隊などでよく使用されるので、その辺のイメージを表現するのにいいのだろう。まあでも、文字そのものはボテッとしててなかなかカワイらしい。あちこちのファウンダリーからデジタル化されているが、このURW版はフィルのタイプにいくつかのバリエーションがある。
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はあ…負けた…惜しかった…。というワケでこちらを紹介…。ベルギーの、ベルギーの、ベルギーのおおお、高級チョコレートブランドのピエール・マルコリーニ Pierre Marcolini のロゴの書体がこちら。割と古くからあるカッパープレートゴシック。小文字がなくスモールキャップスだが、x-ハイトはあくまで小さく、幅広で字間も広めで品のあるエレガントな書体である。’70年代にアメリカの Gary Sackers という人がステーショナリー向けにデザインしたもの。他にも「Sackers」の名を冠するエレガントな書体がいくつかあるので、興味のある方はお探しを。そんなに数はないので、揃えておくと招待状などに重宝するかも。
タイプデザイナーの Tobias Frere-Jones 氏の古い書体見本帳コレクションから厳選し再構成して、50枚のポストカードにした本(本ではないが)。Jones 氏のデザインした書体ではないことに注意。アメリカ、英国、フランス、ドイツ各国それぞれのファウンダリーの見本帳から12点ずつ選んだとある(じゃあ48枚なのでは…)。欧文書体ヲタには垂涎のポストカード集で、筆者などはどういうフレームに入れて部屋に飾ろうかとすでに思案中。パッケージもカッコよく、布張りした箱に黒で型押しがしてある。3,000円ほどとちょいするなあと思うだろうが、1枚60円と思えば全然安い。お買い得。それにしても以前は Hoefler & Jones として活動してたと記憶してるが、Hoefler 氏とはいつ袂を分かったんだろうか…ちょっと気になる(笑)。
優雅なカッパープレートスクリプト。ディプロマというと証書・賞状などの意味なので格式ある感じなのかと思いきや、太いストロークの始点が自然な形をしており、全体的にもやや緊張感ゆるめでゆったりしたデザインである。スワッシュはご多分に漏れず多めに用意されているが、スワッシュライン自体には抑揚がなくモノラインなのがちょっと変わってるだろうか(Ornament というファミリーには抑揚のあるラインが用意されてはいる)。このテの書体にしては可読性が良く、使い勝手が良いだろう。
今月末はハロウィンっていうのでこちらを紹介。海外の絵本に使われてそうなポップなディスプレイローマン。かなりコンデンスなラインガッタガタの不揃いさがウリ。大体の字に字形が2種類あるのだが、スワッシュオルタネートとかではなく崩れ具合が違うというだけ。ウェイトバリエーションはないが、フィル(塗りつぶし)にソリッドな Regular と、かすれてる Rough がある。ただいまハロウィンセールで50%オフ。
本日はミッフィーの生みの親、ディック・ブルーナ(Dick Bruna)の誕生日(1927)。今年の2月に惜しまれつつ亡くなられた。んで公式サイトや絵本で多用されてるこちらの書体を紹介。特に説明の必要もない、Helvetica の丸ゴシック版である。Bold と Black しかウェイトがなく、細いウェイトがない。まぁ丸ゴシックを細くすると丸くする意味がないんだけど。ちなみにミッフィー(Miffy)は英語名で、オランダ語の本名(?)はナインチェ・プラウス(Nijntje Pluis)という。知ってた? 筆者は今知った(笑)。
あと「ミッフィー+フォント」で検索する人が多いようなのでヒントを差し上げよう。このような丸ゴシックは英語では「Rounded Sans (Serif)」というようなので、これで検索すれば似たようなのがたくさん見つかる。
筆(ふで)感が多分に残る本文用ローマン。ストロークのあちこちに平筆でレタリングしたようなにゅよっとしたニュアンスが残っている個性的なローマンで、骨格もクラシックな割にはアセンダーとディセンダーがかなり小さく、そのためx-ハイトが大きくなって可読性が良くなっている。ターミナルレターやリガチャーも豊富。珍しいのがローマ数字のグリフがある所。I から IX だけではなく、MMM みたいな大きな数字もある。名前はの意味はカササギヒタキの一種らしい。4ウェイト。ただいま50%オフセール中。
本日は写植の発明者にしてモリサワの創業者、森澤信夫の誕生日(1901)だそうな。袂を分かった石井茂吉の写研とは違い、DTP に対してフォントを開放してくれたので、我々は今、高品質な和文フォントを豊富に使用することができる。ありがたやありがたや。写研もそうしてくれないかなーというのはデザイナーの長年の希望なのだが、なぜだかその気配はまったくない。哀しい。
さて本日紹介する書体は、モリサワが開催している「タイプデザインコンペティション」の2014年のファン投票欧文部門2位の書体…の元になった書体である。受賞作はこれの Display というバージョンでちょっとにゅよっと柔らかくなったものだが、まだフォント化はされていないようなのでこちらを紹介。ステムに太細の差があるモダンなサンセリフ。ややジオメトリック風味もあるだろうか。10ウェイトあって、軽い方は非常にエレガントで化粧品のパッケージなどにそのまま使えると思う。アルメニア人がデザインしただけあって、アルメニア文字、キリル文字、ギリシャ文字もサポート。
新年一発目、本日1月3日は『指輪物語 The Lord of the Rings』の作者、J・R・R・トールキンの誕生日という事でそれ関連の書体を。トールキンの考えた文字、テングワール Tengwar っぽいニュアンスをラテン・アルファベットに持たせた書体である。トールキンは幼少時より言葉や文字を創造するという極めて特殊な趣味を持っており、長じては言語学者となっているが、考えたいくつかの言語と文字の内、実用レベルまで持っていったのがエルフ語(クウェンヤ・シンダール)とテングワールで、実際に会話ができ、文章が組めるようになっている。
この文字と言語の使い手としてトールキンが選んだのが、北欧神話に登場する妖精エルフで、彼はその物語を書いていった。物語は世界創生から始まっており、その量は膨大で、大まかに第一紀、第二紀、第三紀と分かれており、『ホビットの冒険』や『指輪物語』などは第三紀末期のほんの短いエピソードでしかない。それを経て、古代エジプト文明等を含めて今いる我々の時代が第四紀という事になっている。ちなみに『ホビットの冒険』と『指輪物語』は、主人公のビルボやフロドたちが西方語で書いた本、通称「西境の赤表紙本 The Red Book of Westmarch」の写本のひとつをトールキンが入手し、それを現代英語に翻訳した、という体(てい)で描かれている。第一紀と第二紀の主なエピソードは、トールキンの息子クリストファーが『シルマリルの物語』という本に短くまとめている(それでも長いけど)。興味があれば読んでもらいたい。そのバックグラウンドの奥深さに驚嘆するだろう(エルロンドやガラドリエルはその時代から生きている)。『ハリー・ポッター』なんてホント薄っぺらにしか感じない(好きな人ごめんなさい)。筆者は20年来のトールキニアンだが、年末に『ホビット』3作がテレビでやってるのを観て、またトールキン熱に火が付いた。読み返そうかなぁ。
様々なタイプのレトロなディスプレイが集まったミクスドファミリー。ウェイトやイタリックなどのバリエーションを除いても10種類ほどのスタイルがあって、全体的にアウトラインがガタガタしており、粗悪な印刷や手書きのレタリングっぽくなっている。基本的にはどれも字種はベーシックなものばかりだが、ローマンのアウトラインスタイルの Engraved とモノラインスクリプトの Cursive は、スワッシュオルタネートが豊富に付属している。あとキャッチワードとオーナメント、フレームがファミリーにある。この辺は正直その時代の広告や商品パッケージなどを知らないと使いこなすのが難しいが、スーパーのワインやウィスキーなどの売り場や、KALDI などの海外食品を扱ってる店へ行って、色々とサンプルを探してみるのも楽しいと思う。