トランジショナルローマンの代表格。18世紀英国のタイプデザイナー、ジョン・バスカーヴィル John Baskerville (1706-1775) の書体を元に制作された。オールドスタイルとモダンの中間の過渡的な(transitional)スタイルのローマンで、オールドスタイルに比べてコントラストが強く、セリフは細くてブラケットが小さい。生まれた英国ではあまりウケが良くなく、アメリカで好まれたようである。この Baskerville も多数のファウンダリーが制作しており、かなりのバリエーションがあるが、この ITC のものが比較的スタンダードらしい。4ウェイト。Adobe Fonts では URW と ParaType の Baskerville が利用可能。ちなみによく「トランジショナル」を「トラディショナル traditional(伝統的な)」と間違える人がいるので注意。
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非常に繊細で優雅なカッパープレートスクリプト。めずらしく9ウェイトもあるスクリプトだが、一番太くてもなかなかに細く、まるで床に落ちた髪の毛のよう(例え方…)。xハイトが結構大きく、グリフを視認できさえすれば(笑)読みやすくはある。スワッシュオルタネートはかなりあるようで使い出があるだろうが、カリグラフィーの知識がないとセンスよく使うのはなかなか難しい。がんばってみて欲しい。
ローマンキャピタルの最高峰(断言)。ローマにあるトラヤヌスの記念柱の根元にある碑文の書体を元に制作されたもの。この碑文の書体こそがすべてのローマン書体の原典であるとされ、ここから何万というローマン書体のバリエーションが生まれたが、Trajan はこの碑文の書体そのものに近い形で制作されている。2000年経ってもこの威風堂々たる雰囲気の人気は衰えず様々な場面で使用されており、特に映画界では重宝されている模様(笑)。1989年に制作されてから二度改定されており、この 3 が最新版。2ウェイトから6ウェイトになり、ギリシャ文字とキリル文字が追加された。個別購入できる他、Adobe Fonts でも配信されている。Adobe Fonts ではカラーフォント版の Trajan Color も利用可。
古典的カッパープレートスクリプトの定番書体。18世紀英国のカリグラファー、George Shelley の筆致を元に制作されたもので、均整の取れたベーシックなグリフをしており、非常に真面目な感じのする書体である。元々は Andante, Allegro, Volante の3種があり、順にグリフが派手になっていくようになっていたが、OpenType Pro 版になってひとつに統合され、アプリ側の異体字切り替えで対応するようになった(ちなみにアンダンテ、アレグロ、ヴォランテはクラシック音楽を嗜んでいる人にはお馴染みの用語である)。
最近はもっと派手なスクリプトも多くなり、この辺をあえて選ぶ機会もあまりないだろうが、定番なので知っておいてもいいだろう。1ウェイトのみ。キリル文字対応版もある。
フレアセリフの代表格。ドイツの巨匠ヘルマン・ツァップがイタリアの碑文をヒントに制作した書体で、堂々とした優美なプロポーションを持ち、通常はあるセリフを取り除いてはいるものの、ストロークの端がフレアスカートのように広がっており、セリフがあるような錯覚を起こさせる。1958年に発売され、1980年代にデジタル化されたものを、2003年に小林章氏がツァップ氏と共同で改刻して Optima Nova となった。大変エレガントな雰囲気があるので、高級なファッションやコスメ、ステーショナリーなどに最適だろう。レギュラーとコンデンスがあり、レギュラーはイタリックもあって7ウェイト、コンデンスはイタリックなしで5ウェイトある他、大文字のみの Titling があり、こちらはリガチャーが若干ある。
美しい書影が SNS に流れてたので紹介。大変繊細でエレガントなフレアセリフディスプレイ。こういうのもローマンキャピタルと呼べるだろうか、その辺りのプロポーションを持った書体で、ストロークは細く、端がやや大きめのフレアに広がっている。大文字のみで、今どきとしては珍しくリガチャーなどもなく大変シンプルで潔い。この本のようなデザインを提案するのは結構勇気がいるし、採用する方にも度量がいるが、双方のセンスが合わさるとこのような傑作が生まれるのだなぁ…。1ウェイトのみ。
本日は数学で我々を苦しめた微積分の考案者、ゴットフリート・ライプニッツ Gottfried Wilhelm Leibniz の誕生日(1646ユリウス暦)。ということで彼の名を持つ書体を紹介。スタンダードでクラシカルなフラクトゥール。元は18世紀中頃に作られた書体だそうだが、それを鋳造した Genzsch & Heyse というファウンダリーの設立年は1920年代という事でよくは判らない(笑)。まぁいいや。フラクトゥールは現代人の我々の目には読みづらいが、ドイツでは20世紀初頭までこれが標準で、書籍も普通にこれで組まれてるものが多い。s がデフォルトで「長いs」なのがちゃんとそれらしくてよろしい。”sk” などの文字並びは普通はぶつからないが、長いsだとぶつかるのでちゃんとリガチャーもある。1ウェイトのみ。
非常に繊細で美しいローマンキャピタル。この手の書体の代表格である Trajan にも勝るとも劣らない大変素晴らしい出来のローマンキャピタルで、これほどのものはなかなかお目にかかれない。Grace の名に恥じない書体だが、実はこの名はガンで亡くなった姪御さんのミドルネームだそうで、この書体の収益の半分はガンの研究センターに寄付されるそうである。現在は大文字のみでスモールキャピタルしかないが、最近 SNS でこの書体の小文字をデザインしている事を報告している。いつかリリースされるだろう。楽しみに待ちたい。1ウェイトのみ。
ややコンデンスでダンディなオールドスタイルローマン(トランジショナルかも?)。「ネオクラシカル」をうたっており、確かに普通のオールドスタイルとはちょっと違うなという雰囲気はある。通常セリフは外側に対して沿って凹んでいるが、これはやや膨らみ気味である。可読性もよく、狭い空間に小さく組む新聞などで本領を発揮するだろうが、大きくディスプレイで使ってもカッコいいだろう。キリル文字もサポート。イタリックもあって10ウェイトで、Semi Bold だけデモ版が用意されており、無料でダウンロード可。
シックなライトウェイトのディスプレイローマン。なんのオルタネートもないホントにタダの細めのオールドスタイルローマンだが、なんかエレガントでオシャレな雰囲気のある書体である。てなぐらいしか紹介文が思い浮かばない(笑)。勇気を持ってなんの加工もせずにロゴにしたらカッコいいと思う。1ウェイトのみ。ただいま28.6%オフセール中(なんだこの端数)。