本日はフランスの元軍人で元大統領のシャルル・ド・ゴール Charles André Joseph Pierre-Marie de Gaulle の誕生日(1890)だそうなのでこちらを。アドリアン・フルティガーによるヒューマニストサンセリフ。元々は’70年代にパリ=シャルル・ド・ゴール空港のサインシステムのためにデザインされたものだそう。なので可読性を優先してデザインされており、クセがなく非常にスッキリしてて読みやすい。誤読を極力防ぐため、開く所はしっかり開き、閉じる所はしっかり閉じる、というのが徹底されている。一度1999年に Frutiger Next として改刻され、イタリックがカリグラフィックタイプに変更されたが、2009年に小林章さんによって Neue Frutiger に再改刻された際、オブリークタイプに戻されている。字幅はレギュラーと Condensed の2種、共に10ウェイト。
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最近やたら Monotype が推してくるので紹介。Bodoni と双璧をなす、昔からあるスタンダードなモダンローマン。元は19世紀初頭にドイツのタイプデザイナー、Justus Erich Walbaum が Didot や Bodoni を参考に制作したもので、元々デジタル版もあったが、つい最近リニューアルされた模様。ファミリー展開が大幅に増えてオプティカルになり、書体名に 06pt, 12pt, 18pt, 60pt, 96pt と付いていて、それぞれそのサイズに合ったデザインとなっている。18pt 以上はウェイト展開が豊富になる。他ディスプレイが2種とオーナメントが付き、計69種とビッグファミリー。ただいま75%オフセール中で、5,000円ちょいですべて入手できる。買うなら今!だけど Monotype サブスクリプションにも入っている。
昨日5月6日は英国のタイポグラファー、スタンリー・モリソン Stanley Morison の誕生日(1889)。で、氏が開発に関わったこの書体を紹介。このブログではあまり有名所は紹介してないのだが、これはメジャー中のメジャー書体、トップオブメジャーである。ゆえに中途半端な紹介文を書くと山程ツッコミが飛んでくるので最低限に留める(笑)。英国紙 The Times のために開発された書体で、Monotype で開発された本書体と、後に Linotype に移植(?)された Times があり、双方の機械の組版方式の違いのためか(多分違うが)、デザインがほんのり微妙に異なっている。前者は Windows、後者は MacOS に標準搭載されたため、おそらく一般人の使用した書体としては世界一の利用率ではないかと思われる。名前は先に開発された方が New が付いているというややこしいものだが、この New は「The Times が使う新しい書体だよ」という意味で使われたんではないかと思う。この書体は Times Europa、Times Millennium、Times Classic とちょいちょいアップデートされ、今でも The Times で使用されている模様。現在のものは Times Modern という名前のようだ。とまぁここまでにしておき、あとは Wikipedia でも参照してくれ(笑)。
本日はドイツのタイポグラファーでカリグラファーであったヤン・チヒョルト Jan Tschihold の誕生日(1902)。チヒョルトは少ないながら書体もデザインしており、これがそのひとつで、Garamond をベースに新しい解釈を加えてデザインしたもの。を、さらにフランスのタイプデザイナー、ジャン・フランソワ・ポルシェ Jean François Porchez が改刻したもの。ポルシェ氏は改めて Garamond と Sabon の活字を見直してリファインしたそうで、Garamond より Garamond っぽくなっている(?)。x-ハイトが小さめなところがクラシカル。もちろん Pro 化され、オルタネートやリガチャーが増えた。6ウェイト。Monotype サブスクリプションに入っている。
特に何の日でもないのでめずらしく古い書体を紹介。20世紀初期にアメリカで広く用いられたトランジショナルローマン。元は Century という雑誌のためにデザインされたもので、その後コントラストを弱めて読みやすくした Old Style、狭かった字幅を広めた Expanded、子供向けに字形を分かりやすくした Schoolbook などなどのファミリーが制作されている。Century は明朝体との相性が良かったため、日本語版の Windows にアップライトのレギュラーウェイトのみ搭載されており、最新版はどうか知らないが、以前は Microsoft Word のデフォルトフォントはMS明朝+Century であった。話題の『大人の科学マガジン 小さな活版印刷機』でも採用されている。ちなみにこの書体、一昔前に「これで英文の履歴書を書くとそれだけで落とされる」とかいう話が出回ったことがある。Windows にはイタリックや Bold がなく、Word でそれらの指定をすると機械的に変形されてしまって見苦しいからそんな話になったのだと思うが、それだけで落とす会社はまずないと思うので信じないように(笑)。そもそも履歴書って Regular だけでよくない?
本日は9.11。あれから16年とか何も中身が変わってない自分にちょっと目を背けたくなる年月が経っておりますが(笑)、あの悲劇を忘れないために世界貿易センタービル、World Trade Center の名にちなんでこちらの書体を紹介。1948年に制作されたややコンデンスなネオグロテスク。これといったクセもなく大変読みやすいため、かなり広く利用されている。こちらは2008年に小林章さん主導でリファインされたバージョンで、元のものとは細部が異なっている。どこが異なっているかは調べてくれ(手抜き)。一部記号類の形を変えたほか、字種やウェイトを増やしたとのこと。今から買うならこちらだが、Monotype サブスクリプションに入っているのでそちらを利用した方がいいだろう。
本日は英国のタイプデザイナー、Eric Gill の誕生日。私生活ではかなりアバンギャルド(笑)な人だったようだが(詳しくは語らない)、タイポグラフィの世界では大きな功績を残している。彼の書体は大変有名なので特に紹介もしなかったが、ま、せっかくなので。恐らく一番有名なのは Gill Sans だろうが、ローマンの方ではこの書体が最もポピュラーかなと思う。ややコントラストの強いトランジショナルローマン。Gill は碑文彫刻を得意としてたので、大文字にはローマンキャピタルの影響が強く見られる。全体的にクラシックで大変エレガントな書体である。
ちなみに筆者はこの書体をかなり強く覚えている。なぜかと言うと、日本タイポグラフィ協会が発行している機関誌『typographics ti:』の第231号(2003年発行)に掲載されていた印刷史家 Beatrice Warde の This is a Printing Office という詩が、この書体で組まれていたからである。制作者は嘉瑞工房の高岡昌生さん。当然活版印刷であった。大変美しいと思った筆者は、これを定規で1行1行一生懸命測ってまったくマネしてデジタルフォントで制作し、ハガキサイズに縮小してフレームに入れてトイレのタンクの上に飾っていたが、2~3年前のある日タンクの蓋を開けた際に水没させてしまった(笑)。もう10年以上も前に作ったのでデータがもうない。当時は Bitstream のコピー書体だったんで Titling がなかった。ちゃんとしたのを買ってまた作ろうかな。
このブログを始めて3年になるが、まだ紹介してなかったタイプのスクリプトを紹介する。フレンチ風味のアップライトスクリプト。「ロンド Ronde (=輪舞曲)」と呼ばれるタイプで、20世紀初頭にアメリカでデザインされたもの。元は Typo Upright という名前だったらしいが、Linotype に版権が移った時に Linoscript と改名されたようで、なので「ライノスクリプト」と読むらしい。非常に有名で好きな書体だが、あんまりこのタイプは需要がないのか、他にはあまり見当たらない。古い書体でウェイトバリエーションもオルタネートもなく淋しいので、今あえてこれを拡張してみてもいいんじゃないかな~。と思ったりもする。売れないか…。
URW++ から DIN が出たのでご紹介。Linotype や FontShop からも出てるので今更感はあるけども、まぁ選択肢が増えるのはいい事なんじゃないでしょうか。有名な書体なので説明の必要もないかもだが一応しておくと、DIN とは「ドイツ工業規格」の事で、元々は役所が作る道路標識やマンホールなどに入っていた色気のない無骨な書体なのだが、それがウケて今は広く使用されている。私もよく使用しており、ロゴのプレゼンシートなどにちょろっと使ったりすると、「こっちの書体の方をロゴにしたい」とか言われることがある(涙)。なので最近は使うのを辞めた(笑)。くっそう。
そんな事はさておき、Linotype の DIN Next とちょっとだけ比較してみると、Regular ではこちらの方が若干ウェイトが軽い。あまり使われないアクセント記号が入ったグリフがあったり、矢印や三角などのちょっとした図形があって、字種はこちらの方が多い。ま、Next の方は Paneuropean 版が別にあって、そっちでアクセント記号はカバーされている。字幅は Next は2種、こちらは3種。Regular と Condensed の間に Semi Condensed がある。他にも違いがあるかもだが、詳しくはご自身で。ただいま50%オフセール中。$100 で全部揃うのは今だけ。オトクだと思う。
本日は「石の日」らしい(なんだそりゃ)ので、御大 Sumner Stone 氏の書体を紹介。Stone と言えば Stone Sans が思い浮かぶが、II が出てるとは知らない人も多いと思う。オリジナルの Stone Sans よりステムにコントラストがなくなってほぼモノラインになっており、ややコンデンス気味になっているだろうか。全体的に明るく軽めに仕上がっていて、時代の雰囲気にマッチしているだろう。本日より仕事始めの所も多いかと思う。本年もホソボソと続けますのでどうぞヨロシク。