かわいらしいアール・デコ風味の半スクリプト。Charles Blumelein という人が1930年頃のニューヨークでコツコツと200種類ほどのスクリプトをデザインしていたそうで、そのひとつをフォント化したものだそうである。この頃はこういうスクリプトと通常のタイプフェイスの中間のような書体がよく作られており、それを筆者は勝手に「半スクリプト」と呼んでいる(というか今作った)。通常は水平のバーが右肩上がりで、全体的にも右上がりのグリフとなっている他、M や N はアーチが大きくなっていたりと、あちこちユニークな処理が施されている。雰囲気はレトロでかわいらしく、ロゴなどに使うとおもしろいだろう。Adobe Fonts にはこのファウンダリーが復刻した Blumelein の書体が多数あるので、使ってみてはいかがだろうか。1ウェイトのみ。
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とんでもなくドハデに装飾されたディスプレイ。見ての通り文字が装飾されたというより、花などの様々なモチーフを組み合わせて文字を構成したといった方が正確な書体である。名前からしてメキシコのトロピカルな植物やドクロなどが用いられている模様。さらにこちらカラーフォントになっており、Adobe の対応したアプリなら最初からこのように色付けされた文字が打てるようになっている。通常のモノクロもあるのでご心配なく。大文字のみ。
フォント制作アプリの定番、Glyphs について書かれた日本初の書籍。元 Monotype 社の大曲氏や Adobe 在籍中の吉田氏などのエキスパートたちによる共著で、ベジェ曲線に馴染みのない初心者から本格的にフォント制作をしている方まで幅広く対応しているので、Glyphs さえ入手すればすぐにフォント制作を始められるようになっている。ただそれだけに、普段 Illustrator などで慣れている人には冗長な部分もあるが、エレメントを使い回せるような「コンポーネント」というフォントエディターならではの機能なども解説されているので、ベテラン勢も読んで損はないだろう。ただ惜しむらくは Glyphs は Mac 用しかなく、経済的な理由で今後も Windows 用を開発する予定はないらしいので(笑)、Windows ユーザーは他のアプリを探そう。残念。ちなみに筆者は Windows ユーザーだがこの本は買ってしまった…。
春も近いということでこちら。ポップでカラフルな花柄文様ディスプレイ。カラーフォントになっており、Adobe 製品などの対応アプリではあらかじめ色付けがされたものが出力できる他、パーツごとにバラバラになったものもあり、自分で好きなように色付けすることも可能になっている。大文字のみで、大文字のグリフには図太めな、小文字のグリフには細めのウェイトのものが入っている。通常のカラーフォントではないバージョンもあり(BW = Black & White)。1ウェイト。
ネオンサインを模したディスプレイ。画像のように色を付けるには文字のアウトラインを取って別々に選択し…と思われるだろうが、こちらはカラーフォントで、Adobe Illustrator などのSVGフォントに対応したアプリなら最初からこの色が付いた状態で出てくるようになっている。大文字のみで小文字のグリフにも大文字がそのまま割り当てられているが、恐らくは色の付き方が違う。作例では2種の N が使用されているが、使い分けられているのだろう。色のついていない通常のタイプもあるので、気に入らねば自分で色付けも可。1ウェイト。
コンテンポラリーなセリフ書体。モダンとの違いはなんだかよく分からないが(笑)、取り敢えずそのように説明されている。確かに Bodoni などよりはオールドスタイルのようで、Century が現代的になったと言った方がいいだろうか。見ての通り、イタリックの f のディセンダーが真っ直ぐなのが特徴的(普通は左にカーブする)。オプティカルになっており、コントラストが強く見出し向きの Display と本文用の Text がある。Display は5ウェイト、Text は3ウェイト。バリアブルタイプも別売であるので、Adobe な人はファミリーで買う場合はそっちがいいだろう。
随分久しぶりに見る正統派カリグラフィーイタリック。実に真面目でクラシック、カリグラフィーのお手本になりそうなスタンダードな書体である。Hermann Zapf やWerner Schneider の書体を参考にしたとあるが、全然そんな個性的な感じはない。ウェイトがやや細めなのが今っぽいだろうか。グリフ数が300ほどの Std と800近い Pro があり、当然 Pro の方がスワッシュオルタネートやリガチャーが豊富。Adobe な人は Pro を買えばいいだろう。1ウェイト。
本日はタイプデザイナー、サムナー・ストーン Sumner Stone 氏の誕生日(1945)。ということで氏の書体を紹介。この Stone という書体は Serif、Sans とこの Informal の3種があって、この Informal と Serif の違いは、コントラストが弱め、セリフがちょっと丸い、一部セリフが欠けている、a と g が1階建て、というところだろうか。「フォーマルじゃない(堅苦しくない)」という意味の名前がぴったりだろう。ちなみにこの Stone シリーズは Adobe のボブ・イシ Bob Ishi という人と共同開発したそうで、偶然にもふたりとも名前が「石」だったんでこの書体名は即座に決まったそうである(笑)。
本日はスイスのタイプデザイナー、アドリアン・フルティガー Adrian Frutiger の誕生日(1928)なので、氏が制作したこちら。誰もが日常的によく目にするサンセリフ。どこで見てるかと言うと、市販商品のバーコードの下にある数字。アレはどの商品のものもほぼこの書体である。名前の通り、OCR(Optical Character Recognition: 自動文字読み取り装置)で誤読を極力防ぐために開発されたもので、元々は他の書体 OCR A があったが、あまりに機械で読みやすいようにし過ぎたため文字としてはちょっと奇抜であり、「これちょっと変じゃね」という事になって、より文字として読みやすいこちらが開発された。今となっては OCR A も面白くて個人的には好きだが、現在はこの OCR B の方が主流である。機械のための文字なので、モノスペースでイタリックもなし。もちろんウェイトバリエーションもない。ただただ、生活を便利にするために開発された書体である。
スタンダードで読みやすい本文用オールドスタイルローマン。15世紀にヴェネチアで活躍したフランス人タイプカッター、ニコラ・ジェンソン Nicolas Jenson の書体を元にデザインしたものとの事。彼の書体はよく参考にされ、代表的なものに Adobe Jenson や Centaur などがあり、それらはヴェネチアンと呼ばれるタイプだが、こちらの書体は普通のオールドスタイルに仕上がっている。ウェイトは2種類と少ないが、これぞ本文用という事だろう。名前が8月っぽかったので紹介した。本日は8月6日。暑いね…合掌。