本日はスイスのタイプデザイナー、アドリアン・フルティガー Adrian Frutiger の誕生日(1928)。で、小林章さんとの共作であり、あまり紹介されることもないこちらを紹介。軽くて大変かわいらしいヒューマニストサンセリフ。ちょっと古代の粘土板風味もあって、素朴で、可読性はかなり良好。元は’80年代にフルティガー氏がスケッチして書体化していなかったものを、2000年代に入って小林さんと一緒にデジタル化したものである。という事で、日本語の『波』という名前がついている。3ウェイト。イタリックはなし。
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昨日5月6日は英国のタイポグラファー、スタンリー・モリソン Stanley Morison の誕生日(1889)。で、氏が開発に関わったこの書体を紹介。このブログではあまり有名所は紹介してないのだが、これはメジャー中のメジャー書体、トップオブメジャーである。ゆえに中途半端な紹介文を書くと山程ツッコミが飛んでくるので最低限に留める(笑)。英国紙 The Times のために開発された書体で、Monotype で開発された本書体と、後に Linotype に移植(?)された Times があり、双方の機械の組版方式の違いのためか(多分違うが)、デザインがほんのり微妙に異なっている。前者は Windows、後者は MacOS に標準搭載されたため、おそらく一般人の使用した書体としては世界一の利用率ではないかと思われる。名前は先に開発された方が New が付いているというややこしいものだが、この New は「The Times が使う新しい書体だよ」という意味で使われたんではないかと思う。この書体は Times Europa、Times Millennium、Times Classic とちょいちょいアップデートされ、今でも The Times で使用されている模様。現在のものは Times Modern という名前のようだ。とまぁここまでにしておき、あとは Wikipedia でも参照してくれ(笑)。
本日はドイツのタイポグラファーでカリグラファーであったヤン・チヒョルト Jan Tschihold の誕生日(1902)。チヒョルトは少ないながら書体もデザインしており、これがそのひとつで、Garamond をベースに新しい解釈を加えてデザインしたもの。を、さらにフランスのタイプデザイナー、ジャン・フランソワ・ポルシェ Jean François Porchez が改刻したもの。ポルシェ氏は改めて Garamond と Sabon の活字を見直してリファインしたそうで、Garamond より Garamond っぽくなっている(?)。x-ハイトが小さめなところがクラシカル。もちろん Pro 化され、オルタネートやリガチャーが増えた。6ウェイト。Monotype サブスクリプションに入っている。
本日は『ガリバー旅行記 Gulliver’s Travel』を著したアイルランドの作家ジョナサン・スウィフト Jonathan Swift の誕生日(1667)。というワケで同じ名を持つ書体を紹介。名人 Gerald Unger による本文用ローマン。氏の書体に多いウェッジ形のセリフを持ち、字幅もあまり差がなく一定のピッチがあり、「ああジェラルド・ウンガーやなー」という感じがする。1989年に制作され、2009年に Neue 化(?)されて字種が増えた。5ウェイトあり、Black だけコンデンスがある。ちなみにジブリ映画の『天空の城ラピュタ』の空に浮かぶ島というアイディアはこのガリバー旅行記から。劇中でも語られている。
本日は日本的には「いい夫婦の日」として有名だが、ケネディ大統領が暗殺された日でもある(1963)。っつーわけで「大統領」の名を持つ書体を紹介。名にふさわしいエングレーブドローマンである。名人アドリアン・フルティガー Adrian Frutiger の手による。元はフランスの Deberny et Peignot という会社のためにデザインされた活字を、Linotype がデジタル化したものである。ほとんどコントラストがなくやや幅広。小文字はなくスモールキャップス。とまぁこのテの書体の特徴そのままで、これといって変わったところはない。ま、そんな感じである。ところでケネディ大統領、暗殺時の年齢は46歳だそうで。筆者と1コ違いというのが驚愕である…こんなおっさんでごめんなさい。
本日は9.11。あれから16年とか何も中身が変わってない自分にちょっと目を背けたくなる年月が経っておりますが(笑)、あの悲劇を忘れないために世界貿易センタービル、World Trade Center の名にちなんでこちらの書体を紹介。1948年に制作されたややコンデンスなネオグロテスク。これといったクセもなく大変読みやすいため、かなり広く利用されている。こちらは2008年に小林章さん主導でリファインされたバージョンで、元のものとは細部が異なっている。どこが異なっているかは調べてくれ(手抜き)。一部記号類の形を変えたほか、字種やウェイトを増やしたとのこと。今から買うならこちらだが、Monotype サブスクリプションに入っているのでそちらを利用した方がいいだろう。
本日は35歳という若さで急死したK-1選手、アンディ・フグ(Andy Hug)の誕生日(1964年)。フグと言えば踵落とし(axe kick)だが何にもヒットしないので(笑)、出身のスイスにちなみ、同じスイス出身のアドリアン・フルティガーの書体を紹介。折角なので全然知られてないこちらを。カリグラフィーで言うところのラスティック・キャピタル(Rustic Capitals)という書体をフォント化したもの。需要がほとんどないのか、滅多にフォント化されることのない書体で、非常にレアである。1世紀頃からある非常に古い書体で、細長いプロポーションと強いコントラストが特徴。ブロードペンで書く時はペン先をほとんど垂直に立てる事が多いので、人差し指と中指の間にペンを持つと書きやすかったりするという、書き方さえも珍しい書体である。このフォントにはやや本体とは異質なボーダーフォントが付いている。
先日、秋篠宮夫妻のご息女・眞子様と小室圭さんが婚約の内定を発表された。twitter にも書いたが「婚約の内定」ってなんだろね…結婚の内定の事を婚約というのでは…。という疑問は拭えないがおめでたいのでフランス語で「結婚」の名を持つ書体を紹介。19世紀ヴィクトリア風のブラックレター。20世紀初頭にアメリカでデザインされたもののデジタル版である。まぁよくあるものでこれと言った特徴はないが、Linotype 版とは違いこちらの URW++ 版は、活版印刷のシルエットを再現したエッジがギザギザの Antique というバージョンがある。慣れないと読みづらいが、格調高いので名前の通り結婚式の招待状などにも。ちなみにフランス料理の世界でマリアージュと言えば、「料理とワインの相性」の事を言う。
鬼のようにデコラティブなイニシャルを持つブラックレター。18世紀英国のカリグラファー、John Ayres の書体を参考にしたとある。この頃の英国では George Shelley や Charles Snell、George Bickham など綺羅星の如き天才たちが腕をふるっており、それぞれの名を冠した書体(Shelley Script、Snell Roundhand、Bickham Script など)も開発されているが、この John Ayres もなかなか負けてない。コントラストが強くカウンターの広めなブラックレターで、装飾が大変優雅である。ただ、全文をこのイニシャルで組んだりするとかなり読みづらい(サンプルがすでに読みづらい)ので、そのためか Plus という、大文字に装飾のないフォントがファミリーにある。特に目立たせたいもの以外はこれで組んだ方がいいだろう。作者は他に Royal Bavarian Script という書体も制作しており、イニシャルだけ Ayres Royal で、本文はこちらで組んでみて欲しいと提案している。
本日はミッフィーの生みの親、ディック・ブルーナ(Dick Bruna)の誕生日(1927)。今年の2月に惜しまれつつ亡くなられた。んで公式サイトや絵本で多用されてるこちらの書体を紹介。特に説明の必要もない、Helvetica の丸ゴシック版である。Bold と Black しかウェイトがなく、細いウェイトがない。まぁ丸ゴシックを細くすると丸くする意味がないんだけど。ちなみにミッフィー(Miffy)は英語名で、オランダ語の本名(?)はナインチェ・プラウス(Nijntje Pluis)という。知ってた? 筆者は今知った(笑)。
あと「ミッフィー+フォント」で検索する人が多いようなのでヒントを差し上げよう。このような丸ゴシックは英語では「Rounded Sans (Serif)」というようなので、これで検索すれば似たようなのがたくさん見つかる。