Didone タイプのスクリプト。このブログではもう何度も紹介している南米のスクリプトの名手の作。オーナメント類含め1000種以上の字種を持っており、バリエーション豊かな文字組みが可能。かなりハデなスワッシュが豊富なので、ラグジュアリーな用途に重宝するだろう。MyFonts にはサンプルが多数ある他、カタログがPDFで見られる。1ウェイトのみ。Pro版で $37 とお手頃価格。♪夜明けの~ブレ~ス~が~
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割とスタンダードな骨格を持ったマルチスタイルファミリー。サンセリフ、フレアセリフ、セリフ、スラブセリフとあり、それぞれ Jade(翡翠)、Onyx、Ruby、Topaz と宝石の名前がついている。またそれぞれに字幅が3種類あり、細い順からローマ数字で III、V、X となり、X が標準タイプ。さらにそれぞれ5ウェイトあり、合計60種。Jade もサンセリフだがステムの幅に差があり、エレガントな雰囲気を持っている。結構見やすくて良い書体だと思う。
Monotype タイプディレクターの小林章さん制作のモダンローマン。小林さんは制作当時のデジタル版 Didot や Bodoni が、活字とは違いあまりに直線的に処理されてしまっている事が哀しいと述懐しており、この書体は拡大すると判るが、セリフがちょっとしなっていたりステムに微妙な膨らみがあったりして、その辺りが解消されている。最初はヘアラインが繊細なものをデザインされたが、後に本文用に適した Text と、いわゆる袋文字的な Open を制作されている。この書体によく似合うフレームの Border も別にあったが、現在は Text のグリフの中に収まっている。
余談だが、11月に Monotype が日本でイベントを行うとのこと。小林さんを始め、豪華ゲストが登壇する模様。詳細は Type& にて。
※どうでもいいけどサンプルイメージ、Acanthus のスペルが…
つい最近発表された Didone なディスプレイ。サンプルイメージはサンセリフだが、セリフの付いたモダンローマンとペアのファミリーである。拡大すると判るが、ボウルやテール、セリフの部分がにゅよっとしなっており、単純に直線的なモダン書体ではない。Display と Headline があり、Headline の方がヘアラインがやや太めなので、多少小さく(と言っても見出し程度の大きさ)に使うと良いだろう。ロシアっぽい名前(クドリャシェフ?)の通り、キリル文字もサポート。ただいま70%オフセール中。
繊細で可愛らしいディスプレイローマン。細身で柔らかく、そのシルエットはスクリプト風味を多分に含んでおり、派手なスワッシュやフローリッシュがついたオルタネートも多数ある。リガチャーやキャッチワードも多め。ウェイト自体が軽く x-ハイトも小さいので、やはり少し大きめに使う方がいいだろう。だが、あまり大きすぎると品を失うので、その辺のさじ加減が微妙である。アップライトと少し傾いた Slanted と2種。
細身で優雅なブラックレター。バスタルダ(bastarda。フランスではバタルドゥ batarde)というスタイルのブラックレターで、通常のブラックレターよりも柔らかい曲線が多いのが特徴。この書体ではウェイトも軽く、パッと見「イタリック?」かと思うほど上品な優雅さも持ち合わせていて、筆者の好きな書体。派手なオルタネートなどはないが DFR (Deutsche Fraktur) に対応しており、「長い s」やドイツ語独特の ch リガチャーなどが入っている。作者の Gottfried Pott はカリグラファーとしても有名で、Kalligrafische Sinfonien (Calligraphic Symphonies) という作品集も出版している。
品がある中にも可愛らしさも共存してるスクリプト。ウェイトは軽めでコントラストも弱く、傾きもそんなに大きくはない。雰囲気的に上品すぎず、清楚なお嬢さんという感じ。字形以外にはフォント的な特徴はもういちいち説明するのもめんどくさいが(笑)、一応言っておくとスワッシュとリガチャーのオルタネートがいっぱいあります。はい。元々は同名の Digatte というモノラインスクリプトを羽ペン(quill)で書いた風にしたバージョンらしい。1ウェイトのみ。
オランダ風味のあるローマン。オランダ風味って何よ、っていうと、筆者自身が思う特徴として、コントラストが強めでトランジショナルに近く、各字幅にあまり差がなく一定でカウンターも大きめ、という感じである。この書体は加えてステムに抑揚があり、よくよく見るとセリフに近づくにつれややステムが広がっている。あとボウルにちょっと尖った部分があるのも特徴的。1947年に発表された結構古い書体で、当初はもちろん活字であり、De Roos という名前だった。実は筆者の名刺を嘉瑞工房さんで刷っていただいた際、欧文の小さいヤツにはこれを選択した。セリフが楔を打ちこんだようにギッとなっており、結構気に入っている。このデジタル版は3ウェイトあり、インラインタイプの Initials もある。
非常に美しい正統派オールドスタイルローマン。小文字が大きめで現代風だが、シルエットは古風で手書きの風味も若干残っており、とにかくキレイ。R や Q にはテールの長いオルタネートがあり、タイトル組で重宝するだろう。名前はカリグラフィーから来てるのかと思いきや、ゲール語で「岩」の意味だそうである。元はアイルランドのケリー州湖畔にあるホテルのブランディングのために作った書体らしい。そのホテルのステーショナリー類もこれで組まれてるそうな。この書体の似合う湖畔のホテルとか、さぞや居心地の良い美しいホテルだろうと想像させる。いつか行ってみたい。ノーマルウェイトの Text と Bold、見出し用の Display があり、Text と Display にはイタリックもあり。セットで買っても$50と大変お安い。
※2017.6 追記:字種とファミリーが追加された Carrig Pro が発表された。
古き良き時代をホウフツとさせるカッパープレートスクリプト。最近のカリグラフィーベースのスクリプトではなく、活字にデザインされた風のスクリプト。活字の制限ゆえに派手なスワッシュなどはないが、統制のとれた均質な行儀良さがあり、社交用としては最適だと思う。小文字の t が古い字形で、おそらく初めて見るという人も多いだろう(サンプルイメージの最下行、cartoonist を参照)。こういう t もあると覚えておくとモテるぞ(ウソ)。2ウェイト。