ラフで味のあるアップライトスクリプト。一件普通のペンで書いてあるようだが、ちゃんとカリグラフィーペンのストロークがあり、カリグラファーが書いたんだなというのが判る。キャップハイトがかなり大きく、大文字と小文字のサイズの差が大きい。字間は結構広めに取られている。F と T が特徴的。割とカッコイイ書体だと思うが制作年が古く、オルタネートが別ファイルに1種類しか用意されていないのが残念。ぜひ Pro 化して欲しいものである。
Archive: 2016
ややヒューマニスト寄りのネオグロテスクサンセリフ。作者は人気書体、Brandon Grotesque と同じ人。元々は先行した Brix Slab というスラブセリフにマッチするサンセリフを、という事で開発された模様。の割にはちょっと骨格が違う部分もあるが、これも視覚調整の範囲なのだろう。書体としては抑揚がほとんどなく、骨格も奇をてらったところがまったくなくてストンとしている。字種は非常に豊富で、ラテン語圏では困ることはないだろう。6ウェイト。
僕らの生まれてくるずっとずっと前(筆者はそうでもない)の1969年のこの日、アポロ11号が月に行ったって言うので、月の女神の名を持つ書体を紹介。アール・デコ調のディスプレイ。柔らかい女性っぽい雰囲気を持つ、コントラストの強い細身のサンセリフ。なんかおもしろい月のアイコンが入っている。ちなみに作者は小林章さん。名前にこの書体の特徴的な g を入れたいという事で別の名前を付けてたが、却下されてしまったとかいうエピソードを見たような気がするが、出典が探せなかった。間違ってたらゴメンなさい。
昨日は海の日。という事で海関係のイラストが入ったフォントを紹介。アメリカンテイストのあるシンプルなドローイングが71個入っている。なぜかは解らないが、大半のサカナのアゴがしゃくれている。なんでしょね。作者はアゴにコンプレックスでもあるんでしょうか。ま、安いし、気軽に使ってくださいな。
クラシックなカッパープレートローマン。小文字のカウンターがかなり大きく、特にボウルは正円に近くなっており、それに合わせて小文字は全体的に正方形のプロポーションを持っている。セリフは鎌のように曲がっていて鋭い。どことなく University のような雰囲気がある。デフォルトでは字間がかなり詰まっているようだが、広めに組む方が今っぽくなるだろう。1ウェイトしかないが、サンプルイメージのように影付きのものとそれがないシンプルなものがある。
縦のステムの頭にクッとした打ち込みが入っているのが特徴的なサンセリフ。Большой город (Big City) という雑誌のために作られたらしく、ややコンデンス気味でコントラストの弱いヒューマニストサンセリフで、なかなか可読性が良い。サインとかにも使えそうである。字種が非常に多く、キリル文字と多数のリガチャーを持っており、リガチャーには珍しい組み合わせのものや、アクセント記号の付いたもの、キリル文字のものまである。ここまで多くのリガチャーを持っているものはあまり見たことがない。9ウェイト。ただいま10%オフセール中。
イタリア語またはスペイン語で「家」の名を持つ、やや角ばったサンセリフ。J. Mayer H. という建築事務所がドイツのルートヴィヒスブルクに建てた Dupli Casa という建物にインスパイアされたとある。建築物なので当然直線的なのだが、あらゆる角にRが付いた特徴的なデザインで、この書体もそれが踏襲されており、長方形がベースにありながら角が丸くなっている。が、M や N、V、W など鋭角が出てくる部分はRを取らずそのまま鋭さを残している。字間はやや広め。機械的な冷たさの中にも、ちょっとした温かみが感じられる書体である。7ウェイトあるが、イタリックはない。代わりと言ってはなんだがキリル文字がサポートされている。ただいま50%オフセール中。
毎年フォントカレンダーを発売している Verlag から出版された、レタリングの教科書。といっても昔日本でよくあった堅苦しいレタリングの本ではなく、あくまで楽しんで書くようなもので、作例もラフでファンシー、かつチャーミングなものが多数掲載されている。作者のサイトをご覧いただければ判るだろう。んまー正直ドイツ語なので書いてることはさっぱり理解できないが(笑)、ほぼ全ページに渡って図版が掲載されているのでそれを見てるだけでも楽しい。タイプデザインの参考にもなるだろう。先日紹介した『タイポのある暮らし。』もそうだが、最近こういったラフでレトロなレタリングが流行っているような感じがしている。カクテルを題材にしたマンガや、とある占い師も述べているが、時代は若者から大人の時代に入り、レトロ&クラシックに回帰し始めてるそうだ。国民的アイドルの人気が陰り始め、斎藤さんの人気が上がってるのがそういう事なのかもしれない。カリグラフィーやクラシックなタイポグラフィが好きな俺の時代が来るか~?
※この本の邦訳版『ハンド・レタリングの教科書』(2018)もあり。
ディスプレイ組みが充実しているオールドスタイルローマン。ややコンデンスでカウンターが大きくディセンダーが小さいという、新聞用の特徴を備えた普通のローマンのようだが、アップライトの大文字は多くのリガチャーを持っており、クラシカルなディスプレイ組みが楽しめる。小文字のリガチャーもかなり多めで、ちょっと変わったオーナメント類も持っている。Q のテールが非常に独特で特徴的。20世紀前半のアメリカのタイプデザイナー、William Addison Dwiggins の書体にインスパイアされたとある。6ウェイト。
本日はナンパの日。ナンパといえばイタリア(偏見)、ということで、そっちら辺でよく使用されていたゴシックを紹介。というよりセール中で目についたので強引に結びつけただけなんだけど(笑)。多分このブログでは初めて紹介するタイプの書体である。Rotunda(ロタンダ)と呼ばれるゴシックの一種で、イタリアで生まれ、12~15世紀頃によく使用されていたようである。なかなかマイナーな書体でフォントになっているものも少なく、カリグラフィーの作品でもこれはあまり見たことがない。他のゴシックに比べて書きやすいが、見た目に派手さがないのが人気がない理由だろう(笑)。スワッシュも付けられないしね。実際このフォントにもオルタネートはない。一回イタリア料理屋のロゴをこれで提案してボツ食らったなぁそういや…(涙)。ただいま23%オフという中途半端なセール中。