フランス語で既製服(プレタポルテ)という名のデュオ。スクリプトとスラブセリフのミックスで、スラブセリフの方は普通のかっちりしたもので、よくある手書き風ではなく、ウェイトも9つある。スクリプトはモノラインとカッパープレート(風)のものがあり、どちらも結構ラフな形をしている。こちらはオーナメントも含め5ウェイトずつ。ただいま79%オフセール中。ちなみに反対語、つまりオーダーメイドは haute couture オートクチュール(直訳すると高級仕立服)というのだが、実はオーダーメイドというのは和製英語で海外では通じない。英語では普通 bespoke ビスポークという。be spoken (話し合った)が語源だとか。
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本日はお盆で終戦記念日。ではあるが、これにちなんだような書体などないので、鎮魂の意味を込めて(?)碑文系を紹介する。1509年に Luca Pacioli という人が De divina proportione という本の中で、ローマンキャピタルを幾何学的に分析したものを書体化したもの。こういう分析をした人は Albrecht Dürer が有名だが、なぜか Pacioli のものを採用したらしい。ルネサンス期の芸術家たちは、古代ギリシャ・ローマ人たちが数学的にも秀でていた事に目をつけ、きっと文字の設計もこうしたに違いないと分析したらしいのだが、実際は平筆でフリーハンドだったらしく、現在この手法は否定されている(笑)。
Eric Gill の絶筆(?)となった書体だそうである。Gill らしい碑文風味のあるオールドスタイルローマンだが、Gill の代表的なローマン、Perpetua と比べるとコントラストが弱く、x-ハイトが大きくてややコンデンス気味。つまりより本文向きになっているだろうか。イタリックはカリグラフィー風味が抑えられており、f にディセンダーがない。3ウェイトしかないが、Pro 版らしく字種は豊富。ちなみに制作された当時は通常の手組みの活字版と Linotype 版があったようで、Linotype 版は Pilgrim という名前だったそうな。
本日は今年から公休日に制定された「山の日」、という事で山にちなんだフォントを探したが、これが意外にもあんまりない。有名な山の名前で検索したが、めぼしい物はヒットしなかった。アンデスとか南米だしいいかなと思ったが、以前 Andes (Rounded) を紹介してしまってるので、仕方なくコイツを紹介(ひどい)。アフリカ大陸最高峰の名を冠したディスプレイである。日本ではコーヒーのブランド名として知られる。あちこち塗りつぶされ変形してはいるが、字としての体裁を保っており、ちゃんと読めるところがスゴイ。日本では変形させすぎて字としておかしくなってしまった欧文ロゴをちょいちょい見かけるが、ロゴは読めてナンボである。和文ではそんな事はないので、欧文慣れしてないデザイナーがそういう事をしてしまっていると思われる。ちゃんと経験を積んでから取り掛かるよう注意されたい。
曲線多めな Didone ディスプレイ。C や r など、ちょっと曲がった線があると、そこがクッとフックしているのが特徴的。全体的にはカウンターが大きめでゆったりした印象があり、モダンローマンにありがちな鋭さがない。7ウェイトあるが、どのウェイトもヘアラインが細いのでやっぱりディスプレイ向きだろう。MD、OG、HE、AV のリガチャーがあり、数字はライニングとオールドスタイルがある。
本日は20世紀前半に活躍したアイルランド生まれの建築家・プロダクトデザイナー、Eileen Gray アイリーン・グレイの誕生日。という事で、彼女の名を冠した書体を紹介。アール・デコスタイルのサンセリフディスプレイ。バーの下がった E や F、頭でっかちの B、R、積分記号みたいな S など、アール・デコの特徴がよく出ている書体である。ちなみにグレイはインテリアデザイナーとしても知られ、特に E-1027 というサイドテーブルは有名で筆者も愛用している(コピーだけど・笑)。5ウェイト。
事情により更新を休止していた本ブログを再開します。絶賛リオ五輪開催中という事で、なんかロゴに似たイメージが描かれていた書体を紹介(笑)。手書きのニュアンスを多分に残したオーガニックなサンセリフ。あちこち不用意に折れ曲がっており、それがユニークな印象を与えている。ノーマル幅の他、コンデンスな Con とエクステンドな Ext があり、それぞれ8ウェイトずつ用意されている。
様々なスタイルのサンセリフディスプレイ。8種類のスタイルがあり、それぞれ 1901, 1913, 1919, 1927, 1933, 1945, 1984, 2001 という名が付いている。察しの通りこれは西暦で、それぞれの年代のスタイルを踏襲しており、例えば1901はアール・ヌーヴォー調であったり、2001はかの宇宙の旅的な所からインスパイアされたりとなっている。パッと見はすぐに違いが認識できないが、ひとつひとつじっくり見ていくとおもしろいだろう。これらはすべて大文字のみだが、これらとは別に Text というのもあって、これは小文字もあり、ギリシャ文字やキリル文字もサポートしている。それぞれ7ウェイトずつ。
なんとも珍しい書体が発表されたので紹介する。骨格的には普通のローマンだが、見ての通りアウトラインがかなりラフにカクカクしており、まるで版画か切り紙でデザインしたようなシェイプになっている。小さく本文サイズで使うと、パッと見では普通のローマンに見えるかもしれない。小林章さんの Conrad もなかなかおもしろい書体だが、ここまでインパクトの強いものはそうないだろう。これタグの付けようがないな…(笑)。インラインの大文字とオーナメントがあって、オーナメント類はコロンビア先住民の民族文様を模したものになっているそうだ。Std と Pro があって、それぞれ4ウェイト。ただいま84%オフセール中。
「希望に満ち溢れたバッタ」とかいうディスプレイ。バッタっぽい躍動感は全然なく、細いモノラインで手書き風にラフかわいく書かれている。ストロークの端にセリフの代わりに小さなドロップが付いているのが特徴。このブログの熱心な読者(いるのか?)ならお気づきだろうが、以前紹介した「希望に満ち溢れたキリン」という書体と同じ作者である。学生は夏休みに入ったようだが、ポケモンばっかり追いかけてないで、たまには原っぱでバッタでも追いかけてみてはいかがだろうか。