アール・ヌーヴォー調のディスプレイ。ミュシャのポスターかなんかに使われてそうな、植物的なニュアンスのあるクセの強い書体である。元は20世紀初頭、セントルイスにあった Central Type Foundry という所から発表された書体らしい。それを URW++ がデジタル化したもの。今となってはこれと言って使い道が思い当たらないが、筆者は個人的には好きな書体である。
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明日10月1日は色々な日が制定されているが、その内のひとつが『香水の日』だったのでこの書体を紹介。20世紀前半によくあった、いまだ分類名を考えあぐねるタイプのスクリプトである。仮に活字スクリプトとでも呼ぶ…いや、ダサい(笑)。まぁいいや。とにかく紹介を進める。1933年に Bauer から発表された Trafton という書体にインスパイアされたとある。以前に紹介した Cronet や Duktus と同タイプの書体である。キャップハイトが大変大きく、小文字の存在を抑えることでエレガントに仕上がっている。女性向けで、化粧品や美容、ファッションなどの分野に重宝するだろう。オルタネートはないが、f をベースに fv、fx、fz などという変わったリガチャーがちょっとある。1ウェイト。
Futura を現代的にリファインしたもの。らしい。詳しく見比べてないのでどこがどうとは言えないが、すぐ判る特徴としては、j や l のしっぽが曲がっており、より判別しやすくなっている(曲がってない字形もオルタネートで持っている)。あとスモールキャップスとオールドスタイル数字が加わった。fi のリガチャーのデザインがちょっとクドいかな…。レギュラー幅が6ウェイト、コンデンスタイプが4ウェイトある。販売元の Neufville は、最初に活字の Futura を発表したドイツの Bauer の正当な系譜じゃなかったかしらん…。ちょっとうろ覚え。
ヌメっとしたクラシカルなローマン。ストロークのコントラストが弱くてセリフもやや太く、x-ハイトも小さめと、e のバーが斜めじゃないというだけでほとんど雰囲気的にはヴェネチアン。イタリックはカリグラフィー風味が強く、大文字にはスワッシュがついている。可読性はなかなか良いのではないだろうか。ファミリー展開は弱いが、字種はプロ仕様。全体的に非常に筆者好みの書体。フォーマルな用途にもいいのでは。
ガリレオが発見した木星の4衛星の内のひとつ、エウロパに水があるというニュースがNASAから発表されたので、この書体を紹介。スタンダードなネオグロテスクである。ま、これといった特徴はないが、クセもなく読みやすい書体だと思う。6ウェイトあり、その他ウェイトやイタリックなどが揃ってはいないが、コンデンスタイプとエキスパンドタイプ、丸ゴシックもある。この SB は本文用で、ヘッドライン用に別に SH というバージョンもある。ちなみにエウロパとはギリシャ神話に出てくる女性の名前で、大神ゼウスが牛に姿を変えて彼女をさらって走り回った土地が、後に彼女の名を取ってヨーロッパと名付けられたそうである。ゼウスはよくそーやって美女をモノにしては妻ヘラの怒りを買っている、だらしないヤツである(笑)。もひとつちなみに、ガリレオは4つの衛星が木星の周りを回るのをみて、地球も太陽の周りを回ってる=地動説を確信するに至ったらしい。
ガーリーなミクスドファミリー。よくある拙さをわざとらしく押し出したヤツではなく、手書き感を残しながらきちんとレタリングされたタイプである。アップライトのブラッシュスクリプトをメインに、コンデンスなセリフとサンセリフが付いている。セリフとサンセリフには5ウェイトずつあり、基本的に小文字はないが、セリフの一番太いウェイトの Poster には小文字がある。PhotoWall の名が示すように、フレームオーナメントが数種ある。ただいま60%オフセール中。
1846年の今日、色々な計算で予言されていた海王星の存在が初めて確認された日だそうである。本来海王(神)=ネプチューンなのだが、そのものズバリの書体が見つからなかったので、ギリシャ神話でネプチューンと同一視されているポセイドンの名を持つ書体を紹介する。すべてのステムが波打っている変わったローマンである。結構クセが強いかと思いきや、意外と読みやすい。イタリックは水槽の向こう側にでもあるかのように見えるのがおもしろい。セリフは直線的で太く、ブラケットもないのでスラブセリフと分類できるかもしれないが、なんとなく雰囲気はローマンなのでローマンて事にしといてくれ。
ややエキスパンド気味な平べったいサンセリフ。字によっては左上か右下(あるいは両方)にちょろっとセリフっぽいものが付いているのが特徴。カウンターは大きめでアセンダーやディセンダーはかなり小さく、字間は最近の書体には珍しくやや詰め気味。イタリックはオブリークタイプ。名前はコペンハーゲン Copenhagen のデンマーク語綴りで、実は読みも「クブンハウン」ぐらいが近いらしい(コペンハーゲンは英語読み)。オーナメントにはコペンハーゲンの名所の建物…ぽいものも多い。5ウェイト。ただいま68%オフセール中。
ラテンアルファベット26文字の1文字1文字について、その成り立ちや欧米人が抱くイメージなどか解説された本。例えば A はやはり最初の文字で、1番でありエースというイメージがあるようで、2010年のミズーリ大学の実験では、試験前に A を見た学生と見なかった学生とでは、前者の方が良い成績を修めたという。こんな感じで A から Z まで解説されている。ネイティブでない日本人には意外な情報もあっておもしろい。著者のサイトはこちら。日本在住の模様。
エレガントなセミセリフ。Astoria というセミサンズを元に、ステムにコントラストを付けてクラシックな雰囲気を持たせたものらしい。プロポーションがよく、エレメントも控えめで美しい。字種が Std 仕様なのが残念だが、筆者は一目見てデザインを気に入った。女性向けの商品などによくマッチするだろう。4ウェイト。サンセリフ版もあって、こちらもなかなかエレガント。ちなみに本日はアメリカの有名なマジシャン、David Copperfield の誕生日らしい。が、サンプルにある David Copperfield とは、まったく同姓同名の主人公が登場する Dickens の小説のタイトルだそうである。まぁ偶然。ただいま20%オフセール中。