本日は日本カシス協会(なんだこれ)が定めた『カシスの日』だそうなのでこちら。カシス(クロスグリ)の英名の名を持つモダンスクリプト(cassis はフランス名)。傾きは普通でストロークは柔らかく、字形はバウンシーでややコンデンス気味。リガチャー、スワッシュ等含めて200ほどのオルタネートがあるとの事。
カシスは日本では果実よりも、クレーム・ド・カシスというリキュールで有名だろう。かなり甘いのでそのまま飲まず、オレンジで割ったカシスオレンジや烏龍茶で割ったカシスウーロンなどがよく飲まれるが、酒飲みは割とこれらを小馬鹿にする。特に女子が飲むとかわいこぶってるとか揶揄されるが、なんでだよ美味しいじゃんさー。
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太めのブラッシュスクリプト。最近よくあるサードウェーブテイストのヤツで、傾きはなくアップライト。バウンシーではなく割とサイズは揃えられており、コネクションはあったりなかったり。スワッシュオルタネートも皆無だが、リガチャーは少しだけある。書体のテイストによく似合うかわいらしいイラストアイコンもちょこっとあり。ま、難しいことを考えずに気軽に使うのがベストだろう。1ウェイト。
なんだかまー仲良くなって欲しいよねという願いを込めてこちら。ブラッシュスクリプトとモダンローマンのデュオ。ローマンの方は重めでコントラストが強いラグジュアリー感の強いもので、大文字のみ。スクリプトは傾きのないアップライトの細めのブラッシュで、あまり筆ならではの表現はなく、普通にラフに書いた感じになっている。スワッシュオルタネートも特にない。双方とも1ウェイトのみ。ちなみに作者はインドネシア人で、なんで「韓国」なんて名前になってるのかは不明。
本日はジョジョ第一部からの古参ファンにはお馴染みの「愛してその人を得ることは最上である。愛してその人を失うことはその次によい (To love and win is the best thing. To love and lose, the next best)」の言葉で有名な英国の作家ウィリアム・M・サッカレー William Makepeace Thackeray の誕生日(1811)。といって関連するものは何も見当たらないので(笑)、まぁ小説家だったという事なので「小説」という名の書体を紹介。コントラストの弱めな黒みの強いしっかりしたオールドスタイルローマン。「オールド」とは言うもののだいぶモダンな雰囲気で、また筆の感じもそこかしこにあるなかなか不思議な書体である。イタリックが非常に独特で、カリグラフィックな雰囲気はあるもののほとんど傾いておらず、アップライトに比べだいぶコンデンス。全体的に可読性は良好で、これが現代の本文用書体か、という感じはする。6ウェイト。他にも Novel の名を冠した書体が多数あり、Sans, Sans Condensed, Display(サンセリフ), Sans Rounded, Sans Hair, Mono, Office がある。
欧文組版の日本語書籍における決定版。「タイポグラフィの基礎とマナー」とサブタイトルにある通り、目を引く派手なデザイン例ではなく、ホントに「基礎」をしっかり教えてくれる教科書である。各章に課題があり、実際に手を動かして組版を学べるようになっているので、ぜひ読むだけではなく実践して学んで欲しい。語りかけるような平易な文章で書かれているので読みやすいと思う。東南アジアなどで、変な文字組みの日本語の看板などを見たことがあるだろう。基礎を学んでおかないとああいう変な文字組みをしてしまい、そしてそれに気づくことすらなくどこかでネイティブの方々やエキスパートに「あ~あ」と落胆されてしまうので、そうならないようしっかり学んでおきたい。
まぁでもネイティブの人たちもみんなしっかりしてるかというと、あんまりそうでもない。筆者はアイリッシュ音楽が趣味で洋書の楽譜を多数持っているが、それらの文字組みはなかなかにヒドい(笑)。それらを作ってる人たちにもこの本を読んでもらいたいと思うぐらいである(ムリだけど)。
2010年に美術出版社から出版されたものの増補改訂版。前の版を持ってる人もぜひどうぞ。
やや硬い印象のあるディスプレイローマン。ステムのアウトラインがほぼ直線で、ウェストを絞るといったようなオーガニックな雰囲気をまとわせる事はなく、機械的で冷たい印象がある。セリフはウェッジ型でブラケットも直線。x-ハイトが大きくアセンダー・ディセンダーも短め。スタイルが3種あり、本文向きの Text、見出し向きのコントラストが強くモダンローマン化した Display、そのヘアライン部がすっ飛んだ Stencil がある。それぞれ4ウェイトでイタリックはなし。なので一応本文用もありはするが、主にはディスプレイ向きだろう。ただいま50%オフセール中。
諸説あるが本日はかのローマ皇帝ユリウス・カエサル Gaius Julius Caesar の誕生日(100 B.C.)っぽいのでこちら。ややぼったりしたヒューマニストフレアセリフ。全体的にやや太めでくびれも強め。角が落ちて丸くなっているので余計にぼったりした印象がある。C, O, Q など丸い字がコンデンスなのと、A のアペクスが取れてバーが乗っかって平になっているのが特徴的。キリル文字もサポートしている。1ウェイト。ちなみにユリウスの名は欧米諸国で「7月(July, Juillet, Juli, Julio 等)」の由来となっている。あとどうでもいいけど紀元前を表す B.C. は Before Christ と英語なのに、紀元後の A.D. は Anno Domini とラテン語なのは納得いかない(笑)。統一せぇよ。
エレガントでインスタ映えしそうなデュオ。細めのダイナミックなペンストロークのシグネチャースクリプトと、ヘアラインが特徴的なモダンフレアセリフがパックになっている。スクリプトの方はスワッシュオルタネートはないが、リガチャーが割と豊富に用意されている。1ウェイトのみ。フレアセリフの方はカウンターがゆったりと取られており、E や P、R などが頭でっかちで、A や H のバーが波打ってるのが特徴的でかわいらしい。こちらは2ウェイト。大変エレガントな印象で、女性ファッション誌やウェディングなどによく似合うだろう。ちなみに名前はフランス語で「良く生きる」というような意味らしい。
名前の通りとんがったセリフを持つ書体。コントラストの弱い、ほぼモノラインでコリッとした骨格の本体に、ウェッジ型の鋭いセリフが付いている。ただ結構小さくトゲのようにも見え、見方によってはフレアセリフっぽくもある。g のディセンダーループが詰まってるのと、j や y のディセンダーのフックが強く曲がってる所と、何より K/k のアーム?が刀の切っ先のようになってるのが特徴的。見ての通り黒澤明の「七人の侍」にインスパイアされたものとの事。8ウェイトと意外と豊富。イタリックもあるが別のセットになっている。作者はフランス人だが日本びいきのようで、他に Naoko という書体も作っている。
本日は画像が扱える初の WWW ブラウザ NCSA Mosaic を開発したマーク・アンドリーセン Marc Lowell Andreessen の誕生日だそうな(1971)。これによりインターネットが爆発的に普及したので、歴史に残るソフトウェアという事になるだろう。というわけでそれに敬意を評してモザイクな書体を紹介。ちょっとオリエンタル風味のある書風をモザイクで表現したフォントである。基本はちょっとしたスワッシュがアラビックな風味を醸し出している書体で、それにモザイク状に細かいラインが入っている。フィルが普通なものとアウトラインだけの Outline、カウンターごと塗りつぶした Contour があり、色分けして重ねて打つ事で様々な表現が可能になっている。1ウェイト。
実は Mosaic が現役の頃を知っているんだよね。すぐに Netscape に取って代わられ、それも有料だったため無料で Windows に付属された Internet Explorer にあっという間に駆逐されたけど。そんな歴史を知ってる俺…年取ったなぁ…。