スッキリしていてキレイなイングリッシュブラックレター。このタイプは中世のカリグラフィータイプのブラックレターから派生して、近世の活字時代にデザインされたもので、20世紀初頭まではよく作られ、新聞の題字などに使用されていたが、最近はあまり新しいものが出てこない。あっても例のラフな手書き風のものが多く、こんな正統派はめずらしい。デコラティブでありながら抑制が効いており、仮想ボディをはみ出さず四角にきっちり収まってる感じが好感が持てる(笑)。Old English によく似てるが、字形が全然違うものもあるので見比べてみて欲しい。フィルはソリッドなものとラフなものの2種。にしても、ブラックレターをこんなに空けて組むのも時代だろうか…。
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活字イタリックタイプの優雅なディスプレイ。4年前に紹介した Musicca のイタリック版である。大きなスワッシュの付いたオルタネートが豊富なローマンディスプレイで、アセンダーとディセンダーが大きく、大文字のベースラインが下がっており、小文字のx-ハイトの部分が大文字のほぼ中央に来るようになっている。で、カリグラフィー書体のようにスワッシュオルタネートが豊富。分類に悩んだが、多分スクリプトとしておいた方がしっくりくるかなという感じ。先週木曜がボジョレー・ヌーヴォーの解禁日だったんだけど忘れてたんで(笑)、これで許してくださいな。1ウェイト。
繊細すぎず可読性の良いカッパープレート。アセンダーやディセンダーが短くループを省いており、このテとしてはかなり珍しい。ヘアラインはあるが、太い部分が太く(?)字幅が広くて可読性が良い。その分優雅さはやや犠牲になっている。スワッシュオルタネートはあり。線画のイラストアイコンが付属しているが、インディアンのイラストが多く、アメリカンテイストが強い。1ウェイト。$15 とかなりお得。
かなりデコラティブなレタリングスクリプト。見ての通り文字そのものに植物的な装飾がかなりハデに施された、ヴィクトリア風味もあるヴィンテージ感あふれる書体。タトゥーなどに使用される文字からインスパイアされたものとの事で、そっち方面の雰囲気も強い。オルタネートも豊富で、グリフ数は1000近い。フィルがソリッドなものと、アウトラインに下半分だけ薄っすらフィルが入った Deboss というバージョンがある。他、大文字のみのコンデンスなローマンとイタリック、オーナメントやフレームなども付属している。
ファンタジー風味のクセがすごいんじゃーなディスプレイ。アール・ヌーヴォー風の植物的な装飾が施されていながら可読性は程よく確保されており、読むのにさほど難はない。魔法使いが出てくるようなダークファンタジーにうってつけの書体ではあるが、製作年が古いせいかオルタネートがまったくないのが残念。しかし2003年が古いっていうのがなんか…まあよい。名前は指輪物語の登場人物・アラゴルンから来てる…のかも知れないし、スペインのアラゴン州から来てるのかも知れないがよくは判らない。
基本はベーシックな(同じ意味)ブラックレター。字形はごくごく普通で読みやすい近代的なブラックレターなのだが、スワッシュオルタネートが豊富に用意されている。簡単にちょこんと付いたものから、かなり長くうねったものまでバリエーションがある。こちらの Antiqued がフチがラフでよりオカルティックになっているが、スムーズなバージョンの Bucanera Soft というバージョンもあり。Std 版でオルタネートが別になっているものと、異体字切り替え可能な Pro 版(OT)がある。使うアプリによって購入するものを選ぶといいだろう。1ウェイト。
本日『パラシュートの日』だそうな。1797年のパリで、デカい傘的なもので飛び降りたアホ…もとい勇者がいたとか。ギリシャに Parachute という優秀なファウンダリーがあるので、そちらの書体を紹介。やっぱりハロウィンにぴったりなガッタガタで安定してないディスプレイ。ステムの太さもストロークの方向もとっちらかっており、クリンと巻いたセリフが特徴的。モンスター的にかわいらしく変形した動物やメカのイラストアイコンが多数入っている。ギリシャ文字とキリル文字もサポート。1ウェイト。
ヴィクトリア朝風味のあるデコラティブなディスプレイ。ブラックレターがベースになっているとは思うが、そこに植物的なスワッシュと細いシャドウを付けてかなりデコラティブになっている。大文字にはオルタネートはないが、小文字には15種ほどあり。本体とシャドウを分けたバージョンもあり、色分けができるようになっている。古いシガーボックスをイメージしてデザインされた様で、そういう名前が付いている。
本日は『黒の日』という事で、それ関連の書体をば。めずらしいロンバルディック・キャピタル Lombardic Capitals である。この書体は中世、ブラックレターと組み合わせ、ページや段落の冒頭にイニシャル(ドロップキャップ)として使われる事が多く、当時はこれだけで文を書く事はあまりなかった模様。カリグラフィーの書体ではあるが、ペンで普通の文字のように書く事はできず、レタリングで描かれるのが普通(ビルドアップレターと呼ばれる)。だがこの Orbe はちょっと工夫すれば書けそうではある。現代ではちょっと使いにくく、あまりデジタル化はされていないので、結構めずらしい。これは中でも出来が良く、2009年に TDC ほかいくつかのコンテストで賞を獲っている。1ウェイト。
使いどころがよく判らない(笑)。モダンローマンディスプレイ。ヘアラインのほっそいコントラストの強いモダンローマンのあちこちが欠けたり変形したりしており、かろうじて可読性を確保している非常に個性的な書体である。パリコレなどのファッションショーに「これどこに着ていくねん」というのなのが出品されたりするが、あれに近い感じがする。ハイブランドのようなラグジュアリー感は非常に強いものの、使うのに困る書体だと思う。けどまあこんなのもどおでしょか? 名前のニシャンタシュは、イスタンブールでハイブランドの集まる高級街の事だそうだ。日本で言う銀座みたいなもんかな。