年2回発行されているタイポグラフィ専門誌の第8号。特集は「書体の選び方・組み方・見せ方」。巻頭インタビューは祖父江慎さんと寄藤文平さん。御二方とも装丁の分野で名を馳せる方々だ。書体選びは欧文は小林章さん、和文は竹下直幸さん。組み方は写植を長くやってきた方と、この雑誌そのものの組版担当のコン・トヨコさん(お元気ですか~)。オマケにタイプバンクとモリサワの書体見本と、Monotype の書体を使ったカレンダー・ポスター。これだけ付いてお値段据え置き!
Archive: November 2015
傾きとコントラストが強いカッパープレートスクリプト。非常に華やかなフローリッシュが多数あり、ラグジュアリー感満載な組版が可能。太い部分が結構強いので、そこそこ小さくても存在感を放つと思う。19世紀のアメリカのカリグラファー、Louis Madarasz という人の筆致を書体化したものらしい。Madarasz についての書籍、The Secret of the Skill of Madarasz という本が Internet Archive にて公開されていて、誰でも読める。見てみると、なるほど素晴らしい才能の持ち主だったようである。このスキャン画像はブラウザではもちろん、Kindle や PDF フォーマットでもダウンロード可。IAMPETH が投稿したらしい。ありがたや…。名前はスペイン語で「ブルジョワ」という意味だそうである。
なんか古い書体ブームが来てる(俺だけに)のでまたもそんな書体を。超コンデンスなディスプレイサンセリフ。多分だが、この書体が制作される6年前の1931年にできた、ニューヨークのエンパイアステートビルから名前は来てると思う。字幅は極端に狭く、縦画は太く横画は細くなっており、強いコントラストを持っている。同年代のアメリカンな雰囲気満載の書体である。元々大文字のみの1ウェイトでバリエーションもないが、この Font Bureau 版は小文字とイタリックとスモールキャップスが加えられ、さらに Bold と Black のウェイトも追加されている。キングコングのアイコンないかしら…。
スタンダードな本文用トランジショナルローマン。元は活字で古い書体だが、x-ハイトが大きくアセンダー・ディセンダー共に小さい、という最近の書体に多い特徴を持っている。長い文章を読みやすくするための工夫だろう。イタリックはなんかギリっとした堅く鋭い雰囲気がある。確か当時、ダンテ全集を出版する際に作られたとかなんとかいうのをどこかで読んだ気がするが、ちょっとソースが探せない。間違ってたらスンマセン。6ウェイト。2013年には Dante eText というパソコンのディスプレイでの表示に最適化されたバージョンも発表された。こちらは2ウェイト。
Didone タイプのスクリプト。このブログではもう何度も紹介している南米のスクリプトの名手の作。オーナメント類含め1000種以上の字種を持っており、バリエーション豊かな文字組みが可能。かなりハデなスワッシュが豊富なので、ラグジュアリーな用途に重宝するだろう。MyFonts にはサンプルが多数ある他、カタログがPDFで見られる。1ウェイトのみ。Pro版で $37 とお手頃価格。♪夜明けの~ブレ~ス~が~
割とスタンダードな骨格を持ったマルチスタイルファミリー。サンセリフ、フレアセリフ、セリフ、スラブセリフとあり、それぞれ Jade(翡翠)、Onyx、Ruby、Topaz と宝石の名前がついている。またそれぞれに字幅が3種類あり、細い順からローマ数字で III、V、X となり、X が標準タイプ。さらにそれぞれ5ウェイトあり、合計60種。Jade もサンセリフだがステムの幅に差があり、エレガントな雰囲気を持っている。結構見やすくて良い書体だと思う。
英国のタイプデザイナー、Eric Gill (1882–1940) がデザインした書体のサンセリフ版。元は Joanna というローマン書体だが、それのサンセリフ版である。Gill らしい碑文のプロポーションを持ったヒューマニスト。オリジナルよりx-ハイトが大きくなり、可読性が良くなった。リニューアルにあたり字種が大幅に増え、中央ヨーロッパは元よりギリシャ文字やキリル文字もサポートするようになった。もちろん元の Joanna も Joanna Nova としてリニューアルしている。8ウェイト。ただいま全ファミリーパックで $99 セール中。
クリスマスツリーの飾りで文字をかたどったようなディスプレイ。サンプルイメージにあるように4種類あって、左から星が一列に並んでステムを形成してるもの、同じように雪の結晶が一列に並んだもの、モールがステムになったもの、散りばめた星がステムになったもの、がある。これからの季節向けにまぁよろしいんじゃかなろうか。ただいま50%オフセール中。
かわいらしいアップライトのブラッシュスクリプト。大文字と小文字のサイズの差がかなり大きく、大文字は頭でっかちなプロポーションで丸っこくかわいらしいが、I, J, K はこれ読めるんかな…という形をしている。オルタネートは残念ながらほとんどないが、リガチャーは多少あり。1ウェイト。
ローマ碑文系ディスプレイ。基本的には Trajan と同系統なのだが、一応セリフには分類しているものの、サンセリフのステムの端が広がったフレアセリフタイプとなっており、また珍しい事に小文字がある。大文字にもリガチャーが豊富で、キリル文字やギリシャ文字もサポートしている。いろいろ拡張されてる分、多少「堂々感」が薄れてるかな…という感じ。1ウェイトのみ。