平筆で書いたローマンキャピタルスクリプト。以前紹介した Turquoise と同タイプの書体だが、こちらはやや威風堂々感が弱くカジュアル気味で、手書き感がよく残っている。こちらも通常はない小文字があり、スワッシュの付いたオルタネートも豊富にある。10ウェイトもあり、さらにはオーナメント類の他、銅版画風のクラシックなイラストアイコンも多数収録されている。MyFonts のページにはかなりの数のサンプルがあるので、そちらもご覧頂きたい。これもウェディングにはよくマッチするだろう。ただいま72%オフセール中。
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クラシックで Didone なイタリック。アップライトはなくイタリックのみのファミリーで、元は19世紀のプロシア系アメリカ人、Louis Prang という人が出版した学校向けアルファベットの教科書にあった書体だそうである。傾きとコントラストが強くコンデンスで、ほとんどの文字にヘアラインのスワッシュが付いたオルタネートがある。カッパープレートスクリプトの代わりに使えそうなので、これもウェディングなどに。3ウェイトあるが、どのウェイトもヘアラインの細さはほぼ同じ。ただいま50%オフセール中。
エレガントなディスプレイローマン。Rudolf Koch の Koch Antiqua(またはLocarno)をリファインしたものだそうである。カリグラフィー風味が多分にあり、それ方面でも名を馳せていた Koch のテイストがよく出ている。キャップハイトやx-ハイトがかなり大きく、縦のステムは下の方に行くに連れ若干細くすぼまっている。g の字形は非常に特徴的。本文向きではないが、洒落た雰囲気があるので端物印刷に重宝するだろう。オリジナルにはなかったキリル文字も追加されている。2ウェイト。
6月はジューン・ブライド。って事で、ちょっと優雅なスクリプトを多めに紹介したいと思う。と言いながらいきなり変わりダネ、昔ドイツで使われていた「カレント」と呼ばれる筆記体である。非常に独特な字形を多く持っていて他国の人にはかなり読みづらく、そのためか1941年にヒトラーが学校で教えることを禁止したらしい。このフォントはスペンサリアン風味を持っていて美しいので、使ってみてはいかがだろう。「これ使っても読めねーよ!」という人には、Easy という普通の字形バージョンもあるのでそっちをどうぞ。両方を打ち比べてどれがどんな字形になっているか調べるのもオツ。
ちなみにホントは kurrentschrift だと思うが、このフォントの名前はなぜか c が抜けている。版権対策かなんかかな…。
本日はマリリン・モンローの誕生日だそうである。という事で古い映画のタイトルに使われそうなローマンを紹介(強引)。かなりクラシカルなコンデンスローマン。昔ロンドンにあった Stevens, Shanks & Sons というファウンダリーが1865年頃に制作した Antique 5 という書体をデジタル化したもの。5という数字がシャネルのNo.5ともカブってて、これもマリリン・モンローにかかってるよね!(さらに強引)スラブセリフに近いスタイルだが、コントラストは強めに取られている。レギュラー1つのみなのが残念。できればこれに合うイタリックも欲しいなー。
古い碑文から起こされたようなフレアセリフ。骨格はスタンダードだがストロークにコントラストがほとんどなく、ゴキゴキと折れ曲がったようなちょっとしたセリフが付いている。昔 Mac にバンドルされていた Friz Quadrata に似てるなぁと思ったら、やはりそれにインスパイアされている模様。Friz よりはラフな印象を受ける。イタリックが結構カリグラフィックで筆者好みだが、なぜか g は2階建てのままである。そこがちょっと残念。4ウェイト。ただいま25%オフセール中。
正統派スコッチローマン。スコッチなのかローマンなのかよく解らないが、1760年頃にスコットランドのプリンター、Alexander Wilson という人がデザインしたローマンをデジタル化したもの。「新しい Baskerville」として位置づけしてるようだが、さほどトランジショナルな感じはせず、どちらかと言えば Caslon のようなオールドスタイル、それも何の奇もてらわない、当たり前を当たり前にした堂々としたローマンである。かなり昔に気に入っていたのを突然思い出したので紹介する。単独購入が可能だが、Monotype サブスクリプションにも入ってる。
柔らかいエレガントな印象のあるトランジショナルローマン。大文字は堂々としているが、x-ハイトが小さめで字間が広く、雰囲気がとても優しい。リガチャーを非常に多く持っており、本文はもちろんディスプレイとしてもおもしろい文字組みができるだろう。イタリックもカリグラフィー風味が強めでエレガント。x-ハイトを大きく可読性を良くした Mrs Eaves XL というバージョンもあるが、そっちはなんか普通でつまらない(笑)。
名前は18世紀英国のプリンターで、トランジショナルローマンの代表的書体に名が残っている John Baskerville の妻・Sarah Eaves から取ったもの。Sarah は元々メイドだったらしく、John の前妻が亡くなり後添えとなった模様。Sarah がこの書体をデザインした訳ではないが、作者の Licko は Baskerville の女性版、というような位置づけでデザインしたらしい。でも妻なら Mrs Baskerville なんじゃないのとは思うが、無粋なツッコミだろう(笑)。ちなみに Mr や Mrs にピリオドを付けないのは英国風の組み方。この方がよりエレガントかな。
デコラティブなスクリプトイニシャル。18世紀フランスの有名なプリンター、Pierre Simon Fournier が Deberny et Peignot のためにデザインした書体をデジタル化したもの。スクリプトを基調にロココ調の装飾を施した書体で、元は大文字だけだったものを、デジタル化にあたりイタリックのスモールキャップスを付け足したらしい。そのおかげで、この書体だけで短文なら組めるようになっている。
182年前の本日、1834年3月24日はウィリアム・モリスの誕生日。という事でモリスデザインの書体を紹介。俗に Troy Type とか Chaucer Type とか呼ばれる書体をデジタル化したものである(モリスについては以前に紹介した ITC Golden Type の記事を参照 )。ゴシックを元にもうちょいローマンに寄せたデザインで、荘厳さと読みやすさを追求したものと思われる。本文用の他、イニシャルが2種類とオーナメント類がファミリーにある。下の写真は筆者の手元にある、世界三大美書のひとつに数えられる、ケルムスコット・プレスの『チョーサー著作集』…が掲載された本の写真である(本物は非常に高価なので持ってるワケがない・笑)。この本には1ページだけだが凸版で印刷されたページがほぼ原寸(と思われるサイズ)で掲載されており、その凄さがビシビシ伝わってくる。やっぱスゴイなと思う。