かっちり目な骨格のフレアセリフ。厳格な雰囲気があり、何となく「高級官僚」という感じがする(個人的な感想)。非常に読みやすい書体で、この辺りはフランスの有名新聞 Le Monde の書体をデザインしたこともある作者の面目躍如というところ。この書体は、1990年にモリサワの書体コンテストで入賞したそうである。5ウェイトあり、Black にはインラインタイプもある。ところでフレアセリフって、セリフかサンセリフかどっちに分類したらいいのだろう。
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いい感じに古臭いディスプレイ。名前の通り、ロンドンのベイカーストリートにあるパブの看板などにインスパイアされたとある。コンデンスでコントラストの強いローマンで、全体的にちょっと野暮ったい。Windsor などとテイストが似ており、この辺が1900年前後頃の英国スタイルなのだろう。スワッシュの付いたオルタネートやリガチャーが豊富にあり、スタイルはサンプルにあるアップライトと傾いた Oblique、いわゆる袋文字の Inline、アウトラインがラフな Rough がある。あと良く似合うフレームのようなオーナメントが多数。扱いが簡単なようで結構差が出る書体だと思う。腕に自身のある方はどうぞ。
Garamond のオリジナルをなるべく忠実に再現した Garamond。16世紀当時の印刷状態から再現されており、そのためフチがラフになっている。とはいえまったくそのまんまという訳でもなく、一応書体として整えられている。字種も拡張され、汎ヨーロッパはカバーしている模様。また c や m などにターミナルレターがオルタネートで付属しており、イタリックにはスワッシュつきの大文字もあり。小さいとラフな感じもそんなに目立たず、案外本文いけるんじゃないかなーと思う。版元の Archive Type は、名の通りこういったコンセプトの書体を得意としているらしく、他にも多数発表している。
カッパープレート風味があるブラックレター。見ての通りステムが塗りつぶされておらずシェーディング処理されており、ブラックレター特有の重たさが軽減されている。社交用のカッパープレートにこういうタイプが多いので、その辺の用途にうまくすれば使えるかなという感じ。酒のラベルなどにもいいだろう。元は Rudolf Koch が1919年頃に制作したものらしい。この RMU というフォントレベールはこういった古い書体のリバイバルを得意としており、他にも多数名作を復刻している。筆者お気に入りのレーベル。ただ活字タイプのロゴがちょっと…(笑)。
あんまり上手じゃないスクリプト(笑)だが、サンプルイメージがすごい気になったので紹介する。いや紋章。ね。これおかしすぎる。エスカッシャン(盾)のボーデュア(縁取り)はともかく、なぜにクラウン(冠)とサポーター(クラウン左右のライオン)とスクロール(帯)がエスカッシャンの中に、っていうね。これ本来は全部エスカッシャンの外に出さねばならない。クラウンは上、サポーターは左右で盾を持たせ、スクロールは盾の下に置いてくれ。頼むよおい。
…ふぅ。気が済んだので書体の紹介。優雅さに欠けるが力強い書体。Honor が飾り気のない普通のスクリプトで、Quest は大文字がデコラティブ、Dominion は小文字にもスワッシュなどを付けたバージョン。これ全部 OpenType でまとめればひとつで済むのに、とか思う。なんかケチばっかりつけちゃった(笑)。
クラシカルなヴェネチアンローマン。ヴェネチアなのかローマなのかはっきりせいって感じだが、まぁそこは置いといて。ヴェネチアンの特徴はというと、e の斜めのバー、低いx-ハイトに低いコントラスト、ステムと同じぐらいの太さのセリフ、などなどだろうか。数少ないこのブログの読者はご存知だろうが、この辺のクラシカルなタイプは筆者の大好物である。オプティカルな(視覚的に調整された)書体で、キャプション用の Caption、本文用の Text、小見出し用の Headline、大見出し用の Display と4種類あり、サンプルイメージで見られるようにそれぞれに若干ウェイトが違い、Caption が一番太く Display が一番軽い。字間も Caption が広めに取られてるだろうか。Text だけ Bold ウェイトがある。
今年も天皇誕生日という事で皇帝トラヤヌスにちなんだ(?)書体を(この日じゃなくてもこのテの書体はよく紹介してるとかは言わないように)。作者も製作年もよく判ってない碑文系ローマン。セリフがかなり控えめで、一見フレアセリフに見えるほど。ただ骨格は碑文を踏襲しながらも、E の下のバーがぐっと張り出していたり、M や N の左肩が伸びていたり、S の腰がだいぶ上の方にあったりといろいろ独特な字形をしており、大変筆者好みのカッコイイ書体である。A にだけ左のステムがちょろっと伸びたスワッシュのオルタネートがある。例によって小文字はなくスモールキャップス。2ウェイト。
フレンチ風味のカッパープレートスクリプト。17世紀フランスの彫工、Claude Duflos という人の筆致(?)を書体化したものだそう。説明によれば、この人のこの辺りの書体が後に英国でカッパープレートになったとある。つまり元祖という事になる…のか? そのせいなのか、現在の様式化されたカッパープレートとは違い、そういう形になりきっておらず、イタリックとの中間のような字形になっている。優雅さはありつつ、キメ過ぎてないカジュアルさが持ち味。T がフランス独特の字形になっているのが特徴。Std 版と Pro 版があり。1ウェイト。
ほんの少しだけ手書きのニュアンスが残る、クラシックなオールドスタイルローマン。拡大してよ~く見ると判るが、ステムの中心部がくびれており、伸びやかな印象がある。セリフは太めで、こちらも真っ直ぐではなく弧を描いている。イタリックもだいぶカリグラフィ寄り。このテのデザインは活版印刷初期の頃によく見られたが、プロポーションは現代的で、なんだか古いようで新しい不思議な感じのする書体。非常に筆者好みである。出た当初はあちこちで賞を受賞した模様。5ウェイト。
本日J-Waveが007特集で、それ関連の重た~い音楽ばっかり流れてるので、それに似合う(と個人的に思う)書体を紹介。有名定番本文用書体・Caslon のディスプレイ特化版。コントラストが強く、雰囲気的にはモダンローマンに近い。どっしりとしていながらラグジュアリー感もあり、真っ黒で使うとタキシードでキメた英国紳士のような雰囲気がある(強引か?)。Mac にも標準搭載されてるが Medium ウェイトしかなく、こちらの版では3ウェイトあり、イタリックまである。…実を言うと筆者は007を一本も観たことがない(笑)。わははは。