このブログを始めて3年になるが、まだ紹介してなかったタイプのスクリプトを紹介する。フレンチ風味のアップライトスクリプト。「ロンド Ronde (=輪舞曲)」と呼ばれるタイプで、20世紀初頭にアメリカでデザインされたもの。元は Typo Upright という名前だったらしいが、Linotype に版権が移った時に Linoscript と改名されたようで、なので「ライノスクリプト」と読むらしい。非常に有名で好きな書体だが、あんまりこのタイプは需要がないのか、他にはあまり見当たらない。古い書体でウェイトバリエーションもオルタネートもなく淋しいので、今あえてこれを拡張してみてもいいんじゃないかな~。と思ったりもする。売れないか…。
Category: Script
ややグラフィティ風味のある男性的でダイナミックなブラッシュスクリプト。傾きはやや弱く、コネクション部分は文字本体のストロークよりだいぶ細くなっている。字形そのものはクリアで可読性は良いのだが、その分ちょっとカッコよさというのは減ってる気がする。グリフは998もあり、バリエーション豊かな文字組みが可能。
本日は成人の日。毎年アホンダラが全国に出没するが、その最たるものが我が沖縄という悲しい現実。これ毎年恥ずかしくてねぇ…そうじゃない成人諸君、クールにね。とりあえずおめでとう。
新年一発目、本日1月3日は『指輪物語 The Lord of the Rings』の作者、J・R・R・トールキンの誕生日という事でそれ関連の書体を。トールキンの考えた文字、テングワール Tengwar っぽいニュアンスをラテン・アルファベットに持たせた書体である。トールキンは幼少時より言葉や文字を創造するという極めて特殊な趣味を持っており、長じては言語学者となっているが、考えたいくつかの言語と文字の内、実用レベルまで持っていったのがエルフ語(クウェンヤ・シンダール)とテングワールで、実際に会話ができ、文章が組めるようになっている。
この文字と言語の使い手としてトールキンが選んだのが、北欧神話に登場する妖精エルフで、彼はその物語を書いていった。物語は世界創生から始まっており、その量は膨大で、大まかに第一紀、第二紀、第三紀と分かれており、『ホビットの冒険』や『指輪物語』などは第三紀末期のほんの短いエピソードでしかない。それを経て、古代エジプト文明等を含めて今いる我々の時代が第四紀という事になっている。ちなみに『ホビットの冒険』と『指輪物語』は、主人公のビルボやフロドたちが西方語で書いた本、通称「西境の赤表紙本 The Red Book of Westmarch」の写本のひとつをトールキンが入手し、それを現代英語に翻訳した、という体(てい)で描かれている。第一紀と第二紀の主なエピソードは、トールキンの息子クリストファーが『シルマリルの物語』という本に短くまとめている(それでも長いけど)。興味があれば読んでもらいたい。そのバックグラウンドの奥深さに驚嘆するだろう(エルロンドやガラドリエルはその時代から生きている)。『ハリー・ポッター』なんてホント薄っぺらにしか感じない(好きな人ごめんなさい)。筆者は20年来のトールキニアンだが、年末に『ホビット』3作がテレビでやってるのを観て、またトールキン熱に火が付いた。読み返そうかなぁ。
本日は岡倉天心の誕生日。天心といえば『The Book of Tea』(茶の本)、という事でこの書体を紹介。日本茶ちゃうやんというツッコミはさておき。堅苦しさのまったくない、筆でひょひょいと書いたような柔らかくラフなブラッシュスクリプト。コネクションはほとんど取れておらず、字形にちょっとしたオルタネートはありはするもののスワッシュが付いたものはなく、オーナメントも全然なくて全体的にややおとなしめ。リガチャーはまぁそこそこある。気軽に使えるスクリプトじゃなかろうか。1ウェイトのみ。
ブラッシュスクリプトに近いニュアンスを持ったブロードペンスクリプト。コントラストが強いのでモダンローマンのようなラグジュアリー感がある。x-ハイトは大きめで可読性は良好。やはりスワッシュオルタネートやリガチャーが多数あって、Pro バージョンは1200ほどのグリフを持っている。ほか Regular、Simple および Curly というバージョンがあるが、これらはアクセント記号を多用する言語向けに、スワッシュなどが干渉しないよう考慮されたものだとの事。通常は Pro ひとつ買えば済む。1ウェイト。
カジュアルなモノラインペンスクリプト。能書家ではない普通の人が普通に書いたようなスクリプトだが、ちゃんとベースラインに沿うようになっていたり、x-ハイトや字間が統一されていたりと、結構整理されてはいる。まぁそうでないとフォントとしては使いづらいが…。全体的な雰囲気としては丸っこく、若い女性が書いたようなニュアンスがあってかわいらしい。「買い物リストのような個人的かつ一時的なメモに使うような字」という意味でこういう名前が付いているらしい。1ウェイトしかないが、$15 と非常にお買い得。実際売れている模様。
かなり変わったカッパープレート(ブラッシュ?)スクリプト。大文字はかなりデコラティブで独特の字形をしており、D や M などはちょっと判読しづらくなっている。小文字はおおむね丸っこく、コネクションがない。10年ほど前の書体でオルタネートやオーナメントはまったくないが、代わりにキリル文字がサポートされている。なかなか独特でおもしろい書体。1ウェイト。
クリスマスも近いという事で、「リース」(レンタルの意味ではない)の名を持つ書体を紹介。優しい雰囲気を持つアップライトのブラッシュスクリプトで、スワッシュオルタネートはあんまりないが、塗りつぶし(フィル)のバリエーションが5つあり、ノーマル以外は何かしらかすれている。ウェイトの数はフィル毎に違い、それぞれ3~5つほど。オーナメントにはリースの他、雪の結晶やクリスマスっぽいものがいくつか。ただいま80%オフセール中。
クリスマス限定のスクリプト集。通常のフォントではなく、すでにクリスマス向けの文章が組まれた状態のグリフが収録されたものである。カリグラフィーで使用するブロードペンやポインテッドペン、筆ペンなどで書いた、英語・フランス語・スペイン語・イタリア語のメッセージを55種と、クリスマスにふさわしいオーナメント類が10種入っている。これを使えば面倒なスクリプトの組版をせずとも、あっという間に素敵なクリスマスカードが出来上がる。日本円で3,000円程度なので、購入してみてはいかが。ただいま10%オフセール中。ちなみに X’mas とアポストロフィを付けて綴るのは間違いなので、自作する際はお気をつけを。
本日は「いい夫婦の日」だそうだがだからどうしたコンチクショウ。という個人的な感情により、まったく無関係な書体を紹介する。筆の「かすれ」まで再現されたブラッシュスクリプト。ラフなスクリプトはいくらでもあるが、ストローク途中のかすれまで表現しているスクリプトはあまりない。フォントを作ったことがある人は判ると思うが、これらはすべてベジェ曲線で表現せねばならないので、オートトレースでも使用しない限り、非常にめんどくさい作業になる。使用したとしても、データを軽くするために線を整理する必要があるだろう。いずれにせよめんどくさい(笑)。ちゃんとそれをする人には頭が下がる。字形はさほどラフでもなく、丁寧に書かれているのが判る。スワッシュオルタネートはほとんどないが、その代わりリガチャーがかなりの数がある。Doodles という簡単なイラストアイコンも付属。1ウェイト。ただいま54%オフセール中。