本日はドイツにかつてあったウルム造形大学(Hochschule für Gestaltung Ulm: 1953–68)の創設者のひとり、オトル・アイヒャー Otl Aicher の誕生日(1922)。というわけで氏のデザインした書体を紹介。ややコンデンスで読みやすいヒューマニスト。アイヒャーはこの Rotis を4タイプ制作した。普通の Sans Serif と Serif、そしてその2書体の間に、サンセリフよりストロークにコントラストが付いた Semi Sans と、それに一部だけセリフを付けたこの Semi Serif である。つまりサンセリフから段階を踏んでセリフへと移行するようなデザインをしたわけである。こういう試みはそれまであまりなかったものなので、この書体は結構有名である。中でもこの Semi Serif は、Rotis の特徴を一番強く持った書体と言えるだろう。ちなみにウィキペディアのオトル・アイヒャーの項目、誕生日が3月になってる…誰か直して。Mai は5月よ。
Archive: May 2021
本日はかのナイチンゲール Florence Nightingale の誕生日(1820)にちなんで『国際看護師の日』だそう。なのでこちら。最近では珍しい、クラシカルで美しくエレガントなカッパープレートスクリプト。全体的にコンデンスでxハイトが大きく、あまり見ないタイプである。ご多分に漏れずスワッシュオルタネートがあるが、全体的なグリフ数は600ほどとそこまで多くはない。代わりに1,000円程度と非常に安いので使いやすいのではないだろうか。ちなみに本来ナイチンゲールとは鳥の名前で、日本名はサヨナキドリ(小夜啼鳥)という。西洋のウグイスと呼ばれるほどキレイな鳴き声で鳴くらしい。
奇抜ながらエレガントさを保っているローマンディスプレイ。基本はコンデンスなモダンローマンで、見ての通りかなりクセの強いグリフになっている。大文字のみで、小文字部分にも大文字のグリフが入っているが、こちらにはややおとなしめなスタンダードなグリフが入っている。あまり奇抜なグリフだけで組むと見苦しくなってしまうので、小文字部分で緩和しつつ組むといいだろう。1ウェイト。
本日『コットンの日』らしいのでこちら。かわいらしいライトウェイトのサンセリフディスプレイ。こういうのもジオメトリックというのだろうか、幾何学的なエレメントを持った書体で、アセンダーとディセンダーが長く大文字と小文字にサイズ差がある。グリフはゆったりとしていてかわいらしい。大文字にはリガチャーが多く用意されていて、面白い文字組が楽しめる(小文字はちょっとだけ)。1ウェイト。
ちょっと硬い印象のある現代的な本文用トランジショナルローマン。字幅がやや揃い気味でカチッとしており、xハイトが大きく可読性が良好。Times Roman 的というかオランダ風味というか、そういう感じのする書体なのだが、作者はチリの人らしい。MyFonts にはこれひとつしか作品がなく、どうもこれがデビューのようである。かなりいい作り手がまたひとり出てきたなという感じがする。K, Q, R, X, Z にほん~のりちょびっとだけ右下に伸びるスワッシュとも呼べない小さなスワッシュの付いたオルタネートがある。6ウェイト。
本日はフランスの作家ガストン・ルルー Gaston Leroux の誕生日(1868)。代表作『オペラ座の怪人 Le Fantôme de L’Opéra』にちなんでこちらの書体を。コンデンスなモダンローマンとモダンスクリプトのデュオ。ローマンの方は陸上トラック型の楕円がベースになっており、全体的に縦に細長く、一部の小文字にはスワッシュオルタネートが付いている。スクリプトの方はまあよくあるモダンスクリプトで、やや傾きがありバウンシーで緩やかなタイプ。全体的に品があって女性的なので、コスメなどの用途にどうぞ。