オランダ風味のあるローマン。オランダ風味って何よ、っていうと、筆者自身が思う特徴として、コントラストが強めでトランジショナルに近く、各字幅にあまり差がなく一定でカウンターも大きめ、という感じである。この書体は加えてステムに抑揚があり、よくよく見るとセリフに近づくにつれややステムが広がっている。あとボウルにちょっと尖った部分があるのも特徴的。1947年に発表された結構古い書体で、当初はもちろん活字であり、De Roos という名前だった。実は筆者の名刺を嘉瑞工房さんで刷っていただいた際、欧文の小さいヤツにはこれを選択した。セリフが楔を打ちこんだようにギッとなっており、結構気に入っている。このデジタル版は3ウェイトあり、インラインタイプの Initials もある。
Category: Serif
非常に美しい正統派オールドスタイルローマン。小文字が大きめで現代風だが、シルエットは古風で手書きの風味も若干残っており、とにかくキレイ。R や Q にはテールの長いオルタネートがあり、タイトル組で重宝するだろう。名前はカリグラフィーから来てるのかと思いきや、ゲール語で「岩」の意味だそうである。元はアイルランドのケリー州湖畔にあるホテルのブランディングのために作った書体らしい。そのホテルのステーショナリー類もこれで組まれてるそうな。この書体の似合う湖畔のホテルとか、さぞや居心地の良い美しいホテルだろうと想像させる。いつか行ってみたい。ノーマルウェイトの Text と Bold、見出し用の Display があり、Text と Display にはイタリックもあり。セットで買っても$50と大変お安い。
※2017.6 追記:字種とファミリーが追加された Carrig Pro が発表された。
カリグラフィーペンでむりくり(笑)書いたようなローマン。一見普通のローマンに見えるが、よくよく見ると輪郭がうにうにしており、ラフにレタリングしたような形をしている。骨格は割とスタンダード。作者の Jim Rimmer が初めて制作した書体らしい。1ウェイトでイタリックもないのだが、名前の通りトーテムポールのオーナメントが付属していて、1~3段でバラバラになっており、好きなように縦に積んで組めるようになっている。字種は Pro 仕様。
ややカクカクした印象のセミセリフ。いやセミサンズか? まぁいいやどっちでも。とにかく中途半端にセリフが付いた書体である。セリフは太く、ほとんどスラブセリフとさえ思えるほど。字形もなんとなくコリッとしているが、カウンターは広めで読みやすい。字種も多くリガチャーや数字の種類も豊富で本文用として文句…はある。なんと、残念ながらイタリックがない。できれば追加して欲しいな。6ウェイト。
やや硬いイメージの本文用ローマン。これもモダンローマンというのかな…? ステムにほとんど抑揚がなく、ブラケットも直線的でセリフは鋭い。1文字1文字見ると無骨な感じがするが、文を組んでみると不思議とその感じが和らぐ。a や c、r などに見られるドットがそう見せてるのかもしれない。カウンターは広めで読みやすい。スモールキャップスもあり。文学以外の長文に向くかな。プロモーションサイトがあって、その日その日の過去の出来事をこの書体で組んで見せている。名前はイタリア北部にある山脈から。8ウェイト。
正統派オールドスタイルローマン。のディスプレイファミリー。元は Pona という本文用ローマンで、全体的な特徴としてはややコンデンスかなという感じ。この Display はウェイトが全体的に軽く、コントラストも強めになっている。Pona にはない Thin というウェイトを含め6ウェイトあるが、Book というウェイトがある。ディスプレイのファミリーなのにブック…? ナゾである。本文用らしく、アクセント記号やスモールキャップス、各種数字が豊富に揃っている。
カリグラフィーペンで手書きで書いたようなローマン。…て言っていいのか分からないけど、ともかく字形はローマン。全体的に手書きのブレが残っており、ディスプレイかと思いきや字種はスモールキャップスやアクセントがかなり豊富で、本気の本文用仕様である。ノーマルと Display の2種があり、それぞれに5ウェイトある。イタリックにはカリグラフィーらしく、ちょっとしたスワッシュもあり。
カッパープレート風味を持つディスプレイローマン。Mac には標準で搭載されている Copperplate Gothic と同系統の書体である。Aviano を紹介する時も書いたが、カッパープレートにはこういった書体もある。名刺や招待状など、かしこまった用途に小さく使うとカッコいいが、最近は URL やメールアドレスなど、小文字が必須なケースがあり、スモールキャップスしかない書体ではどうしようか苦労する(笑)。まぁ似合う別の書体で組めばいいんだけど、なかなかね…誰かいい組み合わせ教えてくれ。名前はヨーロッパに広く伝わる伝説上の幻獣の事で、見ての通り上半身はワシ、下半身はライオンというもの。勇ましい姿が人気で、紋章のチャージやサポーターなどによく登場する。ちなみに書体の作者は名古屋在住の日本人。5ウェイト。
ローマンと言っていいのかスクリプトと呼ぶべきか迷う書体。大文字だけ見ればローマンのイタリック、小文字だけ見ればカリグラフィックイタリックという感じで、双方のコンバイン的な、なかなかおもしろい書体である。残念ながらスワッシュオルタネートやオーナメント類はなく、「ヴァチカン」の名の通り、いたって生真面目。サンプルイメージは聖ペテロの3つの鍵の話で、これはイエスから渡されたものだそう。ちなみに聖職者の紋章はチャージ(盾の中の図柄)に鍵を用いたものが多い。多分これに倣ってるのだろう。3ウェイト。
全体的にカウンターが広く、クセの強いディスプレイローマン。セリフはキュルッと回って水滴状になっている。8ウェイトあり、細いウェイトではそうでもないが(当たり前だけど)、ウェイトが重くなるにつれコントラストは急激に強くなる。ディセンダーが短く、g は下のループが閉じてないのが大きな特徴。イタリックがオブリークなのが残念。ちゃんとイタリックして欲しかった。骨格は割としっかりしている。ハイファッション誌などに Didot とかの代わりに使えるかな。