本日J-Waveが007特集で、それ関連の重た~い音楽ばっかり流れてるので、それに似合う(と個人的に思う)書体を紹介。有名定番本文用書体・Caslon のディスプレイ特化版。コントラストが強く、雰囲気的にはモダンローマンに近い。どっしりとしていながらラグジュアリー感もあり、真っ黒で使うとタキシードでキメた英国紳士のような雰囲気がある(強引か?)。Mac にも標準搭載されてるが Medium ウェイトしかなく、こちらの版では3ウェイトあり、イタリックまである。…実を言うと筆者は007を一本も観たことがない(笑)。わははは。
※2025年現在 Adobe Fonts でも利用可能
Category: Serif
ボテッとした大きめのセリフが付いたローマン。本文用で字種が非常に豊富。イタリックはボウルとステムが離れ気味で、カリグラフィックな要素が強い。AタイプとBタイプがあり、サンプルにあるようにBの方がほんのちょびっとだけアセンダーやディセンダーが小さい。それぞれに Small, Text, Title, Display と4種類あり、Small が一番コントラストが弱めで小さいサイズに向いており、Display が一番コントラストが強くて大きなサイズに向いている。またそれぞれに4ウェイトずつあり、計64種の大ファミリーとなっている。でもAとB分ける必要…まぁいいか。
カッパープレート風味のあるローマン。アメリカのグラフィックデザイナー、ハーブ・ルバリンのスタイルに範をとったらしい。幅広で平べったく President などのような雰囲気があるが、こちらはずっとコントラストが強くてトランジショナルスタイルとなっている。x-ハイトはかなり大きいが、その分アセンダーとディセンダーは短い。レギュラーのスタイルが幅広だが、少し幅を縮めた Demi とさらに縮めた Slim があり、Demi が通常の幅に近いと思う。これらに加え小文字もあるので、カッパープレートだけで名刺を組む時に困るメールアドレスや URL なども組みやすくなるだろう。ウェイトはそれぞれ No.1 から No.5 まで5ウェイト。イタリックもあり。さらにモダンローマンタイプの Lust Didone も別にある。ただいま50%オフセール中。
スタンダードな本文用トランジショナルローマン。元は活字で古い書体だが、x-ハイトが大きくアセンダー・ディセンダー共に小さい、という最近の書体に多い特徴を持っている。長い文章を読みやすくするための工夫だろう。イタリックはなんかギリっとした堅く鋭い雰囲気がある。確か当時、ダンテ全集を出版する際に作られたとかなんとかいうのをどこかで読んだ気がするが、ちょっとソースが探せない。間違ってたらスンマセン。6ウェイト。2013年には Dante eText というパソコンのディスプレイでの表示に最適化されたバージョンも発表された。こちらは2ウェイト。
ローマ碑文系ディスプレイ。基本的には Trajan と同系統なのだが、一応セリフには分類しているものの、サンセリフのステムの端が広がったフレアセリフタイプとなっており、また珍しい事に小文字がある。大文字にもリガチャーが豊富で、キリル文字やギリシャ文字もサポートしている。いろいろ拡張されてる分、多少「堂々感」が薄れてるかな…という感じ。1ウェイトのみ。
20世紀初期のアメリカンテイストを持つ本文用ローマン。同時期の代表的な書体・Century の影響が大きいのが見て取れるが、見出し用の Display はセリフが鋭く、細いステムはヘアラインと化しており、かなりモダンローマン寄り。イタリックは手書き風味がよく残っており、全体的に「古き好き」という感じがする書体である。発表当時は TDC を始めあちこちからいろいろ受賞した模様。現在でも MyFonts のトップセール26位にランクインしているという人気の書体。Text は4ウェイト、Display は6ウェイト。
Monotype タイプディレクターの小林章さん制作のモダンローマン。小林さんは制作当時のデジタル版 Didot や Bodoni が、活字とは違いあまりに直線的に処理されてしまっている事が哀しいと述懐しており、この書体は拡大すると判るが、セリフがちょっとしなっていたりステムに微妙な膨らみがあったりして、その辺りが解消されている。最初はヘアラインが繊細なものをデザインされたが、後に本文用に適した Text と、いわゆる袋文字的な Open を制作されている。この書体によく似合うフレームの Border も別にあったが、現在は Text のグリフの中に収まっている。
余談だが、11月に Monotype が日本でイベントを行うとのこと。小林さんを始め、豪華ゲストが登壇する模様。詳細は Type& にて。
※どうでもいいけどサンプルイメージ、Acanthus のスペルが…
最近購入した A Guy’s Guide to Shoes という靴の本の本文がこの書体で美しかったので紹介する。Goudy らしいちょっと変わったオールドスタイルローマン。元はカリフォルニア大学バークレー校(UCB)のためにデザインされた California Old Style という書体だそうで、それを1983年にリファインしたものらしい。欧米ではこのように大学で書体を制作することがあるようで、最近では Matthew Carter さんがデザインしたイェール大学の Yale がある。Yale は残念ながらイェール大学関係者しか使えないようだが、この Berkeley は一般販売されている。大きく使って品が良く、小さく使って読みやすい。この書体の存在はもちろん知っていたが、こんなにいいものだとは思わなかった。長く残る書体というのはやはりそれなりの良さがあるなぁと思った次第。ちなみにアメリカ最高の巨匠と言われる Goudy が書体制作を始めたのは、40歳を過ぎてからだそうである。人間いくつになってからでも挑戦できるね。
繊細で可愛らしいディスプレイローマン。細身で柔らかく、そのシルエットはスクリプト風味を多分に含んでおり、派手なスワッシュやフローリッシュがついたオルタネートも多数ある。リガチャーやキャッチワードも多め。ウェイト自体が軽く x-ハイトも小さいので、やはり少し大きめに使う方がいいだろう。だが、あまり大きすぎると品を失うので、その辺のさじ加減が微妙である。アップライトと少し傾いた Slanted と2種。
非常に美しい堂々とした碑文系ローマンディスプレイ。拡大してよく見ると判るが平筆で書かれたたような形をしており、シルエットはローマンキャピタルだがカリグラフィーのニュアンスが多分にある。ウェイトは重めでコントラストも強い。通常このタイプは普通は小文字がないが、これにはある。またスワッシュの付いたオルタネートもあり、リガチャーも多数ある。大変高級感があり、ラグジュアリーブランドなどでは重宝するだろう。ただいま35%オフセール中。