手書きと活字のハーフのような変わったスクリプト。英国の Satwinder Sehmi というカリグラファー(パキスタン系かな)の書いた文字をフォント化したものだそうだが、確かにカリグラフィーのようではあるものの、普通のセリフ書体のイタリックのようでもあるというなかなか変わり種のスクリプトである。これをペンで書くにはなかなかコントロールが難しい事が想像される。ちょっと筆者は自信がない。やや硬めで男性的なニュアンスが強いだろうか。オルタネートはなく、リガチャーもちょろっと。1ウェイト。
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フェミニンで優雅なサンセリフディスプレイ。基本はコントラストのあるサンセリフで、ステムの端が一部フレアになっているのが特徴。骨格は全体的に腰高、あるいは頭でっかちでアンバランスだが、それがとても柔らかでかわいらしい。字間はデフォルトではちょっと詰まり気味で、やはり大きく使う事を想定してると思われる。必要に応じて空けて組んだ方がいいだろう。女性向けだが、高級品よりはちょっとカジュアルなものに向いてるだろうか。1ウェイト。
クラシックなゴシックローマン。見ての通りゴシック(ブラックレター)とローマンのハイブリッドのような書体で、15世紀に活版印刷が実用化された頃はこういう書体がぽつぽつあった。現代では新たにデザインされることはほぼなく、だいたいリバイバルになる。これもその類。筆者はこういうクラシカルな書体は大好物だが、使える場面が限られる所がちょっと悲しくはある。18世紀頃に流行ったオーナメントも多数付属。1ウェイト。
ちょっと風変わりでエレガントなディスプレイ。骨格はジオメトリックでコントラストが強く、細いストロークはほぼヘアラインとなっている。セリフも控えめな小さなのがちょこんと付いている。一部ステムの端が半円形になっているのが変わってるだろうか。あちこちにティアドロップが付いてるのがアクセントになっている。作例は男性向けが多いが、女性向けにも良いと思う。コスメや高級ファッションなどに。1ウェイト。
エレガントなカッパープレート。クラシックな正統派に近いタイプで、印象は柔らかめで女性的。800近いグリフがあり、見ての通りスワッシュオルタネートが豊富にある。まぁこのテの書体はたくさんあるが、なんと言っても値段が安い(2000円弱)なのにただいま50%オフで1000円しないという大盤振る舞い。いまの時期に大変重宝すると思うので入手しておいて損はない。作者はインドネシア人。最近東南アジアやオセアニアの台頭がすごいねぇ…ラテンアルファベット圏なので親しみやすいのだろう。
コンデンスで優雅なローマンディスプレイ。主役はオルタネートで1文字につき数種あり、おとなしめのちょっとしたものから、ループのある派手なものまでいくつかバリエーションがあり、組み方によって使い分けることができるようになっている。最近 Loverica という似たような書体を紹介したが、こちらの方がやや太めでがっしりしているだろうか。優雅さにはやや欠けるが、その分小さくしてもすっ飛んだりしないので用途によって選ぶと良いだろう。サンプルには大文字しかないが小文字もちゃんとあるのでご安心を。$15程度とかなり安いのもオススメできるポイント。1ウェイト。
「おもしろい」書体を見つけたので紹介する。サインペンでひょひょっと書いたようなハンドライティング。おもしろいのがこんな感じでありながらモノスペースになっており、一応大文字と小文字とではサイズが違うが、仮想ボディは同じに揃えているようである。Regular のほか、アウトラインがラフな Rough、さらにラフな Rougher、カクカクと角張った Pointed の4種のスタイルがある。字種はローマ数字やギリシャ文字、キリル文字のほか、なんとひらがなとカタカナもサポートしている。作者はニューヨーク在住のようだが、Thoma は当麻か當間だったりするのかな…。いやー、おもしろい。
昨日届いたスパムの中にトロイの木馬が検出されたことを記念して(?)こちらを紹介。碑文系のローマンディスプレイ。やや硬い印象のいい意味で古めかしい堂々としたローマンで、いくつかオルタネートがあり、O のインターポイントや折れ曲がった A のバーなどが往時の雰囲気を醸し出していて筆者の大好物である。Q/V/W にはちょっとしたスワッシュあり。E のバーが2本あるオルタネートが変わってる。あとリガチャーがちょっと。サンセリフ版の Troy Sans も発表されている。小文字はなくスモールキャップス。1ウェイト。ちなみにトロイの木馬はちゃんと削除されましたので、このページを見ても特に害はないという事を伝えておく(笑)。
スイススタイルのタイポグラフィを世に広めた名著。本書は1967年にドイツ語・英語・フランス語併記で出版され、以来ずっと金字塔的な扱いをされている本である。それが出版から半世紀の時を経て、やっと和訳された。筆者は原書を持っているが、英語に不慣れで当然ながらちっとも読んでない(笑)ので、何がどう名著なのかはよく知らない。ちなみに原書は紙の取り都合のせいかどうか知らないが、一時期長方形で出版されていた時期もあった。今は出版当初の通り正方形になっており、日本語版もそうなっていて嬉しい(なんのこっちゃ)。なかなか値の張る本だが、タイポグラファを志すなら一読しておいた方がいいと思う。
ちなみに監修者のヘルムート・シュミット Helmut Schmid さんはポカリスエットなどのロゴをデザインした日本在住のデザイナーであったが、この本の完成を待たずに昨年急逝された。ご冥福をお祈りいたします。
2012年に出版された The Anatomy of Type: A Graphic Guide to 100 Typefaces の日本語版。著者が選んだ主要な100書体について15のカテゴリーに分類し、詳細に図解した本である。書体の中から特徴的な文字をピックアップして超拡大し、そのポイントポイントを解説している。男の子は昔懐かしい「かいじゅうずかん」などを思い浮かべていだければいいだろう。書体の由来や効果的な使い方、似ている書体などなども。初心者にはもちろん、日頃使い慣れている人も、今一度見直してみると新たな発見があるだろう。オススメ。