細身で優雅なブラックレター。バスタルダ(bastarda。フランスではバタルドゥ batarde)というスタイルのブラックレターで、通常のブラックレターよりも柔らかい曲線が多いのが特徴。この書体ではウェイトも軽く、パッと見「イタリック?」かと思うほど上品な優雅さも持ち合わせていて、筆者の好きな書体。派手なオルタネートなどはないが DFR (Deutsche Fraktur) に対応しており、「長い s」やドイツ語独特の ch リガチャーなどが入っている。作者の Gottfried Pott はカリグラファーとしても有名で、Kalligrafische Sinfonien (Calligraphic Symphonies) という作品集も出版している。
Home: page 230
珍しいタイプのスクリプトディスプレイ。ノーマルではカリグラフィーペンで書いたようなローマンなのだが、大文字のオルタネートにロンバルティック・キャピタルを持っている。ロンバルティック・キャピタル(Lombardic Capitals)というのは、サンプルイメージにある「MAJUSCULE」の M, J, S, U, E のスタイルの書体のことで、装飾写本の時代には段落頭にドロップキャップとして使っていたものである。周囲や文字内部にゴテゴテの装飾が施されるのが普通で、文字部分のみでシンプルに使われるようになるのはだいぶ時代が下ってから。ゴシック(ブラックレター)と組み合わせて使われる事が多かった。ちなみに「ロンバルディアの」という名前がついてはいるが、イタリアのロンバルディア地方とは特に関係ないらしい。なのになぜこういう名前が付いているかは不明。
品がある中にも可愛らしさも共存してるスクリプト。ウェイトは軽めでコントラストも弱く、傾きもそんなに大きくはない。雰囲気的に上品すぎず、清楚なお嬢さんという感じ。字形以外にはフォント的な特徴はもういちいち説明するのもめんどくさいが(笑)、一応言っておくとスワッシュとリガチャーのオルタネートがいっぱいあります。はい。元々は同名の Digatte というモノラインスクリプトを羽ペン(quill)で書いた風にしたバージョンらしい。1ウェイトのみ。
ブラックレター風味を強く持つおもしろいディスプレイ。Rudolf Koch の Neuland に似てると言えば似てなくもない。違いは小文字がある、ウェイトが軽い、というところだろうか。バキバキにあちこち折れ曲がっていて、木板の端材で文字をむりくり作った看板、的なイメージがある。子供向けの絵本とかでしか使えないかな―と思ったが、販売サイトでサンプルを見るとなかなかカッコイイ使用例がある。興味のある方はドウゾ。3ウェイト。
超絶有名なディスプレイサンセリフ。紹介するつもりもなかったがちょうど目に入ったので紹介する(笑)。もう100年以上も前にデザインされた書体だが、このコンデンスでぶっといサンセリフは非常に有名で、黒々としてインパクトも強いため現在でもあちこちでお目にかかる。字幅により No.1, 2, 3 とあり、No.3 が一番字幅が広い。あちこちから販売されているが、今回はサンプルイメージがあった(笑)Elsner+Flake 版を紹介する。
実はこの書体、日本で「サンセリフ」にあたる書体が「ゴシック」と呼ばれるようになってしまった原因とする説がある。「ゴシック(=ブラックレター)の代用品」という名前なのに、それを解らない日本人が勘違いしてこのタイプ(サンセリフ)の書体を「ゴシック」と呼ぶようになってしまった、というのだが、どうもこの書体の登場以前から日本では「ゴシック」という呼び方があったようなので、現在では否定されている模様。興味があったら調べて欲しい。ここではこれぐらいにとどめておく。君子危うきに近寄らず…。
不安定さがちょっと古風なフレアセリフ。x-ハイトが小さく、字形がカチッとしておらず不揃いで、そういう部分が何となくクラシックでおもしろい書体。イタリックは控えめなスワッシュも付いており、なかなかエレガント。Bold ウェイトはステムのコントラストが強くなっている。個人的には2階建ての g があると良かったなぁと思う。サンプルイメージにある Herbert Thannhaeuser はタイプデザイナーではあるようだが、この書体のデザイナーではない模様(なんのこっちゃ)。
かわいらしい女のコっぽいテイストのあるボールポイントスクリプト。ボールポイント(ballpoint)とは日本で言うボールペンの事で、実は筆者がたった今勝手に名付けた分類名である(笑)。最近こういうボールペンで書いたようなスクリプトが人気があるようで、このブログからも購入者が結構いる模様(アフィリエイトごちそうさまです)。全体的にループが大きく丸っこいストロークで、鋭さは皆無と言っていい。スワッシュの付いたオルタネートも豊富。カジュアルな用途に重宝するだろう。$15と値段もかなりお手頃。名前は「先導者」とかそういう意味らしい。…なんで?
非常に美しい堂々とした碑文系ローマンディスプレイ。拡大してよく見ると判るが平筆で書かれたたような形をしており、シルエットはローマンキャピタルだがカリグラフィーのニュアンスが多分にある。ウェイトは重めでコントラストも強い。通常このタイプは普通は小文字がないが、これにはある。またスワッシュの付いたオルタネートもあり、リガチャーも多数ある。大変高級感があり、ラグジュアリーブランドなどでは重宝するだろう。ただいま35%オフセール中。
今日から10月だというのにまだ33度を維持しております沖縄よりお送りいたします。あんまり暑いので涼し気な書体を紹介。
すっきりした印象のヒューマニストサンセリフ。小文字が大きいのはイマドキだが、開口部も大きめで、何というかウェイトとは関係なく組んだ文に重さを感じさせない書体である。r やn のバーの出方や、y のディセンダーなどが特徴的。本文用に設計されており字種が大変豊富。視認性が非常に良く、コンデンス体があればサインとかにも良さそう。7ウェイト。
様々なスタイルのモノグラム集。モノグラム(monogram)とはなんぞや、というと、2つ以上のアルファベットを組み合わせて作る記号の事で、日本のプロ野球チームでは帽子などに「YG」や「HT」と入ってる事があるが、アレの事である。この書体ではいくつかのスタイルで作られたモノグラムを多数収録している。なんなら3つ以上の組み合わせも見られる。こういったモノグラムは19世紀頃に流行ったようで、当時発行されたカタログ3冊の合本である Monograms and Alphabetic Devices なんてのが現在でも入手可能。筆者も所持しているが、見たところこの本からも多数収録されている模様。結婚式の招待状などに、新郎新婦のイニシャルを拾って使ったりすると喜ばれたりするんじゃなかろうか。福山さんご結婚おめでとうございます。あんちゃ~ん。