モダンだけどクラシカル、クラシカルだけどモダンなローマン。カウンターやxハイトが大きく骨格がゆったりした書体だが、セリフが鋭くコントラストが強めで印象はシャープ。a や f の頭や y のディセンダーの先など、通常はセリフが付かない部分にもセリフが付いているのが特徴でおもしろい。説明によると1850年頃にこのジャンルが現れたそうで、フランスでは Latine、ドイツでは Renaissance-Schriften または Etienne-Schriften、英国では Latin または Runic、アメリカでは Celtic などと各国で呼び名が違ったらしい。知らんかった…。イタリックもあって6ウェイトある他、バリアブルタイプもあり。
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本日は古代ローマの詩人で「アエネーイス」の作者、ウェルギリウスの誕生日(B.C. 70)だそうなのでこちら。カリグラフィーのスクウェア・キャピタルをデジタル化した書体である。実はかなりレアで、この書体で書かれたもので現存しているのはウェルギリウスの著書の『ヴァチカン古文書3256』とその写本の2点のみだそうで、まったく流行らずに滅んだようである(笑)。にもかかわらずカリグラフィーの教科書には大体載っているのは、やはりその美しさのせいなのだろう。ただ書いてみれば分かるが結構めんどくさい書体で、流行らなかったのもさもありなんという感じ。現代ではあんま使い道はない。フォントとしてもレアである。
以前紹介したレトロクラシカルな PGF Elyss にサンセリフ版が出た。あちらは3スタイルのミクスドファミリーだったが、こちらはシンプルに1種類のみ。コンデンス幅なのは変わりなく、というか骨格はそのままにサンセリフにした感じ。コリッとして現代的に仕上がっているが、骨格はクラシカルなので新しくも目に優しい雰囲気に仕上がっている。おもしろいリガチャーもいくつか用意されているので、ロゴなどにも力を発揮するだろう。PDF で見本が用意されているので一見の価値あり。7ウェイト。ただいま60%オフセール中。
本日はかなりの数の「◯◯の日」が制定されているが、無視して(笑)こちら。ギリシャ神話の神トート(10.10やんけ)の名を持つ書体である。文字の発明者ということなのでこれほどこのブログにふさわしい神はおるまい。かなり太めのセリフドゴシックといった感じで、レトロかつゲーム風味もあるかなという感じである。グリフは部分的にちょっと変わってるが概ねスタンダード。xハイトが意外と小さいのが珍しい。リガチャーやオルタネートはまったくなし。1ウェイト。
本日は全日本マカロン協会が定めた『マカロンの日』だそうなのでこちら。カジュアルガーリーなハンドライテン。Sans、Script、Display の3種からなり、Sans はただ手で書いた文字(笑)で、Script は多少なりともモダンカリグラフィーのようなテイストがあり、リガチャーもいくつかある。Display は大文字のみで、スワッシュオルタネートがちょこちょこ、といった感じである。全体的にはとてもガーリーでかわいらしい。安いし気軽に使っていただきたい。
ユニークなグリフをしたフレアセリフ。D や E などのベースライン上の直角部分が大きなカーブになっていたり、全体的にちょっとアンバランスでレトロなグリフをしていたりとなかなか特徴的なフレアセリフで、意外なことに15世紀イタリアや18世紀英国の碑文などにインスパイアされたとある。とはいえ仕上がりは現代的で、そういったクラシカルな雰囲気は微塵もない(笑)。均質な雰囲気があるので、デジタルと愛称がいいと思う。イタリックもあって3ウェイト。カッコインテグラ!(古っ)
果たしてふさわしいのかどうかは不明だが、なんかハロウィン向けとして紹介されていたので紹介する。ステムが波打ってる奇妙なディスプレイ。基本はややコンデンス気味のエレガントなサンセリフだが、見ての通り縦のステムがへにょっと波打ってるのが特徴。おかげで C が E、D が B に見える弊害があるが(笑)、まあまあおもしろいんじゃなかろうか。全部が全部波打ってる訳ではなく、可読性がヤバそうなものはそうしていないのが配慮されてる感じがある。おもしろいのが通常とは逆に左に傾いたイタリックがあるところ。アクセントになると思う。
シャープかつちょっとレトロでエレガントなディスプレイ。’70~’80年代に見たようなテイストのコントラストの強いジオメトリック気味のサンセリフで、見ての通りおもしろいリガチャーがある。そのバリエーション数はなんと270もあり、文字単体でもオルタネートがあって、なかなか使いごたえがあるだろう。ラグジュアリーブランドやホテル、バーなどので力を発揮すると思う。大文字のみで1ウェイト。
美しくモダンなカッパープレートスクリプト。モダンカリグラフィー全盛の昨今だが、こちらは一応それに分類されるものの、かなりクラシカル寄りの書体である。カジュアルなものも可愛いけど、やはりこういうスタイルは優雅で美しいなと思う。そろそろこの辺に回顧してもいいのではないだろうか。スワッシュオルタネートもしっかりあり、バリエーションは豊か。ウェディングなどには最適だろう。暑い時期に正装は苦しいので、もうジューンブライドはやめてオクトーバーブライドにしたらいいのにと思う(笑)。1ウェイト。
本格的な本文用オールドスタイルローマン。ヴァナキュラーな風味が薄いニュートラルな雰囲気で、どんなシチュエーションにも対応できる可読性の良い書体である。変わったところがないだけに、あまりに普通で、欧文で長文を組むことの少ない日本人にはあんまり魅力的には見えないと思う(笑)。まあでも Caslon に飽きたらこんなのも使ってみてはいかがだろうか。名前はかつてスペインのカタルーニャ地方にいたオーセタン人?の事らしい。6ウェイト。