本日『初恋の日』らしいのでこちら。直線的なモノラインスクリプト。縦のステムがギュッと真っ直ぐなあまり見ない珍しいタイプのスクリプトで、各ストロークの端も真っ直ぐに裁ち落とされて角ばっている。抑揚はまったくなく、名前とは裏腹に男らしい(笑)。フィルはソリッドなタイプと、筆のかすれを表現したような Lined というタイプがある。各1ウェイトずつ。
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珍しくブラックレターの新作が出たのでご紹介。そんなにゴシックゴシックしておらず、割と読みやすいグリフをしていて、かつアクセント記号もかなりフォローしており実用性が高い。大文字にはロンバルディック・キャピタル Lombardic Capitals を採用しているのがちょっと変わってる。普通のグリフの Regular の他、大文字に植物的な装飾を施した、いわゆるイルミネイテッド・イニシャル Illuminated Initials を持つ Deco というタイプがある。これはドロップキャップとして大きく使う方が効果的だろう。できれば装飾のみのグリフを用意して文字本体と色分けできるようにして欲しかった所。
日本の街なかにある英文のサイン(標識)を正しく見やすいものにしよう、というガイドブック。この本でいう「デザイン」は本来の意味の「設計」に近く、とにかくまずヘンな英語をやめよう(笑)というのにたくさんのページを割いている。まずそこからかよ! というのはなんだか嘆かわしくなるが、とにかくネイティブの人にとって「?」という英語がかなり氾濫している状態はちょっと悲しい。ちゃんとした翻訳者をアサインできない仕事がどれほど多いかという事でもあるだろう。かくいう筆者も、地元のとある中古車販売店のサイトを作る時に困った事がある。そこは米軍関係者を主に相手にしており、そういった方面の手続きを素早くできる事を強みとしていたが、その事をその店では「ミリタリーサービス」と呼んでいた。サイトは全部英文だったが、それをそのまま Military Service(=兵役につく事)と表記したら多分かなりの誤解を生むだろうと思い、何度か元請けに確認をお願いした記憶がある(結局どうなったかは忘れたし、そのサイトももうない)。
話が逸れた。えー、あとはもちろん書体選びや文字組みなどについて述べられている。もう20年近くドイツに住み、世界中を飛び回っているタイプデザイナーが言う事なのだから、これほど確かな情報もないだろう。派手さはなく地味な事ではあるが、こういった「基礎」はちゃんと身につけておいて損はない。欧文書体を「飾り」として使うだけではなく、ネイティブの人が見てちゃんと「伝わる」ようにしたいデザイナーは必携。
本日ピカソの誕生日(1881)なのでこちら。図らずも2日連続モダンスクリプト(笑)。こちら筆ペンでデザインされてるっぽく、結構ダイナミックでコントラストは強め。昨日のと同様ややコンデンス気味。スワッシュオルタネートはないが、リガチャーがかなりの数あって、うまく使いこなせれば手書き感が増すだろう。1ウェイト。
本日『文鳥の日』というワケでこちら。かわいらしいモダンスクリプトのデュオ。アップライトのほぼモノラインの Script と、コネクションのない、文科省のいう所のブロック体の Sans がある。両方ともコンデンス気味で、Script の方にはちょっとしたリガチャーがある以外は字種はスタンダードっぽいので、あまり派手な文字組みはできない。代わりに書体のテイストによくマッチした大量のイラスト画像が各種フォーマットで付属しており、すぐにロゴが作れるようになっている。最近クリスマス用のイラストを多数追加したようだ。これからの季節にいかが?
エレガントでフェミニンなアール・デコ風味のあるサンセリフとスクリプトのデュオ。サンセリフの方はコントラストが強くかなりコンデンスド。このテは通常大文字だけというのが多いが、こちらは小文字どころかスモールキャップスまでフォローしており、さらにはほとんどの字にちょっとしたスワッシュが付いたオルタネートがあるというのが珍しい。スクリプトはモダンタイプに近いカッパープレートで、派手ではないがこちらもスワッシュオルタネートがある。双方ともフィルがソリッドなものとインラインがあり、ほかオーナメントが200個ほど。
可読性の良いジオメトリックサンセリフ。なんだかサンセリフを紹介する時同じようなものばっかりなので気がひけるのだが(笑)、まぁ本文用書体はそういうもんなので見逃して欲しい。これでもちょっとずつ違いはあるんですよ当たり前だけど…。さ、そんな事はさておき。最近の書体としてx-ハイトが小さめで、a と g に2階建てを採用しており、より本文用として意識された設計になっている。レギュラーバージョンの他に Alt というバージョンがあり、こちらはストロークの端の形がほんのちょっぴり違う。例えばレギュラーの A の両足はベースラインで水平に裁ち落とされているが、Alt の A は右足がストローク方向に角度が付いている。この微妙な違いが一体どう視覚に影響するかはよく解らないが(笑)、ともあれそうなっている。ウェイトは10もあって豊富。
ダイナミックなシグネチャースクリプト。男性的でやや乱暴な印象な書体で、バウンシーでダイナミック。全体的にほぼアップライトというか逆にやや左に傾いている珍しいタイプ。スワッシュオルタネートはないが、リガチャーが93種も用意されている。ただ最近やってて思うのは、意外とリガチャーが発生するスペリングに当たらないなという事(笑)。ロゴを作る時は、ネーミングから関わった方がいいものが作れるだろうなと実感する。1ウェイト。
ヴィンテージ感のあるディスプレイ。19世紀頃によく見られた植物的な装飾が施された書体で、このフォントは同じグリフで7種のフィルの違うものが用意されており、これらを重ねて色分けしたりして自由にカスタマイズできるようになっている。YouTube に利用法を解説した動画が上げられているので、詳細はそちらで確認して欲しい。ていうか再生回数が33回(執筆時点)という悲しい数字なのでぜひ見てあげて欲しい(笑)。
ラグジュアリー感のあるオールキャップスローマン。ウェイト細め、コントラスト弱め、セリフ小さめ、字幅かなり広めのゆったりした書体で、O などはほぼ正円である。R のレッグがふにょっとなってるのが特徴的。リガチャーがかなり多く用意され、バリエーション豊かな文字組みが楽しめる。通常このテの書体はアケ気味に組むのだが、リガチャーを使用する場合はそれとのバランスを取るため、アケずに組む方が良いだろう。大変優雅な印象があるので、女性向けの高級品・サービスなどに。1ウェイト。