やや堅い感じのするローマンキャピタル。骨格が若干野暮ったく、コントラストも弱く、セリフもブラケットは大きくはあるものの長さがあまりないので、フレアセリフかセリフドゴシック的なニュアンスがある。元は1960年に作られた古い書体だが、近年にデジタル化されるにあたり、ノミで彫ったようなラインとシャドウが入ったフィルのバリエーションが作られた。ラインだけ、凹んだシャドウ、凸(つばく)んだシャドウ、それらを縁取ったものなど7種類。
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セリフが大きく鋭くて、やや刺々しい印象のあるディスプレイローマン。大文字のみで、そのためかプロポーションはややずんぐりしていながらも碑文ぽい雰囲気はあるが、ローマよりはギリシャ風味が強いかなという感じがする。オルタネートやリガチャーが豊富にあるが、オルタネートの方にはカリグラフィーで言うアンシャル体の風味を持たせた丸っこい字形があるのが特徴的。小文字はないがスモールキャップス。1ウェイトのみ。名前はまぁ、チリの首都サンティアゴの事だろう。
デコラティブなモダンローマンディスプレイ。大文字のみで、コントラストが強くヘアラインはどこまでも細い。変わった字形とオルタネートを持った Kenjo I と、一部ステムが二重になった Kenjo II がある。大変ラグジュアリー感あふれる書体である。こちらはオマケとして Omega というジオメトリックサンセリフが付いており、こちらは文字としての調整があまりなされておらず、幾何学図形そのままが多く残っており、なかなかクセが強い。イメージに「日本の影響」と日本語で書かれてある通り、どうも日本の広告か何かに使用されていた書体にインスパイアされたものらしい。「見城」か「見上」か「兼上」か「兼城」か…「けんじょう」と読む苗字は19種ぐらいあるみたいだけど。
繊細で尖ったイメージのディスプレイローマン。全体的には細いウェイトにコンデンスな書体で、ところどころ大きなスパイクのようなセリフが付いているのが特徴的。基本的には大文字のみだが母音を含んだリガチャーが多数あり、母音の方は小文字のグリフになっていて、場合によってはそれが傾いていたりする。とても攻めた耽美的でアーティスティックな書体である。1ウェイト。現在フリーでダウンロード可能。いつか有料になるのかな? お早めに。
どことなく酒のニオイがして来そうなディスプレイ。ベースはコンデンスな太めのサンセリフで、小さなセリフの付いた Winston とセリフがない Winston Sans がある。ノースカロライナ州にあるウィンストン・セーラムの’60~’80年代の雰囲気からインスパイアされたものとの事。この街はタバコの『セーラム』などで発展したが、今はそういう産業は廃れてしまったとの事。下町には往時の雰囲気そのままの古い看板などが残っており、その辺からデザインを起こしたらしい。大文字のみ。1ウェイト。
本日『紅茶の日』だそうなのでこちら。アール・デコ風味のある優雅なディスプレイ。大文字のみでラインは細く、横のストロークは軽くウェーブし、バランスもわざと崩しながらもおかしくなりすぎない範囲で留めている。Paul Carlyle と Guy Oring という人が1938年に出版した Letters and Lettering という本に掲載されていた書体を元にしたものだそう。オルタネートとかはなし。1ウェイト。
ボテッとしていながらコンデンスでかわいらしいラウンドサンセリフ。大文字のみで、小文字の部分には普通のグリフが割り当てられており、大文字の方にはちょっとしたスワッシュが付いたものが入っている。Original の方は小さめ、Alternate の方には長いスワッシュが入っている。名前の通りコーヒーショップ向けにどうぞ。作者は屋号の通りレトロなものが大好きなようで、この辺のテイストのものをたくさん作っている。
コントラストの弱いクールなディスプレイローマン。ライトウェイトでヘアラインがなく、全体的に抑揚が弱くてただただ細い。骨格は碑文系ではないが、とても高級感があって大変美しい。セリフはウェッジ型。小文字はなくスモールキャップスでリガチャーもないが、こういうのはあまりゴタゴタ凝る事はせずに、素直にシンプルに組んだ方が映えるだろう。1ウェイトのみだがイタリックはあり。
まったまたハロウィン向け書体をば。これもコンデンスでラインガタガタのローマン。コントラストが強めでモダンローマンぽいが、手書きレタリング感が強くアウトラインもラフになっている。フィルはソリッドなものとラフなものの2種。グリフは確認できないが恐らく大文字のみだろう。あとサンプルにあるようなカードの JPEG および PSD 画像が4種とテクスチャ2種が付いており、すぐにカード作りが楽しめるのもいいところ。これだけあって $12 とかなりお安め。
本日はかのトラヤヌス帝の誕生日だそうな(A.D. 53)。このブログでは散々 Trajan 系の書体を紹介してるが、まだまだあるようなので本日はこちら。かのアメリカのタイプデザイナー、Frederic Goudy が自著 The Trajan Capitals のためにデザインした書体をベースに制作されたものだそうだ。カティチ神父の分析よりも早くデザインされたもののようで、U が若干角ばってたり、J がベースラインを突き抜けてないなど、Trajan と比べやや堅めの印象で、Goudy らしい、アメリカンらしいなという感じがする(個人的な感想)。小文字はなくスモールキャップスだが、ギリシャ文字・キリル文字もサポートしている。3ウェイト。