本日は紅茶でおなじみのトーマス・リプトン Sir Thomas Johnstone Lipton の誕生日(1848)。というワケで同じ名前のタイプデザイナーの書体を紹介。平筆によりデザインされた非常に美しいローマンキャピタル系のセリフ書体。ひと目見て「達人だな」と判るカリグラフィーの名手のようで、筆者が見た中でもトップクラス。通常このテの書体に小文字はないが、よく似合うヒューマニスト系の小文字が付いている。イタリックは完全にカリグラフィーのそれ。ただコネクションや派手なスワッシュなどはなく、活字っぽくしてある。フィルというかスタイルというか、バリエーションが4種あって、通常の活字然としたレギュラーとブロードペンで書いたようなアウトラインの Pen、平筆タイプの Brush と、それがかすれた Brush Open がある。それぞれに4ウェイトずつで計32種。
ちなみに紅茶王リプトンは「売る」方の才能に非常に長けた天才で、その手腕で様々な広告プロモーションを行い店を大きくした。例えば今では定番になっているクーポン券は、彼の発明とされている。
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エレガントかつ可愛らしいモダンスクリプト。柔らかな雰囲気の女性らしい(性差別?)サードウェービーなスクリプトで、見た感じ筆ペンでデザインしたのかなーという感じ。このテの書体のご多分に漏れずオルタネートは用意されているが、全グリフ数は500程度と最近のものとしてはやや少なめ。ただそれでも十分いろんなバリエーションが楽しめるだろう。1,600円程度と非常に安いのも魅力的。サンプルイメージに日本語が入っているものがあるが、作者はインドネシア人の模様。
言葉では何とも説明しづらいディスプレイ。基本は Didone に近いコントラストの強いジオメトリックなローマンで、コントラストの付け方はアール・デコ風。バーや斜めのストロークがある字はそこで上下あるいは左右に分かれており、かなりおもしろい独特な形をしている。この文字に似合うヘアラインにティアドロップの付いたオーナメントも付属している。可読性に難はあるがラグジュアリー感があり、ファッションや化粧品などによく似合うと思う。大文字のみで1ウェイト。
名前がエロい(笑)正統派オールドスタイルローマン。ルネッサンス期の書体を元にしているとあり、その通り往時の雰囲気を持ったクラシカルで大変エレガントなローマンである。当時のものよりはx-ハイトを大きく、c や e などの開口部を開くなどして可読性を向上させている。オルタネートもあり、A のバーが波打ってたり、K や R のレッグが伸びたりしている。リガチャーも50以上。数字やアクセント記号も十分揃っており、総グリフ数は900を超える。当然ながらイタリックもあり。7ウェイト。元々パックで3万しないというこのテとしては大変安い上、ただいま66%オフセール中。
活字っぽいようなカリグラフィーっぽいようなスクリプト。14、5世紀にフランスやドイツでよく使用されていたカリグラフィー書体のバタルドゥ bâtarde(またはバスタルダ bastarda またはバスタード bastard)と呼ばれるブラックレターの一種を元にデザインしたとあり、本来はもっと傾きが弱いが、こちらはかなり傾いていてスピード感がある。コントラストも強く、活字感が強い。結構装飾的ではあるが、それは元々がそんな感じである。大文字はデフォルトでスワッシュが付いており、オルタネートはほとんどない。代わりにリガチャーとフローリッシュが少々。5ウェイト。ちなみにはバタルドゥとは『私生児』という意味だが、なんでこんな名前が付いたかはちょっと忘れた(笑)。なんだっけ…修道院の外で民衆の間に自然発生した書体だからとか何とかだったかな。
本日はかのレオナルド・ダ・ヴィンチ Leonard da Vinci の誕生日(1452)らしいのでこちら。「モナ・リザ」の名を持つアール・デコ風味のディスプレイ。基本コントラストの強い Didone なローマンで、キャップハイトとx-ハイトの差がかなり大きい。字形は割とシステマチックでジオメトリックに近いだろう。フィルは普通な Solid とオープンフェイスの Recut の2種。名前の末尾に OS というのが付いているファミリーがあり、数字がオールドスタイルになっているバージョンなのだが、新しい方に異体字で含まれているので買う必要はない。ご注意。
ラグジュアリーでフェミニンなディスプレイローマン。カウンターは大きめながら野暮ったさはなく、セリフも小さく控えめで上品で、化粧品や宝飾品などのロゴによく使用されてそうな雰囲気を持った書体である。4ウェイトあるが、細いステムはそのままで、太い部分だけ変化しており、重いウェイトほどコントラストが強くなる。が、あくまでも上品。とても筆者好みの書体である。イタリックもあり。
本日は『LPレコードの日』だそうなのでこちら。Trajan タイプのローマンキャピタル。ライトウェイトながら、大変堂々としており美しい。小文字はなく、スモールキャップスもない潔い仕様である。おかげでグリフ数が少なく、その分値段も安い。アメリカの名タイプデザイナー、フレデリック・ガウディ Frederic W. Goudy が1927年に Architectural Record という雑誌のタイトルのためにデザインしたものだそう。「建築記録」という雑誌なのでレコードとは関係ないけど(笑)、まぁ名前が一緒なので許してくれい。
以前に紹介した Didone スクリプトの Breathe が新バージョンになって登場。基本はコントラストの強いモダンローマンイタリックにスワッシュが付いたもの。なぜか今バージョンのグリフ数が以前のものに比べ半分になっているが、その分ファミリーが増えた。ウェイトに Light、インラインになった Special とそのインライン部分のみの Special Solo、ヘアライン部を若干太くし小さく使えるようにした Small、大文字だけで組めるようにスワッシュを控えめにした Caps が追加になった。何のグリフを省いたのかは各自ご確認を(めんどくさい)。ただいま30%オフセール中。
本日は『靴の記念日』。最近就活女子の間で「パンプス滅びろ #KuToo だ!」とかまびすしいので、応援の意味を込めてこちら。何が関係してるのかよくは判らないが、なぜかピンヒールのイラストが添えてある極細モノラインジオメトリックディスプレイ。セリフの付いた Serif がメインで、イタリックもあって3ウェイトあり、それらとは別にラインが二重になった Double と影の付いた Shadow がある。ほか、セリフのない Sanserif が1ウェイト。ちなみにパンプスとは履き口が広く紐がない靴の総称で、ハイヒールもその一種。男女の別はなく、男性用のパンプスももちろんある。元々正装用で格式高いものだが、その用法上、長距離を歩く必要はないので、そのようには設計されていない。爪先で引っ掛ける程度でしかないので、ホールド感は最悪である。歩き回っては足を痛めるのもむべなるかなという感じである。もっと言えば黒スーツは喪服だ。なんでこれで就活するようになったのか。一緒にぜひ見直して欲しい。