やや古風で美しいスタンダードローマン。15世紀イタリアのパンチカッター、Francesco Griffo が Aldus Manutius の注文を請けて作った書体にインスパイアされたとある(この辺のスタイルを Aldine と呼ぶらしい)。全体的にほんのちょっぴりだけ前傾している感じがするのは目の錯覚っぽい。その方が目の流れに沿っているので読みやすいとかいう意見を何かで読んだが、まぁそうなのかも知れないねというのが筆者の印象(笑)。字種は豊富で、キリル文字もサポート。この書体もウェイトという概念ではなく、使用サイズにより使い分けられるよう、本文向きの Text と見出し用の Display がある。つい最近、Subhead という中間のものも作られた模様。作者によると、今年は Aldus Manutius 没後500周年にあたるとか。新しく Aldine な書体がいくつか作られるかもしれない。
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すんごいワイドな字形を持つディスプレイサンセリフ。基本的には太めのスタンダードなプロポーションだが、2倍・3倍の字幅を持つバリエーションがある。それぞれを単一で組むのではなく、サンプルイメージのように混ぜこぜで使うと面白いだろう。1ウェイトのみだが、インラインバージョンもあり。小文字はなしのオールキャップス。名前は「自転車競技場」の意。字幅の広い O がトラックに見えるのが由来…かな?
デコラティブなアップライトスクリプト。基本的には傾きのないコンデンスなスクリプトで、かなりクリンクリンなスワッシュがあちこちに付いている。サンプルイメージの V のように、ステムの端ではなく途中にオーナメントが入っちゃってるものもあり、なかなか目にうるさい(笑)。しかしまぁ、夢見る少女なんてこんなものなのかも。オルタネートが多数ある他、オーナメント類もあり。ウェイトのバリエーションはないが、ステムが繰り抜かれた Inline がある。ただいま50%オフセール中。
エレガントな雰囲気を持つセミセリフ。ややコンデンスだが、x-ハイトは大きめで読みやすい。ステムには適度にコントラストがあり、セリフがちょろっと付いている。Rotis Semi Serif と Apple Garamond に影響されたとある。あったなぁ、昔アップルが使用していたコンデンスな Garamond。懐かしい。イタリックはないが「すべてのヨーロッパ語をフォロー」とうたっており、東欧の記号類の他、ギリシャ文字やキリル文字もサポートしている。10ウェイト。
基本的にはヒューマニストなサンセリフ。見ての通りカーブのあちこちがゴキッと折れており、非常に個性的。それでも基本骨格はスタンダードなので、長文を組んでも特に違和感は感じない。リガチャーや数字のタイプも各種あり、ちゃんと本文向けのグリフは揃っている。8ウェイト。
本日 St. Patrick’s Day(略してセンパト。この祭りについては EF Gandalf を参照)なのでインシュラー(insular。ラテン語で「島の」の意)体を紹介。去年も書いたがこの書体のフォントはかなり数が少ないが、今年になってこれが発表された。MyFonts には長文のサンプルがあるが、長文を組むにも全然問題ないレベルで完成度が高い。ファミリーにはこの書体には珍しくイタリック(?)があり、ほか、Bold にスモールキャップスとユニケースがある。グリフにはご丁寧にシャムロック(三つ葉のクローバーみたいなヤツ。アイルランドを象徴する植物)もあり。日本でも近年このセンパトパレードがあちこちで催されるようになっては来たが、まだハロウィンのように大規模にはなっていない。けどもうちょっとで火が点きそうな気配はある。アイリッシュがもっと世間に広まればいいな。
カリグラフィーの世界で chancery チャンセリーと呼ばれる タイプのスクリプト。イタリックとどう違うのかというと、う~ん…(笑)。まぁ筆者個人の感覚で言うと、スワッシュやフローリッシュなどの遊びが少なく、コネクション(繋がり)もないものかなーという感じ。chancery とは公文書館という意味で、その辺で用いられた書体なのでこういうかっちりしたものになっている。この書体の名前もスペイン語で「首相」とか「大臣」とかそんな意味らしい。そういうお堅い書体なので、オルタネートはなし。6ウェイト。ただいま50%オフセール中。
セリフの形が面白いディスプレイスラブセリフ。字形そのものはまぁまぁスタンダードだがセリフがバキバキ折れ曲がっており、目に面白い効果を生み出している。特にベースライン上で折れ曲がっていると、なんかちょっと飛び跳ねてるような躍動感さえ感じられる。リガチャーが結構あって、組版も楽しめるだろう。イタリックはないが、字幅はノーマルとコンデンスドがそれぞれ3ウェイトずつある。ロシア産だけあって、キリル文字もサポート。
4年目の3.11。墓前(grave)に捧げる花を。
この日は毎年、New York Timesの254枚のスライドを見返す。3.11から16日間の現地の写真。かなりショッキングな写真もあるのであまりお勧めはしないが、毎年これを見ながら、「まだ何もしてないなぁ」と無力な自分を見つめ続ける。ただいつか役に立ってやろうと心に誓っている。その誓いを新たにする日。黙祷。