様々なタイプのレトロなディスプレイが集まったミクスドファミリー。ウェイトやイタリックなどのバリエーションを除いても10種類ほどのスタイルがあって、全体的にアウトラインがガタガタしており、粗悪な印刷や手書きのレタリングっぽくなっている。基本的にはどれも字種はベーシックなものばかりだが、ローマンのアウトラインスタイルの Engraved とモノラインスクリプトの Cursive は、スワッシュオルタネートが豊富に付属している。あとキャッチワードとオーナメント、フレームがファミリーにある。この辺は正直その時代の広告や商品パッケージなどを知らないと使いこなすのが難しいが、スーパーのワインやウィスキーなどの売り場や、KALDI などの海外食品を扱ってる店へ行って、色々とサンプルを探してみるのも楽しいと思う。
Category: Display
本日は昨日も説明した通り Black Friday、という事で Black Foundry の(笑)書体を紹介。Gauthier FY という書体のディスプレイ版。ご覧いただければ判るが元は普通の肉付きをしたオールドスタイルローマンだが、こちらはプロポーションはそのままにヘアラインだけで構成されており、かなりモダンな印象になっている。加えてイタリックには元はないスワッシュオルタネートが加えられていて、文字組みのバリエーションが広がっている。見ての通りちょっと小さくは使えないが、ハイファッション誌などに重宝すると思う。ちなみにこのファウンダリーは改名しており、元は FontYou という名前だったようで、そのため書体名にはイニシャルの FY が付いている。
本日は「勤労感謝の日」。だがそんなものにちなんだ書体はないので他にネタを探した所、現在の5,000円札の肖像に選ばれている樋口一葉の命日でもあるそうな。一葉=葉っぱ、って事で葉っぱをモチーフにデザインされた書体を紹介。見ての通り、長方形の対角2ヶ所が円弧になっていて、どことなく葉っぱっぽい形になった図形をベースに文字を形成したものである。エコとか園芸関係の業者のロゴとかによくありそう。ま、こんなんでお茶を濁しておきましょうか。皆さんよい休日を。
本日は 1111 というキャッチーな見た目のせいか、すごい数の「なんとかの日」が制定されているが、代表格の「ポッキー&プリッツの日」(代表か?)にちなみ、見た目がポッキーっぽいこの書体を紹介。ウルトラコンデンスなサンセリフ。映画のタイトルやエンドロールで、こんな感じに凄まじく細い書体を見たことがあるだろう。あの辺を狙ってデザインされたもののよう。ファウンダリーはインドにあるらしく、映画大国だけあって、こんなのも需要があるのだろう。大文字だけかと思いきや、小文字もちゃんとある。g は1階建てと2階建ての2種類。5ウェイト。
スクリプトとフレアセリフのミクスドファミリー。マリー・アントワネットにヒントを得たとあり、スクリプトの方はロココ調のかなりデコラティブなアップライトで、総グリフ数は900弱と最近のスクリプトにしてはやや少なめ(それでも多いわ)。フレアセリフは大文字のみで、コントラストが強く、通常のソリッドなものの他、インラインタイプが別にある。この辺の書体は使いこなしが難しいが、MyFonts にはかなりの数の作例が載っているので、参考にするといいだろう。ただいま70%オフセール中。
本日は紅茶の日。という事で、英国で午後に紅茶を飲む習慣である「アフタヌーンティー」をそのまま店名にしている某店(バレバレ)のロゴ、に近い書体を紹介。近いというか多分これじゃないかと思う。20世紀前半に活躍したアメリカのタイプデザイナー、Morris Fuller Benton がデザインしたベネチアン書体のオープンフェイスタイプである。クラシックで優雅な雰囲気があり、英国の貴族趣味を表現するのにもってこいだろう。Linotype はこのオープンフェイスしか書体にしてないみたいだが、当然ノーマルタイプもあり、それは URW++ と Lanston Type Company (LTC) が書体化している。筆者は LTC の方が好みかな。スワッシュイタリックが優雅である。
本日は文鳥の日らしいのでこの書体を紹介。手書きのふにゃふにゃ感が残るコンデンスなディスプレイ。これだけだとよくあるファンシー書体だが、変わってるのがアニメーション対応だということ。書体とオーナメントが Frame 1 から 5 まであり、これがふにゃふにゃ具合が微妙に違うので、重ねて打ってパラパラ漫画の要領でアニメーションさせるとウネウネしておもしろい効果が得られる。スワッシュオルタネートがあり、キリル文字やギリシャ文字もサポートしているが、Frame バージョンにはこれらがない。
ほぼ直線のみで字形が構成されたディスプレイ。ノルウェーにウルネス(Urnes)の木造教会という世界遺産になった教会があるが、そこに刻まれている文字をベースにしたとある。その文字の画像はちょっと探せなかったが、明らかにルーン文字がベースになっている。ルーン文字とは2世紀頃から中世後期頃まで北欧で日常的に使用されていた文字で、ナイフ等で木片に刻んで書いたために直線的になっている。1文字1文字に意味があるとされ、文字として使用する者がいなくなった現在では、小石に刻まれ、占いの道具としてタロットの様に用いられている。
大文字のオルタネートには、教会の装飾にも用いられている民俗的な画風の動物が絡まったものがある。ボールドと2ウェイトあり、スモールキャップスもある。レギュラーウェイトには Rustic というアウトラインがラフになったものがあり。
手書き感満載のかなりコンデンスなサンセリフディスプレイ。Cooper Black で有名な Ozwald Cooper の知られざる書体だそうである。本人はサンセリフがあまり好きではなかったそうだが、色々とレタリングした中にこういうのもあったらしい。それを Monotype のデザイナーがフォント化したもの。全体的にオーガニックで優しいイメージがあり、サンプルのように食品関係によくマッチすると思う。ギリシャ文字とキリル文字もサポートし、なぜか M だけスワッシュオルタネートがあり。ノーマル幅(かなりコンデンス)が4ウェイト、ちょっと字幅を広げた Wide が2ウェイトある。ただいま67%オフセール中。
アール・ヌーヴォー調のディスプレイ。ミュシャのポスターかなんかに使われてそうな、植物的なニュアンスのあるクセの強い書体である。元は20世紀初頭、セントルイスにあった Central Type Foundry という所から発表された書体らしい。それを URW++ がデジタル化したもの。今となってはこれと言って使い道が思い当たらないが、筆者は個人的には好きな書体である。