本日、大変悲痛なニュースが飛び込んできた。パリのノートルダム大聖堂が焼け落ちたとの事。あの荘厳なバラのステンドグラスの大窓が炎に包まれているのを想像するだけで胸が痛い。遠く離れた極東の異教徒(なんの教徒でもないけど)でさえこんなに哀しいのだから、現地の人々の喪失感たるや計り知れない。果たして再建は可能なのだろうか。そうである事を祈り、この書体を紹介。「ノートルダム」の名を持つブラックレター。’90年代に、Linotype がグーテンベルク以前の書体をフォント化する Type before Gutenberg というプロジェクトを行い、20ほどの中世のカリグラフィー書体をフォント化したのだが、その中のひとつである。テキストゥーラ・クアドラータ texture quadrata と呼ばれるスタイルで、手書きよりはよりシステマチックで硬い印象を持ち、かなりデコラティブな大文字が特徴だろう。控えめなちょっとしたスワッシュが別グリフであり、それを組み合わせることも可能。Pro 版の方に全グリフが入っているので、それだけ購入すればいいだろう。
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本日はかのレオナルド・ダ・ヴィンチ Leonard da Vinci の誕生日(1452)らしいのでこちら。「モナ・リザ」の名を持つアール・デコ風味のディスプレイ。基本コントラストの強い Didone なローマンで、キャップハイトとx-ハイトの差がかなり大きい。字形は割とシステマチックでジオメトリックに近いだろう。フィルは普通な Solid とオープンフェイスの Recut の2種。名前の末尾に OS というのが付いているファミリーがあり、数字がオールドスタイルになっているバージョンなのだが、新しい方に異体字で含まれているので買う必要はない。ご注意。
本日は『パンの記念日』。1842年に日本で初めてパンの「ようなもの」が焼かれた日だそうな。ということでこちら。サードウェービーな雰囲気バリバリのアップライトなブラッシュスクリプト。元は筆でデザインされていると思うが、フォント化するにあたりだいぶアウトラインをいじっているようでスッキリしている。コントラストは強め。この手としてはバウンシーさは弱めでさほどはしゃいでない。レギュラーの他、大文字だけで組めるよう調節されたバージョンもある。あとサンプルにあるような可愛らしいイラストも付属。かなり日本風味があるけど、作者は何人なのだろう…。
日本銀行券(紙幣)のデザインが変わるらしいのでこちら。欧米(というかアメリカ?)のお札に使われてそうなディスプレイ。直線的で、ジオメトリックで、コンデンスで、ゴシック風味のある、モノラインな書体である。ソリッドなものはウェイトが2種あり、他にフィルが斜線で埋められたLines、水平ラインでシェーディング処理がされた Inset、影部分の Shadow がある。フォントの他、フレームやシームレスなバックグラウンド、アーカンサス?のオーナメントなどのベクターデータも同梱されていて、紙幣のデザインには事欠くまい。良い子はニセ札作っちゃダメだぞ。
世界一有名な(※個人の感想)書体である Helvetica に新ファミリーが登場。オプティカルになり、本文用の Text、キャプションなどの小さい表記用の Micro、見出し用の Display の3種が制作された。正直ひとつひとつのグリフを確認したわけではない(笑)ので詳細は不明だが、パッと見はスペーシングが変わったなという感じ。元の Helvetica は結構詰まっていた記憶があるが、Text はやや広め、Micro は結構広めに取られているように思う。従来はあまり長文向きではなかったが、これで耐えられるようになった。字幅はレギュラーと Condensed の2種。各タイプ8ウェイトずつあってイタリックもあり、合わせて96種。
非常に変わったウルトラコンデンスなディスプレイ。名前からすると映画のエンドロールなどによく使用されるほっそい書体を模しているようで、一応字幅があるバージョンもあるが、基本的にかなりほっそい。字形も相当変わっており、インクトラップのような「欠け」がそこかしこに、また結構大ゲサに入っており、それが書体に強いアクセントを与えている。高さが半分のグリフも入っており、縦に2つ並べて組んだりすることも可能。なんとも使い方が難しいだろうが、うまく使えば強い差別化ができるだろう。9ウェイトある他にバリアブルなものもあり、対応アプリ(Illustrator等)で字幅やウェイトを自由に設定することが可能。ただいま70%オフセール中。
パズルのように組み合わせてリガチャー(?)を作れるスラブセリフディスプレイ。大文字のみで、小文字には基本的に字幅の狭いバージョンの大文字が入っているが、サンプルのように Li や Ta など、組み合わせがあるものに関しては(アプリが対応していれば)自動でこのように組んでくれるようである。プロポーションは頭でっかちのものが多く、全体的に可愛らしい。アンパサンドを含む “Versalita&” までが名前らしく、その名前のサンセリフ版があり、こちらはスラブセリフ版、という事らしい。1ウェイト。
ラグジュアリーでフェミニンなディスプレイローマン。カウンターは大きめながら野暮ったさはなく、セリフも小さく控えめで上品で、化粧品や宝飾品などのロゴによく使用されてそうな雰囲気を持った書体である。4ウェイトあるが、細いステムはそのままで、太い部分だけ変化しており、重いウェイトほどコントラストが強くなる。が、あくまでも上品。とても筆者好みの書体である。イタリックもあり。
サードウェービーでカジュアルなシグネチャースクリプト。バウンシーでループは大きめ。オルタネートはあるが、異体字切り替えではなくフォントが別になっている。リガチャーは20ほど。サンプルの通りのアップライトと、やや傾いた Slant バージョンがある。非常に安いのでお気軽にどうぞ。名前はロシアの都市・サンクトペテルブルクの英語綴り。
本日『シーサーの日』らしいのでこちら。可読性の良い現代的なオールドスタイル(?)ローマン。セリフがちょっと太めでブラケットがなく、セリフも反るのではなく膨らんでいるのが特徴的。なんとなく Gerald Unger 氏の作る書体に似ており、オランダ風味がする気がするのは筆者だけだろうか。本文用に設計されており、スモールキャップスはもちろん、各種アクセント記号や数字類も網羅し、グリフ数は700を超える。クラシックな指差し矢印アイコン ☞(英語では index, manicule, printer’s fist などと呼ぶらしい)が数種ある。6ウェイト。ちなみに「シーサー」は抑揚をつけずフラットに発音するのが正しい。「シー↑サー↓」と発音するのはとても変なので直すように。